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雷神様の録画予約

日本も梅雨らしい時期になってきたが、
突然のゲリラ豪雨などに遭遇すると恐ろしいものである。
これは少年時代に遭遇した偶然の体験談だ。


私の実家では大変雨の多いエリアで、
県内での日照率も一番低い地域となっている。

雨自体には慣れたもので、雨の中傘をささずに遊んだり
ぬかるみに自らはまっていく楽しさを味わうなど
田舎ならではの楽しさを味わっていた。


ただそんな暮らしでも恐ろしいものがある。
それは「雷」である。

まばゆい閃光に、けたたましい雷鳴。

音もない稲光だけの事も多く、その時は空を眺めて楽しんでられるのだが、
いざ音が鳴り始めると心は穏やかではいられない。


我が実家は戸建ての二階建てだが、
いざ雷が鳴りだすと、一階のリビングに避難し、
可能な限りコンセントを抜きまくって床に伏せるのが
私の中での防護策であった。
※雷鳴時にコンセント系を触るのは推奨されていません。

基本的に抜けるものは全て抜くのだが、
1つ例外の家電機器があった。

それは「ビデオデッキ」である。


なぜビデオデッキのコンセントを抜かないのか。
それはコンセントを再度挿した後の「日時設定」が面倒だったからである。

今となっては、内部の電池切れだったのか、25年近く前の話のため、
そもそもの仕様だったのかは不明だが、分かる人には分かる話であろう。


とりあえずリビングではテレビのコンセントだけ抜き、
母と床に伏せながら、早く雷やまないかなと話している瞬間、
強烈な音と閃光がビデオデッキから放たれたのである。

ガラス戸付きのテレビラックに設置していたためか、
電撃がこちらまで来ることは無かったが、
床に這いつくばっている親子は冷静になるまで叫んでいた。

想像してほしい。
ビデオデッキから本来出てくるものはビデオテープであって、稲妻ではないのだ。

「今の雷近かったねー」の後には至近距離でスパーキングしているのである。


なんとか冷静を取り戻し、ビデオデッキからの煙は止まったものの、
なぜか「録画予約」のランプが点灯した状態で操作を受け付けないようになっていた。

無論、落雷前から録画予約もしておらず、
常に手動録画のみだったため完全に落雷による影響だろう。


本体も焦げていたため、そのビデオデッキは破棄することとなったが、
そのまま破棄せずに持っていたら、雷神様が見たかった番組を知ることができたかもしれないと今でも思う。

だが録画できたとて、映画「リング」のような呪いのビデオ製造マシンとなってしまっても困るため、見ることなく破壊するかもしれない。


だが、現実では落雷による死傷者も日本国内だけで年間約20人。
そのうちの死亡者は13人と死亡率70%の恐ろしい自然現象だ。

ゼルダの伝説のように、落雷前に予告としてバリバリしてくれ
さらに装備から外して所有しててもOKなんてレベルではないのである。


私が地元に帰らず、地方都市で仕事を続けている一つの要素としては
「地元は雷が多い」
これに尽きる。


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