コラム第7回:テーマ 現場の声が改善の力になる

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IoTに取り組むことに対し企業にはどんな期待や疑問があり、取り組み後にはどんな成果が出ているのか。今回はそれらを知っていただく一助になればと、AIやIoTを県内企業に浸透させるためのプログラムとして当社サービスを採用してくださった石川県庁を訪問。いつものコラムとは趣向を変えて、石川県庁の渡辺課長との対談形式で進行したいと思います。

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【石川県がIoTに取り組む】
渡辺 日本では人材難が顕在化する一方、働き方改革の推進もあり、生産性向上が課題となっています。石川県もご多分に漏れずで、AIやIoTを県内企業に浸透させたいと考えたのが2018年の始め頃です。

当初、AIやIoT採択企業への補助金制度を設けましたが手を挙げる企業が思ったほどありませんでした。ヒアリングやアンケートを実施したところ、そもそもIoTがどういうもので、何ができるか、どう活用すればいいか分からないという声が多いという結果が出てきました。
そこで、まずは「人材育成」からスタートし、第2段階で「コンサル支援」、さらに第3段の導入段階で「補助金」という、3つの段階をパッケージにした支援メニューを考えました。

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【システム×改善ノウハウ。かけ算が強み】
木村 そこでお声かけいただいたのが当社でした。改めて、選定のポイントを教えてもらえますか。

渡辺 さまざまな提案を受けたり実地体験をしたりしたところ、座学中心のものが多かったんです。座学にもいい面はありますが、その場で分かった気になっても、実践には結びつきにくいと感じました。その点、iSTCさんのプログラムは、センサーを取り付けた上で、どういうデータを見える化するか、さらにそれをどう活用するか、実践的に一気通貫に学べるものだと感じました。
自社でセンサーなどを作り上げた経験を持つiSTCさんは、現場の苦労が分かり、現場を知っているというのも決め手でした。それに、やるからには楽しくやってもらいたい。悩む前に行動した方がいい、と思ったのも事実です。

木村 センサーを使ってデータを取るだけだったら、当社より優れた企業は数多く存在します。ただ我々は、改善のノウハウや、やり方・運用も兼ね備えています。私はいつもかけ算だと言っているんですが、システム(サービス)があり、改善してきた実績がある。それを掛け合わせられるのが強みだと自負しています。

それに「悩む前に行動」「やってみればいいじゃん」という感覚は、まさに当社流ですね(笑)。最初から完璧なものをやろうとすると動きが取れなくなりますが、思った通りにはできないことの方が多いのも事実。テクノロジーは日進月歩です。多大な投資が不要なものならどんどん試して、ダメだったら次を試す。低予算での設備導入などがやりやすい時代になっていることは、IoT設備の導入を検討している皆さんの後押しになっていくと思います。

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【自社の「当たり前」を見直す】
渡辺 こうした経緯で、人材育成のための「実践道場」と銘打ち、座学とデモ機を活用した実体験を通してIoTを理解・活用できる人材の育成や、技術指導・相談などのコンサルなどを2018年にスタートしました。導入初年度は様子見の感もあったのですが、実際に生産性が向上した事例も多く、1年間の成果をセミナーで発表したりメディアを使ったプロモーションをしたりしたところ、2019年度は参加希望企業が殺到しました。

iSTCさんには自治体さんと組んで行った事例も多く、プログラムの内容についてもディスカッションを繰り返し、構築していけたと思っています。
中でも、1プログラム=A〜Eの5社1チームで3カ月、という設定にし、その間に2週間に1回程度、5社の代表が集まってA〜E各社を訪問。みんなで問題点を抽出し、改善点を検討していくという方式は画期的だと思いました。

木村 自社では当たり前になっていることも、他社の人が見ると「なぜこんなことをやっている?」となること、往々にしてありますよね。みんなが集まって各社を回り問題点を指摘する、いわば対外試合を実践することが改善への近道になるわけです。

その場では、私を含むiSTCのスタッフはあくまでサポート役。我々が現場であれこれ指図するのではなく、皆さん自身が考えることで成果が出るという考え方です。
それが現場に気づきを与え、社内に改善の仕組みを構築することにもつながっていきます。仕組みができなければ、コンサル終了時点で改善も終わり。逆に仕組みが回るようになっていれば、我々がいなくなってもどんどん改善が進むし、そうなっていってほしいと考えて取り組んでいます。

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【Eラーニング、遠隔コンサル…。広がる可能性】
渡辺 毎回、対象企業の訪問を終えると徹底的にダメ出しのディスカッションをしていますよね。常に思ったことを言い合い、プログラム改善につなげられています。その1つがEラーニング。座学的な知識は事前にEラーニングで学んでもらうことによって、現場での時間をより実践的に、有効に使えるようになっていますね。

木村 モノづくりの現場に現地・現物は必須ですが、現場をある程度知った後なら、「遠隔コンサル」を活用するのもいいと考えています。
iSTCでは動画を使ったシステムをテスト中で、今後は5Gの普及で、さらにストレスのない実用が可能になるでしょう。

「遠隔コンサル」は、現場の様子をモニターで見ながらコンサルします。その結果、我々コンサルタントが毎回、出張していく必要がなくなりコスト削減になるというのが1つ。さらに、現場に集うA〜E社の代表者以外もモニターでコンサルの様子を見ることができるので、時間と費用をかけずに多くの皆さんがプログラムを体験でき、より多くの人材育成が可能になります。もちろん、当社内もコンサル人材の育成につなげられるので、一石二鳥以上の効果です。
また、プログラム終了後のコンサル継続も、遠隔コンサルを併用すれば低予算に抑えられます。

渡辺 3カ月間のプログラムをやって生産性を向上させることが目的ではなく、その後にそれを継続してくことを目的としているわけですから、「遠隔コンサル」が実現すれば、iSTCさんの拠点である愛知と石川の間の物理的な距離が解消され、持続可能なシステムにできますね。

それに、現在のプログラムでは1チーム5-6社ですが、プログラムはそのままでも、モニター参加できる企業数を増やすことが容易になります。
初年度の参加企業からは具体的に「成果が出た」といった声や、プログラムを体験したことで理解が進み、IoTを使う合意が現場で醸成されたという声も聞いています。
より大きな広がりになるように我々も頑張ります。今後もよろしくお願いします。

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