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笑→w→草

タイトルは、ネット上のコメント欄などに用いられる、「笑い」を意味する文字の変化を表したものである。

「笑」を「warai」と打って変換する手間を減らすために「w」になったのだそうだ。

ここまではまだわかる。簡略化という目的が果たされているからだ。

問題はつぎだ。

「w」が、あるいはそれが並んだ様子が草っぽいから「草」と表現されるようになったのだという。

……。

……?

じゃあ「笑」でよかったじゃん!

その経緯を知ったとき、私はそんなふうに感じた。

簡略化されたものを、わざわざ別の漢字に変化させるとは、本末転倒はなはだしい。

「笑」よりも「草」のほうが、キーボードを叩く回数は1、2回少ないのだ、という意見もあるかもしれない。しかし「w」から「草」に変化させる理由には、やはりならないのだ。

それでも、彼らもいつか、己の愚かさに気づくのだろう。そしてもう一度簡略化させるために、「草」の頭文字の「k」で表すようになるはずだ。「ウケるk」といった具合に。

こんどはそれに飽きてきて、「『k』って、なんか座ってるみたいだから『座(ざ)』にしよう」と言い出す者が出てくる。

そして「ウケる座」などという表現が横行する。言われたほうは虚しくなってしまうだろう。「ウケたなら、せめて座らないでほしい」と思うのは当然だ。

その後、また面倒になり、「座」は「z」に簡略化される。そして「『z』は眠い感じがするから『眠』にしよう」とかほざき出す。例を考えると恐ろしくなる。

「ウケる眠」

もはやウケてなどいない。笑いのニュアンスは完全に失われ、どちらかというとスベっている印象を与えてしまう。

こんな混乱を招かないためにも、せめて「w」にとどめておかなくてはならないのだ。

しかし、私の想いなどには関係なく、愚の連鎖はつづいていくのだろう。

「笑→w→草→k→座→z→眠→m→ 」

将来、空欄にはどんな文字が埋まっているのだろうか。



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