今日の言葉
二宮翁夜話より引用
足りるを知ること
二宮金次郎の「夜話」の中で、「湯船の教訓」は私が最も好きな教えです。
この教訓は、「たらいの水」の逸話で知られ、「足りるを知ること」と「他者を満たすこと」という二つの視点を提示しています。
一見相反するように思えるこの二つの概念ですが、金次郎はこれを天理だと説明しています。
人は自分の心が満たされていなければ、他人の心を満たすことはできません。
逆に、自分の心が満たされていないと、他人から満たしてもらおうとします。
そのため、まず「足りるを知る」ことで自分の心を満たし、その後に「他者を満たすこと」が重要となります。
しかし、現在の日本は「足りる」ことを理解していないように感じます。
日本社会の経済的の豊かさは厳しくなりつつあるにもかかわらず、人々は謙虚さを失い、「水が足りない」と不満を訴え続けています。
「足りる」ことを理解していないがゆえに、物質的に満たされても心が満たされず、更なる欲求を追い求め、結果として詐欺や争いが起こるのです。
これは、湯船の水を自分に向かって寄せるような行為であり、結果的に水は他へ流れ出てしまいます。その結果、湯船の水は減少し、悪循環に陥ります。
自然環境や社会情勢が急速に変化する中で、「足りる」ことを理解しないと、最終的には何も残らなくなる可能性があります。
だからこそ、現在の生活が当たり前ではないことを自覚し、普通に生活できることに感謝し、心を満たした状態でこれからの変化に対応することが重要だと感じています。
二宮金次郎の夜話172段「湯船の教訓」を読んで、そのように感じました。