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『若くして逝きし從姉妹に』品川陽子詩抄 (No.17)

若くして逝きし從姉妹に


春の日なかの
かくれんぼのやうに
明るく姿を消した
あなた
そっとかくれて
いまにもほがらかな笑ひが
飛び出して来さうな
そここゝの影多い繁み

けれどいま
春をたそがれて
あたりをこめた雲の
いよゝ深くなるにつれ
私はむなしい谺に
歎きの木蔭をだんだん深く
悲しい追憶オモヒデの影をひきながら
行くのです

                            自筆原稿より




(『品川陽子詩抄』平成25(2013)年10月 
            柏崎ふるさと人物館発行 より)


『若くして逝きし從姉妹に』は若杉雄三郎さんの雑誌『獨唱』昭和5年
9月号に収録されています。

『獨唱』昭和5年9月 獨唱詩社発行 より 日本近代文学館所蔵。


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品川 陽子(明治38年(1905)12月6日―平成4年 (1992) 12月12日)
本名は品川 約百よぶ
新潟県柏崎町納屋町に生まれる
詩人
佐藤春夫に師事
兄に、本郷の古書店「ペリカン書房」の品川力、弟は、版画家の品川工


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