コラム第4回:テーマ 見えない課題は解決できない

こんにちは!忙しさにかまけてコラムをサボりがちで周囲に突かれている木村です!

7月2日(火) 14:20-15:20、SORACOM Discovery 2019 @グランドプリンスホテル新高輪ル で基調講演のパネルを務めます!
既に3,000名以上申し込みがあるようですが是非お越しください!

【設備は意外に止まっている】

多くの製造現場で感じてきたことですが、スマートファクトリーを進めるにあたり、現場の抵抗がある場合や、経営がIoT化のニーズを理解していない場合があります。目先のオーダーで忙しく、「システム導入のために設備を止めるのか」と言われることもあります。

そんなケースでも、実際に現場やデータを見ると設備が2時間くらい、時には1日8時間ほども止まっていたりします。経営はそのデータを見て初めて「こんなにラインが止まっているのか」と気づくのです。

【認識のズレを生むのは人】

ではなぜ、現実と経営の認識にズレが生じるのでしょう。

多くの場合、そもそも停止時間を記録していないということがあります。記録していたとしても1時間程度の停止では、経営層に報告が普通は入りません。。また、短い停止は記録されないことが多いですし、、停止時間の記入を人が行うと、短めに書きがちという傾向もあります。

これまでのコラムで紹介してきた旭鉄工の事例でも、作業者が設備の停止時間を手書きしていた初期段階には、「感覚的に」10分と書いたり、すごく短い場合は書かなかったりというケースがありました。経験上、多くのお客さまで、「1日何個作ったか?」という生産個数は記録しても、設備の停止時間の8〜9割は書かれていないのです。

【問題点は表に出す】

問題が見えていなければ、解決しようがありません。例えば、ある日の停止時間が多かったとしても、何一つデータがなければ、なぜそうなったかという原因は追究できず、当然、改善もできません。その繰り返しによって現場は、「停止とはそんなもの」「いつものことだ」となってしまいます。

逆を言えば、問題が見えれば、つまり停止時間が表に出て「何が起きたか」を顕在化できれば知恵が出てきます。日本人はまじめなので、問題が見えれば考えます。意見を言うと改善される、というサイクルに入りさえすれば、みんなどんどん意見を言うようになるのです。

「問題点は表に出す」つまり、見える化が重要なのです。

製造現場では、「今やっていることが当たり前」になりがちな傾向が強いです。
現場=職人の世界はブラックボックスになっていることが多く、「職人や現場じゃないとよくわからない」ということに陥りがちだとも聞きます。

そうした場合でも、「設備がこんなに止まっている」という数字を提示されれば反論はできません。弊社のシステムは、「何時間かけて」「何個作って」「どれくらいバラつきがあるか」「どれだけ止まっているか」を見える化します。このようにサイクルタイムの把握を容易にすることが、問題の解決への第一歩になるのです。


【製造現場発の強み】

弊社のソリューションは、旭鉄工という現場で鍛えてきたものです。
最初は、産業機械が「動いているか」「止まっているか」といった簡単なデータを取るところからスタート。それを使って1年ほどが経ち、設備は稼働しているのに生産個数が少ないと分かってきて、自然に「生産個数のデータも取りたい」と発展していきました。

安価で、簡単で難しくないという点に加え、生粋のIT企業が作った製品ではなく、お客さまと同じ製造会社が試行錯誤の上に構築したソリューションだということも、お客さまにプラスに働いていると思います。

講演活動などで全国を回り地方の製造業の方にお会いすると「どうやっていいか分からない。分かる人に来てほしい」という声を多く耳にします。また、自社でやろうと弊社の工場を見学に来る方も多いです。

しかし、自社でやろうとしても、ハードウェアとソフトウェアの両方を理解し、ITと現場の両方を知り、データと現場の問題点を結び付けるノウハウも必要です。さらに、実装した機能を即日現場で検証する、といったスピード感も欠かせません。簡単にはいかないのが現実です。

それに対し、弊社のソリューションは年間50万円程度から導入できます。万が一失敗しても、畑違いのことに自社で取り組むよりは、はるかにリスクは少ないのです。


【スマートファクトリーの今後】

現在行っている単位時間当たりの生産数、トータル時間、停止時間、サイクルタイムなどに加え、今後は人のデータが重要になると思っています。

例えば歩数や脈拍を把握して、疲れ具合、作業のやりやすさ、集中度合いなどをチェックするといった具合です。このように、人に着目した生産性改善が進めば、大規模な設備投資をしなくてもさまざまなことが可能だと考えます。

また、現場で起きる現象とデータを解析して、特徴的なデータの形と現象が紐づけられれば、「こういうデータの時はこういう可能性がある」とアラートを発することができます。問題が起きた場合も、原因の予測がつきやすくなるはずです。


【省人化・自動化の流れ】

また、製造現場の今後を考える上で、労働人口の減少は避けられない事実です。


例えば、旭鉄工の西尾工場には鍛造工程があります。この工程では、鉄を1200℃くらいに熱し、1.5トンくらいの型でたたくのですが、これを人間が足でコントロールしています。当然、熟練工と新人では出来が違います。
新人育成も大事ですが、労働人口の減少を踏まえ、この工程をデータと画像を使って可視化し、機械でも熟練工と同じことができるようにしようと取り組んでいます。

フィードバックをしていくと、機械はどんどん賢くなります。人を育てても途中でやめられたら困りますが、機械で良いとなればどうでしょう。

旭鉄工に限らず、今後、こういう考え方の企業は間違いなく増えていくでしょうし、増えざるを得ないと思っています。


【次回予告】

テーマ:i Smart Technologies社を設立

中小企業の生産性を向上させることを目的に弊社を設立するに至った経緯と、これまでに何社に導入いただき、どのような成果が出ているかを合わせて紹介します。

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