見出し画像

デザフェスに行くまでの話をしようと思う

デザインフェスタ(Design Festa,デザフェス)。年2回、夏・秋に開催される、アジア最大級のアートイベント、と公式には記載されていますが、簡単に言うと一次創作専門イベント。アートというと絵画とかそんなものを思い浮かべるかもしれませんが、実際はアートに限らず、各作者が思い思いの作品やパフォーマンスを繰り広げています。出展側としては、他イベントに比べて限界まで規制を緩くしてくれているため、門戸の大きく開けた楽しいイベントとなっています(が、それが仇となって58の某マフィンが発生したことは忘れてはなりません)。

残念ながら当社は、24年夏開催となる59出展への切符を逃してしまいました。その鬱憤を晴らすといえば非常に聞こえが悪いのですが、これから出展される皆さんの参考になればと思い、情報共有させてもらいます。「板宿電鉄方式」としてご覧ください。

何も考えずに申し込むこと

まず、デザフェス出展の第一歩は、作品準備でも移動手段の確保でもありません。申込みです。

とにかく申込むのです。作品?移動手段?そんなの後でなんとでもなります。ほっとけ。

ちなみに、一度申込む(ショバ代を支払う)と出展側の都合では返金されません。後戻りできないシステムです。しかしそれを利用して自分の尻に火を付けるのです。

困ったらMブースがおすすめ

ブース、自分の持ち場には大きさが3パターンあり、S/M/Lに分かれています。Sは1畳分(0.9m✕1.8m)、Mは2畳分(1.8m四方)、Lは4.1m四方となっており、当然専有面積によって値段が異なります。畳張りの和室があれば感覚は簡単に掴めると思いますが、無い方はホームセンターに駆け込んで「サブロク板」を探してみて下さい。1枚でSブース相当、2枚横並びでMブース相当です(実際のブース幅はそれより2cm程小さいので注意)。

0.9m、案外余裕ないです。机を置けばそこまで、出展者のあなたはほぼ座ることができないと思ってください。脅しでもなんでもないです。
例年、Sブースで窮屈な思いをしている出展者さんを見かけます。拘束8時間、労働環境は大事です。

となれば、おすすめはMブースです。1.8四方、人ひとりの身長収まるくらいあれば、大体何でもできます。机を置いても余裕で座れますし、万一荷物が多くなっても十分対応できます。後述しますが、差し入れよくありますよ。

何で出展するかを決める

申し込みの段階でアウトラインを入力するよう求められると思いますが、それが決まれば次は中身です。ここは好きに決めて下さい。展示のみでもよし、物販やるなら物販もするでよし、パフォーマンスや火気・刃物などの危険物を伴うものは事前申請が必要ですので、マイページをよく確認しましょう。
当社では、過去に展示・物販両方していますので、合わせて別記事にはなりますが紹介していきます。

この段階では、まだ集客面を考える必要はありません。入場者、単に見に来るだけの人も相当数いますので、小難しいことしなくても自然に大量に寄ってきます。数撃ちゃ当たる方式、刺さる人に刺されば良いのです。この辺も別記事でまとめます。

展示をする場合は、ここで内容を詰めていきます。どんな絵・成果物を見せるのか、一番見せたい自信作は何か、などなど。
ちなみにデザフェス、前述の通り規制がそのへんのイベントとは段違いに緩いので、高さ4mまでの構造物を勝手に組み上げることができます(ただし、消防法守るとか、崩壊しないようにするとか、大きくすればするほど責任が伴うことは忘れないで下さい)。
心配な場合は壁だけ借りるとかも出来ますが、自分で組み立てたいという物好きな方は、並行して構造物の設計にも取り掛かりましょう。

57で組み立てた構造体の設計図
実際に運営に提出し、検証を依頼しました
実際に組み上がったもの

構造物の出展は、運営への報告は必要ないとされていますが、相談すれば設計図から安全性を検証してくれますので、一度聞いてみられることを強くおすすめします。むしろ聞け!マフィンみたいになるぞ。

出展を支える道具を決める

「お客さんには見えない努力をする」これは何かというと、出展に際して裏方となってくれる道具や小物を抜かりなく用意しようということ。

多すぎるくらい持っていこう

アレも出したいコレも出したい、遠方になるから出展に直接関係ない荷物も多い、だから裏方の道具はちょっとでいいや…と考える人が多いようですが、いけません。
遠方の初舞台は想定外のことだらけ。いくら自宅で事前に演習していても、自宅の落ち着いた環境とビックサイトの壮大かつ窮屈な環境では、発揮できるパフォーマンスがまるっきり違います。

tip.周囲への配慮もわすれない

出展準備の時間帯(一般入場が始まるまでの関係者限定タイム)を使って設営することになりますが、自分だけでなく左右ブース・向かいブースが荷物をブース外に撒き散らして一心不乱に準備しています。他人の展示物を傷つけないよう、細心の配慮が必要になることを覚えておきましょう。


…と、ここまで自宅と現地の環境が違うことをお話ししましたが、

こんな様相で想定外の事態など起こらないはずがないのです。

それはいつどのように襲ってくるかわからないからこそ、多少やりすぎと思われるくらいの備えが必要になります。

必要なネジが輸送の衝撃で無くなった?
持ってきたパネルが割れた?
設計ミスで構造物がブース枠から出てしまう?

想定外をできるだけ減らせるような事前イメージも合わせてしておきましょう。もし〇〇が起きたらこの道具を使ってああしてこうして……その道具、〇〇さえ起きなかったら必要ないものですか? 滅多に使わない? じゃあ持っていけ。

準備の流れを大まかに決めよう

壁が必要な展示、もしくは構造物を自前で組み立てるので、準備を完了するまでに相当時間がかかることが明らかなときは、あらかじめ組み立ての手順を決めて覚えておきましょう。
ビックサイトに着いてから自分のブースにたどり着くまでが長いのと、先ほどの通り準備しているのは自分だけではありません。

例えば、自宅で事前演習して、ブースの準備に1時間かかることが分かったとします。

当日現地では、最低その1.5倍の時間がかかると思って下さい。

これは、自宅段階では見つけられなかった「足らずの部分」、それから一般入場までの時間が迫る焦燥感から起きる作業ミスなど「事前演習になかった想定外」が、当日現地で必ず起きるからです。

必ずです。必ず起きます。

そもそも自宅で1時間かかる作業が、現地で1時間かからずに終われる訳ありません。

諦めも当然重要ですが、申込みから数えればほぼ半年がかりなのに、たった2日しか日の目を見ないあなたの自慢の作品、せっかくならこだわりたいですよね?

こだわるということは、それだけ作業手順が増えることを意味します。
作業手順が増えれば、準備時間の延長・作業ミスのリスク増加につながります。
準備時間が長くなれば、一般入場が始まっても準備しっぱなしで、来てくれるはずだったお客さんを逃してしまうことになります(機会損失)し、物販があれば売上減少も避けられません(経済損失)。

ここは、ご自身でうまくバランスを見極めてみて下さい。総合的に色々な事柄をマネジメントする能力が試されます。

デザフェスに出展する皆さんは、短い期間でどれだけのお客さんを誘い込めるかを考えており、その結論は大抵「情報量を増やすこと」にたどり着いているようです。最低でも作業の無駄をなくし、準備時間内にこだわったブースの造形を終えてお客さんを迎えられるよう努力してほしいと思います。

そのためには、先述のように、作業手順を決めておき、当日あれやこれやと悩むことがないよう事前に仕込んでおくことが重要なのです


ここからは、当社の実例を紹介します。

Vol.58のときを基本に紹介しますが、59からタイムスケジュールに多少変更があるようですので、そのあたりよく注意してください。


神戸板宿電気鉄道空想会社は、過去Vol.57と58の両方に2日間ずつ、計4日間出展したことがあり、この手の準備は慣れたものです。毎回、私自身の持ち合わせの技術を最大限活用した出展をしたい一心で、合計30万円近い備品費を溶かし、来場者の皆さんに喜んでもらえる、もとい「すげえ」と言ってもらえる工作につとめています。

なお、作業も出展内容も複雑なために、一人で全てを負うことは困難で、毎回社員についてきてもらっています。作業計画を組むとき、特に複数人関わる場合は、誰が何をするのかを詳細に決めておかなければいけません。

バラバラにせず、できるだけまとめておく
どこに何があるのか表示するといいかも

11月10日18時、神戸から大舞台東京へ、いよいよ出発します。車で移動します。

24時を過ぎて高速の最終料金所を通過すると深夜割だか土休日割が効いて安くなります。
参加社員の個人の予定が色々あって18時発となりましたが、結果として24時前後に東京(平和島)を出たかったために、かなりの速度で走りました。

危険でしか無いので、余裕を見て早めに出発し、途中の休憩所でゆっくり長めに休みましょう。

浜松サービスエリア 浜松餃子おいしいよね


さあ、11月11日0時30分、東京の大舞台、前入り地となる東横イン青物横丁に到着です。当社は場所・価格・駐車場などの情報を踏まえて毎回ここに前入りしていますが、横になって寝ることは重要です。好きなところに泊まってくださいね。

しばしの睡眠を挟み、11日6時 起床、7時に出発。会場となるビッグサイトの車両搬入口が開門する10分ほど前に、車列に並びました。

車列への並び方は、駐車場チケットを購入すれば説明書きを見ることができます。迷わないようにしましょう。「デザフェス車両搬入 最後尾」のような丁寧な説明は一切ありません。

車列の途中。7時45分開門でしたが、40分頃には
進んでいたので、早く開いたのかもしれません

さて、入口には「西ですか?東ですか?」の質問をする誘導員さんがいますので、答えると進行方向を指示されます。
搬入口付近にも誘導員さんが配置されており、空いたら教えてくれます。指定の位置に車を収め、荷物出しします。

連続で30分間、車を止めることができます。それ以上は他出展者さんの迷惑になりますので、早め早めに動かしてしまいましょう。

設営後。隣近所のブースへのあいさつは絶対

設営・準備を含め、作業はすべてブース内のみになります。眼の前の通路は狭く、人と荷物の往来が激しいので、荷物を一時的に置くに留めておきましょう。あんまり酷いと怒られてしまいます。

さあ、開場。隣近所のブースに配慮しながら、思い思いの作品を皆さんに自慢しましょう。