2017年度に行われた県費負担教職員給与費の政令市移管。任命権者と服務監督権者と給与負担者の統一だけでは済まない。賃金不利益を裁判所が認定。

学校現場に必ずと言っていいほど配備されている機器のひとつに、拡大機がある。


「拡大コピー機」「拡大印刷機」などとも呼ばれる。「ポスタープリンター」と呼ぶ人もいるが、それは商品名だろう。


それはともあれ、私の勤務校にもこの拡大機が活躍しているわけだが、約10年のお勤めを終え、このほど引退することとなった。


電子的な機能には何ら問題ないのだが、印字に機能する部品「サーマルヘッド」が経年劣化し印字のカスレが発生。


サーマルヘッドは消耗品なので症状自体はやむを得ないこと。ならば交換すれば良いのだが、業者に相談したところもうメーカーは製造しておらず、流通も1年ほど前に途絶したとのこと。


これだけ大きな機器のうち、ほんの指先程度の部品が交換できないだけで、機器自体を廃棄し買い替えなければならないというのはなんとももったいない。


環境問題が世界的に叫ばれ、国内的にはSDGsが流行りだが、こういうところも変わっていってほしい。



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なお、新しい機器は29万円+税。


年々減額され続けている川崎市立学校の配当予算。勤務校の今年度の学校運営費配当予算は約600万円。拡大機だけで実に5%。


かなり大きな支出で、今年度は予算執行計画には頭を悩まされた。



さて、昨日は埼玉教員超勤訴訟の判決があった。


判決を簡単に読んだ範囲での受け止めは、昨日のうちにtwitterでツイートした。


以下のツイートからのツリー。






埼玉教員超勤訴訟、判決文をざざっと読んで、法律素人が感じたこと。◯判決を通してその基盤となっているのは、教員の業務について、自主的自律的判断に基づく業務と校長の指揮命令に基づく業務の「渾然一体」論。しかし労働訴訟においてこれは、司法の怠慢・責任放棄ではないか。
— 伊藤拓也(全学労連) (@it_zgrr) 2021年10月1日




https://twitter.com/it_zgrr/status/1443876596687859717



後日、こちらのブログにも加筆して記録しておこうと思う。


が、今日はその4日前に横浜地裁で出された判決を紹介しておきたい。


以下のツイートからのツリー。




先日27日、川崎市立学校事務職員の友人二人が賃金上の不利益をめぐり、措置要求について実質的に審議せず棄却した市人事委員会判定の取り消しを求めて取り組んできた訴訟で、一審勝訴判決を勝ち取りました。(下の新聞記事は引用にとどめるため一部画像処理)#川崎市 #学校事務職員 #人事委員会 pic.twitter.com/SncBBBR2R7
— 伊藤拓也(全学労連) (@it_zgrr) 2021年9月29日




https://twitter.com/it_zgrr/status/1443351332354547715



こちらも。




2017年度に行われた県費負担教職員給与費の政令市移管により、#川崎市 立 #学校事務職員 の一部年代に賃金不利益が生じたことを認めた9/27横浜地裁判決を受け、学校事務職員労働組合神奈川(がくろう神奈川)川崎支部は9/30、被告の市 #人事委員会 に対し、控訴しないよう求める要請書を提出しました。 https://t.co/oNiQUIOKDv pic.twitter.com/BbWxXpl0Cw
— 伊藤拓也(全学労連) (@it_zgrr) 2021年10月1日




https://twitter.com/it_zgrr/status/1443779344560578569



2017年度に行われた教職員給与費の道府県から政令市への移管により、私も含む川崎市立学校教職員の給与負担は神奈川県から川崎市に移管された。


この際、学校事務職員の適用給料表は神奈川県学校行政職給料表から、川崎市行政職(1)給料表に移行させられた。


私の所属する学校事務職員労働組合神奈川・川崎支部は、川崎市においても学校行政職給料表を設けるよう要求したが、川崎市教委当局は応じず決裂した経過がある。



そして、異なる給料表に移行させられ級構成も号給間差額も変わってしまった結果、特定の採用年次だけが他の採用年次と比較して賃金上の不利益を被ることとなった。


これがこの訴訟をめぐる問題だ。



原告2人は、この不利益が最も大きい採用年次に当たる。


そして実は、私も同じ年次。同期だ。


私と彼らはこの問題をめぐり、異なるアプローチでそれぞれ当局に迫ってきた。


同時に、情報交換を行うとともに、訴訟に対しては傍聴等の支援を行ってきた。



当たり前の話だが、採用年次だけが原因で賃金上の不利益が生じることなど、許されるものではない。


川崎市教委当局の判断の誤り・不作為である。


この横浜地裁判決は、その不利益・不均衡が相当程度にあることを認定した。


大きな成果だし、勇気づけられる。


原告2人に敬意を表するとともに、川崎市人事委員会・川崎市教育委員会は賃金不利益是正にただちに取り組むよう求めたい。


判決は東京新聞・神奈川新聞・朝日新聞・読売新聞の各紙でも報じられた。社会的にも、注目いただきたい。



政令市移管後、川崎市立学校とそこで働く教職員を取り巻く環境は、悪化の一途をたどっていると私は考えている。


政令市移管は、任命権者と服務監督権者と給与負担者の単なる統一では済まない。


賃金不利益だけではない。


でもその話はまた今度。

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