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僕のストリングスをMIXしてみませんか?

ヴィヴァルディの四季のアルバムを先日発表しました。

普通のアルバムと違い、生演奏できるパートはすべて私のみで自宅録音を行い、ヴィヴァルディの協奏曲「四季」を全て収録してアルバムにしたのですが、その素材をぜひ皆様に使っていただき、「MIXしたらどうなるのか?」を体感していただきたいと思いました。

自由テンポで録音しておりますのでタイミング調整に手間取りました。
DAWはStudio One 5 Proを使用しておりますが、特にファイルやプラグインは関係ございません。

全曲ではなく冒頭部のみです。

春の第1楽章の最初の1分のみ。しかも有料ですが、ステムファイル(すべてバラバラの状態の収録音源)とともに、この音源に編集した際の基本的な編集内容や使用プラグインなどをご紹介いたします。

https://youtu.be/Mo8Scke6JHs
リンク先で音源が聞けます!

内容物

こちらの動画は以下のステム録音をMIXしております。

収録内容
 Violin Solo 3トラック(冒頭の3Violin Solo)
 ViolinⅠ 4トラック
 ViolinⅡ 4トラック
 Viola 3トラック
 Cello 2トラック
 Cello Solo 1トラック

打ち込み
 
Cello アンサンブル
 Bass アンサンブル
 Harpsicord 

MIX音源
 エフェクト付きのMIX音源
 エフェクトを外したのMIX音源
 エフェクトとPC音源を外したMIX音源 
 PANを全てCENTERにしたMIX音源

※WAVファイル、48.0kHz、24bitです。

録音機材
 オーディオインターフェース Discrete 8SC
 マイク U87Ai、AT4050、KM184StereoPair

冒頭1分13秒のみになりますので予めご了承ください。

以上のファイルが入ったZIPファイルのダウンロードリンクに加え、私なりのMIXのテクニック情報を書いてあります。ヴァイオリンのMIXに慣れていない方は何かの参考になるかと思います。

なお、こちらのファイルは商用に使うことは固く禁じます。
冒頭部のみとはいえ、BGM販売に使える可能性があるためです。
商用でのご利用はこちらをご購入ください(四季全曲あり)


使用ソフトと使用の仕方

ノイズリフレクションソフト

iZotope RX8 standard
ヴァイオリンソロのみのノイズを処理しています。
ソロは伴奏と比べて目立つようにするため、どうしてもノイズが目立つことになってしまう為、特別に処理しています。宅録で収録する音に対してはこれは必須のソフトくらい大事です。

主に削るのは以下の点です。

狭い部屋での収録で発生する近接効果を減らします。
200Hzあたり:弦と弓の毛がブツかる打撃音が強く出ます。
3500Hzあたり:弦と弓の毛の擦る音が強く出ます。
8000Hzあたり:必要以上に強く出る倍音や弦の裏返りの音が出ます。
そのほか、気になる音がある場合は削ります。


pitch修正

Celemony Melodyne Studio or Editor
音程が気になるところに使います。ヴァイオリンは倍音が多いため、低価格のpitch修正ソフトだとうまくいかないことが多いです(歌は意外と楽です)。Melodyneはその能力を4ランク分けされて販売されています。お勧めですがメロディックではなくポリフォニック(和音・倍音)編集が出来る値段が比較的高いランクの「Editor」以上でないと、痒い所に手が届きませんのでお気を付けください。

基本的に編集ありきで収録はしておりません。

ソロでは使っても、ストリングス(多重録音による伴奏)にはほとんど使いません。多少音程に誤差があったほうが音がマイルドになるためです。全て100%修正してしまうと、音が多重録音なのに必要以上にきつくなってしまいます。

リバーブ

Liquid Sonics - Cinematic Rooms Professional
僕は1つしか使ってないです。
今回はバロックということもあり、残響成分は多めに設定しています。

これである必要はないですが、ストリングスを混ぜるうえでいい感じになります。

ポップスの人から見たらかなり長いかもしれませんが、アンサンブル用小規模、中規模のホールだと残響時間が3秒くらいあるんです。これは体感であって最後のほうがものすごい小さな量で残響が残っている感じですね。

イコライザー

FabFilter ProQ3
これかなり大事だと思います。
RX8の項で触れていましたが、同様のことをストリングス全体にかけています。すべてのトラックをRX8で処理をすると骨が折れるので、このような分かりやすいUIで削ります。sooth2も使うことが多いですが、同じような処理をしています。

マイクからあまり離せられない(1Mほど)ので
1kHzあたりもうっすら削ると近接効果が薄くなりますね。私なりの体感です。

Soundtheory - Gullfoss
ストリングスにかけます。もう自動である程度凸凹を減らしてくれるので、うまく均してくれます。ほとんどTAMEしか触らないです。

コンプレッサー

sonible - smartComp
AI機能がありますが、どちらかというとストリングスでアタックや倍音が強く出てしまった凸凹を視覚で確認しつつ、薄く使用します。これもある種、マイクが近いためにおこる現象を緩和するためですね。

ステレオイメージャー

Leapwing Audio - StageOne
ちょっと変わったステレオイメージャーで、
WIDTH 広がり / DEPTH 奥行き に加えて
モノラルトラックをステレオのようにしてくれるMONO SPREADがあり、生録音によるストリングスを作るうえでとてもお手軽に構築できると思い、多用してます。

これとPANとバストラックの連携でストリングスをコントロールしています。

リミッター

A.O.M. - Imvisible Limiter G2
ほんと、守護神のような感じで最終段に入れてます。

ディザー

A.O.M. - Dither
これも真の最終段ですね。CD化などでbitが下がる劣化を緩やかにするプラグインです。

コンソールの設定画面

僕のMIXでも「良いな」と感じられた方には、これが1番参考になるかもしれません。MIXするプロならこうはならないですよね(苦笑)

注意してみていただきたいのが、ほとんどインサートしていないところですね。生音さを出すのも好きですし、めんどくさい権化のような人間なので、ソロ用のBUSとストリングス用のBUSに分けて、それぞれにプラグインを設定してます。

PANを見ていただけると分かるように、対向配置です。
オケでいう対向配置とはVn1とVn2が左右にぱっくり分かれる配置です。普通は左側にくっついてることが多いです。実際の演奏ではアンサンブルが大変難しくなる配置なのですが、DTMでは左右に分けることで曲によってはサウンドの広がりがステレオ効果が顕著に出やすいのです。

このヴィヴァルディはそのようなアレンジの曲が多いので、この形が効果的だと思い設定しました。

また、この方法だと低音楽器を真ん中に持っていきやすいので、骨格が作りやすいのもメリットです。

音源

Harpsicord - Wavefactory

安いです!セールの時に半額になるし、重宝してます。

Cello、Bass - Spitfire Chamber Strings
チェロはプロではなく私自身が弾いておりますが、値段も16万の、かなり安い楽器ですので「ストリングスに混ぜる」ことを優先して録音してます。
この音源を個人的に多用するのですが、演奏人数が44433で、宅録で納品するトラック数に近いため、デモと録音と音の厚みや広がりの差が小さくなくて済んだり、生音に混ぜやすそう、という基準で使ってます。

混ぜ方は、ホント適当で、なにもプラグインを使わず音量とマイク設定の場所でうまくいきそうな感じの場所を探してます。

オートメーション

音源のチェロとコントラバスには大まかにオートメーションを組んでます。
耳で判断していますが、Staccatoはほとんど使わないです。Longを短く切った方が理想の音に近いと思うことが多いからで、極端に短くて輪郭をはっきりしないといけないときはspiccatoを使用することが多いです。

Staccatoで細かく設定できるソフトではCinema Studio Stringsがあるのですが、
Spitfire Chamber Stringsと違って収録人数の多いため、小アンサンブルの曲には使っていません。


ここまでで、大事な情報はだいたい終わりです。
続いて録音ファイルの保管リンクを張りますが、もし情報が有効そうでためになると感じられた方は、応援の意味を込めて記事をご購入いただければ幸いです。

録音ファイル

以下にダウンロードリンクを張ります。
有料にさせていただくのは、原盤権の防止策です。

アンサンブルとして音を馴染ませるため、
すべてモノラル録音ではなく、ステレオ録音をしているところが味噌です。

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録音音源のダウンロードリンク

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