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品川 力 氏宛書簡 その二十二

 ツトムさん―わざわざきていたゞいたのに、申訳ありませ
ん。夕方、瀬川潤氏から電話で、忘れた時計を持って
きたからといふので、彼はまた原稿を雜誌社へとゞけにき
たといふので、五時半頃彼と会ひ、散歩して、銀座へおより
しましたが、お留守だといふので、或は、と思ってゐたらやはり、
僕の家へ来られたのですね。すみません。おハガキも面白くよ
みました。日曜日(七日)は終日家に居ますから、是非きて
下さい。或は土曜日の晩あたりおたづねするかも知れません。
あひたくてあひたくて・・・どうも愛恋の情はたえがたいもの
ですよ。土曜日は午後六時ごろまで会社に居ますから、是非
でんわ’’’ででも声をきかせてください。


[消印]14.6.6 (大正14年)
[宛先]京橋区銀座尾張町
    大勝堂内
    品川 力 様


    五日夜十二時 ばらのかたはらにて。
       菊池 与志夫


                       (日本近代文学館 蔵)


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