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素晴らしきライフスタイル、自然と共生する。

“自然”という言葉の解釈は十人十色ございましょうが、本稿におきましては、アメリカザリガニやウシガエルのような人間の手によって持ち込まれ、本邦の自然に定着してしまった外来生物もそれに含むこととさせていただきます。

大学の友人達に話すと、気味が悪いと嫌煙されてしまいますが、私、セミやカエル、ザリガニといった公園やドブに生息する生き物を採集して調理する事が趣味の、俗に言うゲテモノ食いなのです。

私が、ゲテモノ食い、ゲテモノハンターと化したのは母方の祖母の影響によるものです。
祖母は以前の課題レポートでも述べたとおり、その集落で五本の指に入る大農家の末っ子として生まれ、戦時中の食糧難の中、特に食料に関しては不満を感じることなく育ち、また、当時の田舎の女性としては珍しく、高等教育を受けており、私自身、祖母がゲテモノハンターであることを知った際は大層驚きました。

祖父は国鉄の運転手を引退後、200坪ほどの土地を買い、趣味で家庭菜園を楽しんでおり、祖母も農家の娘であることもあり、祖父とともに幾多もの作物を栽培しておりました。

そんな祖父母が営む畑に遊びに行くことが幼少期の私にとって長期休み一番の楽しみで、その時期になれば、毎日のように朝から晩まで土をいじっていた思い出があります。

そんな祖父母の家庭菜園を手伝っていたある夏の日のこと。畑を耕していると、何やら甲虫の幼虫らしきものと遭遇しました。私、大阪生まれ大阪育ち、親が転勤族であったゆえに、全国の都市を行き来していた生粋の”都会っ子”でありますが、前述の通り祖父母による農村夏期講習を毎年欠かさず受講していたので、たかがイモムシ如きに悲鳴をあげることなどなく、躊躇なく素手で掴み、祖母のもとへと届けました。すると祖母は「おお、これはワタシがあんたくらいの頃、よく焼いて食べたもんだ。貴重なタンパク源だってね。」
私、前述の通り、農村での英才教育を修めておりますので、何らこのようなイモムシ如きに恐怖心を持つことは一切ありませんが、これを己の口に運ぶとなると、また話が変わってくるのであります。『食べるの?どうやって?』私は祖母に問いました。祖母はいいました「焼いて、醤油をかけて食べると、魚の脂身のような味がして美味しい。」といいました。

血は争えないとはよく言ったもので、私も強い興味のもと、祖母に言われたとおり、その虫を炙って食べてみました。すると中々美味であったことを今でも覚えております。

これが、私のゲテモノハンターとなった記念すべき日のエピソードであります。

さてさて、閑話休題。
この、ゲテモノハンターという暮らし。インターネットが普及し、情報が手軽に入手可能となった現代において、先人たちが成約の中で生み出した秀逸なレシピをもとに競争相手の少ない身近なものを美味しく調理して頂くという行為は、米国株の価格急落によって予期されている世界的な不況を楽しく生き抜く最強のソリューションになり得ると私は考えております。本来、制約の中に富を享受するためには、数多の試行錯誤が必要であると私は考えておりますが、前述の通り、先人たちの知恵をインターネット経由で手軽に獲得できる現代においては、そう難しいことはないのです。

エビの代わりにセミの幼虫を用いた、セミチリは、私が知る限りゲテモノレシピの中で一番の絶品料理です。先生も是非お試しください。
このセミチリ、在来種であるクマゼミやツクツクボウシの幼虫を乱獲してしまうと、日本固有の守るべき生態系に大打撃を与えてしまいかねませんが、タケオオツクツクという中国からやってきた外来生物の幼虫を使えば、外来種の拡大を抑制する事ができる上に、コストの高い海産物である“エビ”を入手しなくて済むのです。先人たちの「食えるものは食う」のアイデアにインスパイアを受けたこの暮らし方。とても良いのではないでしょうか?

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