見出し画像

【投資】「行動経済学が最強の学問である」

直接の投資ネタではありませんが、今回は最近読んだ本の話題。タイトルは『行動経済学が最強の学問である』(相良奈美香著、SBクリエイティブ)。最近流行りの行動経済学についての概要を包括的にまとめた書です。身内の病院の付き添いで結構待ち時間がありそうだったので、普段あまり紙媒体の書籍は読みませんが買って読んでみました。

なぜこれが投資関連なのか?これまでの伝統的な金融理論・投資理論はあくまでも"人間が合理的な判断をする"という前提で理論が構築されています。しかし、実際の人間の行動や判断には認知のクセやその時の状況、また感情によって必ずしも理論で想定しているような合理的な判断をしているわけではありません。このような人間の判断のクセ/非合理性を学ぶことで、長期的な投資にも活かせるのではないか?と常に意識はしています。当方の過去のnoteでもいくつかの箇所で「これは行動経済学における…」って感じで言及しているところもあったかと思いますが、その現れですね。

当方の行動経済学との出会いは1997年から1999年にかけて米国のビジネス・スクールに留学していた時。金融工学の授業で、プロスペクト理論について学んだ時でした。

プロスペクト理論とは、人間は与えられた情報から、期待値に比例してものごとを判断するのではなく、状況や条件によってその期待値を歪めて判断してしまうことです。利益を得ることよりも損失を回避することを重視する傾向を表した損失回避性、人がものを選ぶ際に絶対的な基準があるわけではない参照点依存性、母数によって感じ方が変わる感応度逓減性がプロスペクト理論の代表的な3つの心理作用です。この理論は1979年にダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーによって展開されましたが、ダニエル・カーネマンはこの功績が讃えられ2002年にノーベル経済学賞を受賞しています。

金融理論と心理学の融合、それを初めて学んだ時、そのような人間の不合理な行動が理論化されていることに驚き、また非常に面白いなと興味を持ちました。そして「人の行動のクセを知ることは、投資にも活かせるのではないか?」と。例えば損失回避性から、人は保有株が損をしている時、早めのロスカットとしてその損を実現させることを嫌う傾向があります。そしてそのままズルズルと株価は下がり、結局は塩漬け…「損切りは早く、利食いは遅く」という格言は、まさにこうした人間の非合理な行動への戒めだったりします。

筆者曰く、まだちゃんと行動経済学全体が体系化されているわけでなく、著書の目的がその行動経済学の体系を提案することとのこと。最初にプロスペクト理論を学んだのがいまから20年以上も前の話なんですが、まだまだこれからも成長余地のある分野なんですかね?最近あまり読書をしたりせず、勉強も怠っているなって感じているので(笑)少しこの辺の分野の知識ももっと身につけていくのもいいかもなって思いました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?