天国と地獄の狭間
仕事が終わって誘われたライブハウスに僕はいた。
その日に40人の動員がなければ即解散という名も知らない地下アイドルに友達が誘ってきたのだ。
普段から仲は良くしてるがそのアイドルには興味があまりなく、でも40人の1人になれれば役に立てれば嬉しいという気持ちで仕事先から駆けつけた。
現地に着くと地下でこじんまりとした薄暗い箱の中で爆音が鳴り響いていた。
ドリンクチケットをもらい生ビールを注文。こういう所で飲むアルコールは最高である。
酔える成分を体にぶち込み落ち着くとライブも終盤で動員の発表がきた。
緊張の一瞬。
知らないアイドルだが歌っている表情や笑顔を見ればどんな想いなのか大体わかる。
スケッチブックに書かれた36という数字。
にバッテンされた右上の39が観客のため息をつかせる。
解散の想いをみんなが語る。泣いてるメンバーもいる。
その時、誘った友達から電話がきた。「ちゃんと来てるの?」って「きてるよ」って答えたら電話が切られた。
確かに俺が来てなくて39の数字だったら恨むかもだがそこの部分はさすがにイラついた。
解散が決まって最初で最後の曲。
拝啓、神様なんて大嫌いみたいなタイトルだった。
神様って非情だなって思った。もっと神様の事嫌いになっちゃうよ?って
最後の曲は刹那的に終わった。初めて聴いた僕でもそうだった。
その後、物販が始まって泣きながらチェキを撮るファンがいた。
僕は友達を待とうと2杯目のアルコールを体内に流し入れていた。
すると入口の方に今来た?お客さんみたいなのが見えた。
ファンの1人がその場で友達を呼んだのだ。
動員といえば動員。
セーフと言えばセーフ。
存続が決まった瞬間だった。湧き上がるライブハウス。
誰か欠けたら40という数字が出なかった。その1人になれて僕も嬉しかった。
でも本人達の事を考えると自分達の力だけで40の数字を叩き出したかったはず。
首の皮一枚繋がったという感じであろう。
だからこれからのメンバーに期待かな。
1回地獄を見た人は強くなれる。這い上がれる。
神様はいたね。応援してます。 とあるこどおじより