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【投資】9552 M&A総研HD - 撤退

本日、日本株のポートフォリオの1つとして保有していたM&A総研ホールディングス(9552)を全売却しました。当銘柄は、本日が東証グロース市場からプライム市場へ移行後の取引初日。一旦材料出尽くしということもありますし、もともとこの銘柄については、自分の本来目指している(うまく出来ているとは言わないが…)「長期的な視点で優良な企業を割安に買う」というスタイルとは違う意識で購入したので、早めに売却することにしました。


投資成績

先に当銘柄のパフォーマンスについて整理すると以下の表の通りです。

9552 M&A総研HD 取引まとめ

年初2023年1月12日に2,165円(7月の3分割を考慮した価格)で購入。その後足元の好業績と今後の成長余地に対する期待から、短期間で上昇。売却価格は3,560円でしたので、約7ヶ月ちょっとで64%のリターンとなりました。

当銘柄のこの1年間のチャートは以下の通りです。途中、4,500円と購入価格から倍以上になってた時期もありましたが、そこでは上手く売れませんでしたね。

9552 M&A総研HD チャート

数字的なパフォーマンスでいえば、十分かそれ以上の"成功銘柄"と言えます。事実、今年これまで一番ポートフォリオに貢献してくれた銘柄です。しかし、保有期間中はなんとなく「自分のスタイルを貫けなかった」感が満載で、あまりいい気持ちがしませんでした。ここでは、自身への今後の反省として、経緯等をまとめておければと思ってます。

購入経緯

当銘柄を最初に知ったのは、同業界に転職活動をしていた息子がこの会社について教えてくれたことでした。M&A総研は、若手経営者である佐上峻作氏が2018年に創業、わずか3年9ヶ月で上場を達成した新進気鋭のM&A仲介業社です。人的資本集約型のビジネスですので、ベースとなるM&A仲介アドバイザーを積極的に採用しつつ、DX/AIを活用し、M&Aクローズまでのプロセスを効率化し(期間の短縮化、コストの削減)、1件あたりの利益率の高さが他社比の優位性につながっていると理解しています。

購入にあたっての最大のネックは、PERが70倍程度(現在も同程度)と極めて割高に見えたこと。もちろんそれは、足元のビジネスのROEの高さ(70%)と今後の成長性への期待の表れですが、自分のスタイルであればそもそもスクリーニングにすら入らない割高さでした。

そうした割高さに対する懸念はあったものの、以下のポイントをプラスと捉え、最終的には購入するという判断に至りました。

  1. M&A業界自体の需要の堅調さ(高齢化社会を迎え事業承継ニーズは続く)

  2. 佐上氏はきっと優秀な経営者であろうという期待(お会いしたことありませんが、インタビュー記事等から勝手に想像^^;)

  3. M&Aを通した周辺事業への拡大の可能性(例えば2413 エムスリー的な感じ?)

売却に至った判断

1月に当銘柄購入以降、発表される四半期決算は常に良好。1月には持ち株会社に移行され、あらたに企業を売却したオーナーの資産運用ニーズに対応すべく資産運用子会社の設立を発表、7月には3対1の株式分割、そして今月は東証グロースからプライムへの市場区分の格上げ等、そのスピード感は十分満足できるものでした。

ではなぜ今回売却することにしたのか?その最大の要因は、急速に拡大するアドバイザーの数と、そのクオリティの維持に対する懸念です。会社自体も、「M&A仲介事業は労働集約型のビジネスモデルであり、M&Aアドバイザーの増加数が重要指標」として、積極的に人材を採用しています。7月時点のアドバイザー数は180名と年初から倍増、3年後までにはアドバイザー数を700名にすることを目標としています。

特に「あれ?」と思い始めたのが、当方が購入直後くらいから開始した「1 Day 選考会」。1日の面接で人を採用するとのこと(今もやってるかどうか知りませんが)。もちろん、採用のプロセスに何日もかけたからって優秀な人材を選別できるとも限らないので、1日でも実際のところはOKなのかもしれません。ただ自分としては、「インセンティブベースで働く社員が、200人、300人と集まってくると、いろいろとハレーションも起こり、これまで通りの定着率、収益性を維持するのはさすがに難しいのではないか?」、そして「そんな人たちで構成される500人、700人規模の集団って、ただのカオスではないか?」という心配がムクムクと湧いてきました。

まあそんな程度の懸念なんですが、もともと自分本来のスタイルと合致した銘柄でもないため、本日東証プライムに移行し、ある程度目先のイベントを消化したということで、一旦売却することとしました。

もちろん、M&A/事業承継自体のニーズの堅調さ、社長の優秀さ、そして今後の事業拡大、周辺事業への展開等への可能性など、プラスに考えていたところへの評価は変わってません。上記の人材のクオリティに対する懸念も、きっと乗り越えていかれると思います。その辺り、今後もウォッチはしてきたいですね。

なお自虐ネタになりますが、過去、自分の株式投資に対する後悔でもっとも多いのが、「あの銘柄買って損した」ではなく、「銘柄を売った後、その銘柄がさらに急騰した!」ということです。基本、右肩上がりの相場に乗っかってただけですので、買うのは「結果オーライ」でしたが、売るのはあまり上手くやれてないですね。さて、今回はどうでしょうか?(笑)

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