見出し画像

人間をつくる

最近のホットワードに、「人工知能」あるいは「AI」という言葉がある。これらを簡単に説明すると、人間の知的活動をコンピュータで模擬しようとしたものだ。いまでは技術の進歩によって、画像認識、自然言語処理、自動運転…など、いろんなことができるようになってきてる。この技術のゴールは「シンギュラリティ」という地点で、コンピュータが人間の知能を超え、コンピュータがさらに上位のコンピュータを作れるようになること。未来学者だったかの予言では、シンギュラリティは2045年にやってくると言われてる。
今のところは特定の機能に特化したAIしか作ることができないんだけど、人間の言葉の意味から理解し行動できるAI、すなわちドラえもんが完成したときに、人間がいなくても勝手に科学技術が進歩してくよって話だ。(SiriとかOK,Googleは単語を読み取って適当に処理してるだけで、意味を理解してるわけじゃない)
ドラえもんの完成にはそういった意味理解の壁を越える必要があるんだけど、何人もの人間の生まれてから死ぬまでの行動パターンを全記憶させて再現するだけで近しいものは作れそうな気がしている。データ量がとっても必要になるんだけどね。
仮に人間レベルの知力を持ったコンピュータが完成したとしても、それはもはや人間なんじゃないかと思う。シンギュラリティの到来で「コンピュータに働かせればええやん」ってなったとしても、人間同等の思考力を持っているならば奴隷制度と変わらない。かつての奴隷は人間として扱われなかったが、AI技術の発展は同じような未来を招くような気がしている。人間から生まれないのなら人間じゃない?感情を持たないから人間じゃない?これらの答えは、どちらもNOだと思う。


現在、バイオテクノロジーの発展により哺乳類のクローンを作れるようになっている。動物の細胞を取り出して培養し、未受精卵の核と置き換えて電気刺激をかけて細胞融合させる。それを子宮に移植する。1996年、この技術でクローンの羊を作った実績がある。人類は遺伝子操作もできるようになっちゃったので、倫理的問題を考慮しなければ、人間だって作れそうな勢いだ。そうやって作られた人間も、紛れもなく人間だと思う。

現在、脳科学の発展により人間の感情を操作することができるようになっている。人間は脳内で化学物質を生成し、それらの電位差を利用して微弱な電流を流すことで思考している。怒りの感情が生まれたときに電気が流れている脳部位に電極を差して電気を流すと、その人は理由なく怒りだすらしい。部位によっては快感を与えることもできるし、記憶を蘇らせることもできる。快楽中枢(刺激するとドーパミンが出る)に電流を流すボタンをラットに与えた実験では、ラットは餓死するまでボタンを押し続けた。仕組みとしてはドラッグと一緒なんだけど、人間はたかが電気刺激で感情が操作されてしまう。サピエンスはこれだけ賢くなったけど、単純に、刺激に対する反応のパターンだけで成り立っている生き物だ。


人間は細胞やらの化学反応によって生まれてくるし、その感情は電気信号で決められている。そう考えると人間は特段高尚な存在でもなく、人工知能もほとんど変わらないレベルに感じられる。人間によって作られた人工知能であったとしても、彼らは人間同等の価値を持つのだ。ドラえもんにも人権が与えられるべきなのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?