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M:tG Pauperのデッキ構築を考える(統率者レジェンズの注目カード ~赤・緑・他~)

はじめましての人ははじめまして。
すでに御存知の方はこんにちは。

今回は統率者レジェンズのPauperの視点での注目カードについて記事にしたいと思います。

前編はこちら。

・赤

《乗り込み部隊》

新録。《血編み髪のエルフ》がサイズアップしてコモンに。流石に6マナは重く、続唱の特性もあって使い味は変わってくると思われます。

それでも、パワーが倍になっており続唱抜きでも十分なコストパフォーマンスを持つので注目に値するカードだと思います。アグロ向けの火力やクリーチャーは続唱で腐りにくいカードなので、本家血編み髪のエルフ同様それらで固めたデッキのマナカーブの最後に位置付けてもよいかもしれません。

一時的マナ加速との相性はなかなかで《煮えたぎる歌》などからキャストすると2枚分のマナ加速が稼げることになります。煮えたぎる歌がめくれた場合でも《炎樹族の使者》のようにテンポを稼げる結果になるので後続が居れば悪くありません。

《炎のチャンピオン》

付けられているオーラと装備品の数だけパンプアップ。基本は1/1ですがトランプルもありサイズが生かしやすいです。《ゴブリンの小槌打ち》に似ていますが1マナ重い代わりにタフネスも上がるため生存性能が高くオーラにも対応しています。

英雄的デッキのような既存のデッキにもすんなり採用できそうな性能で《カズールの徴収者》のような装備品シナジーを持ったクリーチャーも増えたため、新しい形のデッキで中心戦力になる可能性があります。

インスタントタイミングでの装備やオーラの付与が出来るとより強いため、色は異なりますが《慈善の祝福》は良い相棒になりそうです。

《真紅艦隊の准将》

新録。ETBで統治者になるクリーチャー。赤の新しい統治者能力持ちは4マナ5/2トランプル。

コンスピラシー初出の《王位狙いの雇われ人》は5マナかつデメリット持ちで使いにくさが目立ちましたが、こちらは4マナかつ扱いやすいスペックになっています。

赤で実用的な統治者能力持ちが現れることをどう評価するかですが、クリーチャーの横並び戦術もできる攻撃的な色である赤で、やや重めですが継続的なドローの見込めるカードが存在すること自体は戦術の幅を広げてくれると思われます。相手の統治者を奪い取ることが容易になるのもメリットです。バーンよりはクリーチャーを用意しやすいRDW系のほうが扱いやすいでしょうか。

個人的に試してみたいのは土地破壊との組み合わせです。《倒壊》やマナ加速からスピード重視の土地破壊で相手の展開を止めた後に《真紅艦隊の准将》を出して優位をより強固にする動きは強力そうです。自身もパワー5で速やかに勝負を決める力があります。

《焦熱の連続砲撃》

今回の最注目カード。2点の全体除去としては最軽量かつ、インスタントであるため環境に大きな影響があるでしょう。

「海賊でない」という制限は実用的な海賊が少ない現在メリットに働くことは少ないですが、上述の《真紅艦隊の准将》を巻き込まずに済む等細かいシナジーはありそうです。漏れやすいですが多相も除去できません。

1/1を並べるデッキの代表格と言えばエルフでこれまでは《電謀》に耐えられるタフネス2を維持すれば比較的安全でしたが、1マナ足しただけで2点が飛んでくるようになったので油断が出来なくなったと思われます。

青系クロックパーミッションの構成にも影響がありそうです。《呪文詰まりのスプライト》《深き刻の忍者》《昆虫の逸脱者》のいずれもインスタントタイミングで除去される可能性が生じるため、赤が出るデッキを相手にするときにはこのカードの存在を意識した構築、プレイングが求められるようになります。特に呪文詰まりのスプライトの打ち消しに対してフェアリーを全て除去することで強力なカウンターとして働きます。

赤が含まれる、コントロールよりのデッキでは大抵サイドには入りそうですが、うまく使えそうなのはグリクシス系の神秘の指導コントロールとウルザトロンだと思います。アグロに対する序盤の強力な防御になるので、アグロ側も対策が必須になると思われます。

《衝動的なこそ泥》

死亡誘発で宝物を遺す1マナ1/1のゴブリン。効率で言えば《野生の朗詠者》《ブラッド・ペット》のような感覚ですが、クリーチャータイプに恵まれていることで様々な使い道が考えられます。
ゴブリンは言うまでもなく様々なシナジーのあるクリーチャータイプです。《ゴブリンのそり乗り》や《スカークの探鉱者》で能動的に宝物を出してマナ加速可能である事は注目です。
また、海賊であることも今後のアグロデッキでは重要で、小粒ながら《焦熱の連続砲撃》を受けないクリーチャーとしての採用も考えられます。
再演はオマケ程度ですがマナフラッドの時に頭数を増やせるので悪くはありません。

《間に合わせの砲弾》

アーティファクトかクリーチャーの生け贄で任意の対象に1点。《ゴブリンの砲撃》に似ていますがマナが掛かる代わりにアーティファクトの生け贄にも対応しています。

これだけの軽さでクリーチャーに対しても火力を撒けるエンチャントは初で、クリーチャー主体で組む必要があり除去のスロットが少なくなりがちなアリストクラッツ系デッキを強化してくれると思われます。

アーティファクトの生け贄にも対応しているため手がかり、食物などのトークンでも対象になります。また、継続ダメージの出せるエンチャントのため一応コンボパーツにもなります。これ+《エーテリウムの彫刻家》or《鋳造所の検査官》+《アシュノッドの供儀台》+《マイアの回収者》×2で無限マナ+無限ダメージ。

《空荒らしの巨人》

赤い到達持ち。《砲塔のオーガ》の下位互換。

・緑

《苛立つアルティサウルス》

新録。7マナの高スペックなファッティに続唱付き。6/5到達、トランプルは《グルマグのアンコウ》とは相打ちになりますがPauperのほぼすべての飛行クリーチャーを落とせるサイズで劣勢でも頼りになります。

この手の大振りなカードは打ち消しに弱いですが、続唱のおかげで1枚分のアドバンテージが保証されており弱点がカバーされています。7マナの続唱から繰り出される呪文はもちろん強力な効果を期待でき、対処する側は無視できないサイズのクリーチャーと同時に、それらのカードにも対応が必要になります。

《激情の共感者》で呼んでくるカードとしては最上級で、続唱で2枚目の共感者がめくれた場合はさらに《苛立つアルティサウルス》をもう一枚唱えることができます。

使用する際は《突き止め》などで占術を行って強力なカードをトップに積み込みたいところ。

《流翼組の脱走者》

新録。低パワーに対するブロック制限の付いた、6マナ7/4のパワフルなクリーチャー。自身のマナコストよりも軽い再演を持ち、そこそこのスペックがあります。

面白いですが直接的なアドバンテージにはつながらないため、高マナ域としては《苛立つアルティサウルス》などが強力なライバルでしょうか。緑で攻撃を通しやすいため、6マナという重さを乗り越える手段があれば検討の余地はあります。

《造命師の贈り物》

+1/+1カウンターを1個置き、その後+1/+1カウンター限定の増殖を行うようなカード。最低限1体のクリーチャーを+2/+2することができ、インスタントであるためクリーチャーを守ることにも使えます。

しかし、基本的には増殖のほうが対応する幅が広く《花粉光のドルイド》等が軽く扱いやすいと思われます。+1/+1を重視するデッキで《着実な進歩》等の増殖持ちインスタントを採用できない緑単色であれば併用もありうるでしょうか。

《自然の再生》

新録。続唱持ちの《帰化》。インスタントですが5マナは取り回しが難しく、すぐに対処したい置物に対するサイドボードとしては重い印象です。

意外にドロー付きのアーティファクト、エンチャント破壊はコモンだと条件付きの《引き裂く蔦》しかないのでキャンリップとの比較は難しいです。一応アンコモンまで行けば《真っ二つ》がダブルシンボル4マナのため、適正ではあるでしょうか。

オリジナルの《帰化》に比べて3マナも上がっているため、そこをカバーできるほどのリターンが見込めるかはメタ次第になります。

なお《力強い否定》ほどではないにせよ唱えられるタイミングが限定されているため狙ったカードを唱えるための種としては扱いにくいです。

《虹色の笛吹き》

共闘持ちの統率者の固有色を1色足す効果はありますが、クリーチャーとしては平凡のため1vs1のPauperで使われることはないでしょう。

・その他

《イロアスの武器庫》

攻撃を行うたびに+1/+1カウンターが置かれる装備品。コスト的には《ヴァルショクの鉄球》と同じで、即効性や他とのシナジーを考えないのであればヴァルショクの鉄球のほうが扱いやすいでしょう。

3ターン目以降はより大きい修整を得られる、装備を外してもカウンターが残る等が利点です。再装備で複数のクリーチャーにカウンターを撒くこともできますが《武器置き台》がより軽く増殖とのシナジーがあるためライバルになるでしょうか。いずれにせよ長期戦向きの装備品と言えます。

《ダイアモンド》サイクル

5色のダイアモンドが全てコモン落ち。2マナタップインのマナ・アーティファクトはすでに《太陽の宝球》《星のコンパス》などがあり、多色サポートという意味では印鑑サイクルもあるため、立場は厳しいか。

《金線の使い魔》

ETBでライフゲイン、死亡時に1ドローと《真面目な身代わり》を思わせるクリーチャー。本人は3マナ2/2と平凡ですがアーティファクトのためどの色でも使える汎用性の高さが売りです。

尖った活躍は期待しにくいためどのデッキに合うということは言いにくいですが、ライフゲインをしにくい色の組み合わせでの追加の回復手段や、アーティファクトとクリーチャーの頭数合わせに中速以降のデッキでは見られるかもしれません。

《鋳造所の検査官》

《エーテリウムの彫刻家》と同じ能力を持ったアーティファクト・クリーチャー。彫刻家と違って自身が無色のため0マナで唱えられる可能性もあります。

用途としては彫刻家と同様コンボパーツになります。8枚体制が可能になるので《ゴーレムの鋳造所》や1~2マナの軽量アーティファクトを組み合わせたデッキを強化してくれるでしょう。

無色かつ自身も3/2と殴れなくはないサイズかつ、これ1枚で親和(アーティファクト)持ちが2マナ減るため、親和デッキの潤滑剤としても検討できるでしょうか。

《憑依の外套》

サイズ修整はないが3つの能力を同時に付与する装備品。いずれもサイズが大きいクリーチャーに付くと強力な能力であるため、サイズは大きいが能力を持たないタイプのクリーチャーの支援にはなるでしょうか。

速攻付与としてみた場合は《闊歩する者の装具》《ガラスの靴》などと比較してそれぞれ一長一短で、そういったカードを採用するデッキがあれば選択肢には上がる可能性はあります。

《吠えたけるゴーレム》

《吠えたける鉱山》のクリーチャー化。アップキープではなく攻撃かブロックにトリガーする。

各プレイヤーが同時にドローするためタイミングで不利になることはないが、アドバンテージ差は付かないのでドローによる恩恵をデッキ全体で大きくする必要があります。

もしくは本家と同じくライブラリーアウトデッキでの採用はあるでしょうか。自身のドローと《ジェイスの消去》で2枚分のライブラリーを削り、濃霧系やさらなるドローカードを補充できます。濃霧を貼った上でブロックに参加すれば、無傷で各プレイヤーにドローをさせることもできます。

クリーチャー化していることで除去される可能性は上がっているので注意。

《ジェイラム秘本》

継続ルーターを行えるアーティファクト。コモンの継続ルーターには青のエンチャントに《精神鍛錬》がありますが、これはタップ能力である代わりに色を選ばずに採用できます。

唱えるのに3マナ、能力起動に2マナの計5マナかつ継続して運用するにはさらにマナがかかるため、かなり長期戦向きになるでしょうか。クリーチャーではないため除去されにくい利点はありますが、逆に言うと戦場に影響は与えないため「捨てる」ことをシナジーに組み込む等のそれなりのリターンがなければ採用は難しいでしょうか。

《大渦の巨人》

続唱持ちの巨大アーティファクトクリーチャー。色を選ばずに採用でき続唱によりアドバンテージが保証されるため、8マナという重さがクリアできるのであれば扱いやすいカードになります。

戦場に与えるインパクトとしては《ウラモグの破壊者》のほうが上で、これは続唱により2枚分の対処を要求することが強みになります。《苛立つアルティサウルス》との続唱連発なども考えられ、しかるべきデッキでは活躍が見込まれそうです。

強力ですが7/7とはいえ戦場に出てしまえば所詮はバニラなので、デッキ全体の他のカードとの組み合わせが大切になると思われます。

《堅牢な玉座守り》

ETBで統治者になるクリーチャー。5マナですが無色かつ2/5警戒とそれなりにスペックがあります。

《宮殿の歩哨》と比較しても1マナ重くなった分サイズで優っており、パワー4までを止めることが出来るのは統治者の維持に大きく貢献します。一方、アーティファクトになったことで除去されやすくなった面もあるため油断は禁物です。

統率者レジェンズで各色に実用的な統治者能力持ちが揃ったため、基本的にはそちらが優先して採用されると思われます(緑は5マナの《トレストの随員》のみであるためこちらを使うこともあるでしょうか)。が、統治者の採用頻度が上がり枚数を稼ぎたい場面も増えると思われ、その場合の5枚目としては問題ないスペックがあります。

また、色を安定させにくい多色デッキや、ペスト等のタフネスが重要になるデッキではこちらを優先する可能性はあります。意外に無視できないのが《ギルドパクトの守護者》を止められる点で、これは他の統治者能力持ちや、実用的な高タフネスのクリーチャーでは出来ない芸当です。これまでだったなら《ギルドパクトの守護者》が居ると容易に統治者が奪われてしまうような場面であっても《堅牢な玉座守り》であればブロック可能で強気に統治者を取りに行ける可能性があります。

・総括

後編は6000字を超えましたが、赤、緑、アーティファクトがそれだけ見るべきカードが多かったということだと思います。

《焦熱の連続砲撃》が特にメタゲームに影響しそうで、クリーチャーを主体にしたデッキはこの存在を意識してデッキを組む必要があります。

また、6~8マナにコスト相応のパワフルなカードが数多く追加されたため、これまでにない形でランプデッキが隆盛する可能性もあります。現状、ランプ戦術の代表格はトロンですが、トロンを応用したデッキになるのか、違った形でマナ加速を行うのか、期待が高まります。

実用的な統治者能力持ちが各色に追加されたことにより、統治者の奪い合いがより多く見られるようになると思われます。青は今まで自分から統治者になることは難しかったですが新規追加の《失墜》《蒼穹艦隊の提督》ともに強力で、先置きしやすい性能のため青中心のデッキでも統治者による戦術がみられるようになるでしょう。

総じてPauper環境に大きな影響を与えていこうという意思が感じられるセットだと思いました。昨今の他環境の状況を見ると手放しで安心できるわけではないですが、新しいカードで環境が変わっていくことが良い変化につながることを願いたいと思います。

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