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品川 力 氏宛書簡 その二十八

 ご尊父の御誕生当日、小正早朝より御邪魔に上り、
種々御懇情を忝うしたるは、感銘比事に御座候 その節は、
ハーモニカの妙曲とりどりに面白く拝聴 近來になき愉快を覚え
申候 例に依つて、葛飾草舎に一泊、夜をこめて愛恋の情を、
共々に分ち、終に、熱涙頬を流れるまでに至り申候 御失笑被下度候
 野瀬氏夫人終に復帰絶望。十八ぐらいの美しきひと欲しと申居候
條、御両親にもお話被下候上、精々御高配に預り度と奉存候
―詩人の思ひ出―牧歌的にて、愛読仕候。但し、末節(以上四行
抄出不可能)とは、貴兄の筆に候哉。若し貴兄の筆ならば、以下と
お認め可有之ところと存候。又抄出不可能なる内容承知仕度。
 御尊来待居候 
                       草々不一


[消印]14.9.30 (大正14年)
[宛先]京橋区銀座尾張町
    大勝堂
    品川 力 様


  9-30th     菊池 与志夫


                       (日本近代文学館 蔵)




※候文の判読が私にはできなかったため、日本近代文学館のNさんに判読し
 ていただきました。Nさん、ありがとうございます。


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