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[解説]『品川陽子詩抄』について

(一錢亭文庫、運営者記す)

2023年4月10日にペリカン書房に品川純さん(品川力さんご次男)を訪ねた際にプレゼントしていただいた、品川力さんの妹である品川陽子(約百よぶ)さんの「品川陽子詩抄」。

10.5×14.8cmの和綴じの本。平成25年(1913)柏崎ふるさと人物館で「第34回企画展 本の配達人 品川つとむとその兄妹きょうだい」開催された際、柏崎市立博物館学芸員の池田さん、早川さんが品川陽子さんの詩をまとめ、作ってくれたそうです。8部のみ作成され、親族の方々にくばられたという稀少本。未公開のものも含め、45篇の詩が収録されています。

その後、「品川陽子詩抄」に収録されていない詩について調査しました。

まず、大正14年から昭和4年にかけて、雑誌「婦人之友」誌上で佐藤春夫氏選出により入選したもの。

雑誌「若草」に大正15年に掲載されたもの。

後に「ラバウル小唄」の作詞で有名になる、作詞家の若杉雄三郎氏の雑誌「獨唱」に昭和5年に掲載されたもの。この雑誌は陽子さんの兄の品川力氏が日本近代文学館に寄贈してくれていたものです。

雑誌「音楽評論」に昭和9年から11年にかけて掲載されたもの。これも品川力氏が日本近代文学館に寄贈してくれていたものです。

歌人で実業家の内山英保氏の歌集「冬柏山房抄」に掲載された一篇。この本も品川力氏が日本近代文学館に寄贈してくれていたもので、与謝野晶子氏など著名な方の作品も多数掲載されている豪華本です。

雑誌「海風」に昭和13年から16年にかけて掲載されたもの。「海風」のほとんどの号は日本近代文学館に所蔵されていますが、第六年二月号はなく、大阪府立中之島図書館の織田作之助氏の資料を集めた「織田文庫」にあったので複写を取り寄せました。

昭和25年に「暮らしの手帳」に掲載されたエッセイ。

品川純さんより、「教科書に載ったことがある」という情報をいただき、探したところ、広島大学図書館さんが、昭和25年発行の中学2年、3年用の音楽の教科書に陽子さんの詩が掲載されていることを探し出してくれました。

詩は58篇とエッセイが1篇見つかりました。

そのうち、下記の6作品には曲がつけられています。

「處女」 清瀬保二 作曲
「火をいだく」 箕作秋吉 作曲
「櫟林の接吻」 箕作秋吉 作曲
「おもかげの雲」 箕作秋吉 作曲
「秋のうた」 池内友次郎 作曲 (中学2年教科書)
「におやかに」 池内友次郎 作曲 (中学3年教科書、詩は「處女」と同じ)


当ブログにも度々登場し、佐藤春夫さんからも高い評価を受け、一銭亭も陽子さんの詩を「神品にちかい」と称賛しています。

今回、陽子さんの詩を「一錢亭文庫」にて紹介させていただくことを純さんよりお許しいただきましたので次回より、一篇づつご紹介していきます。


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※サムネイルの画像は品川陽子(本名:品川約百しながわよぶ1906-1992)さんとキジ猫のマヤ。(品川陽子さんの写真はすべて、品川力氏次男の品川純さんよりご提供いただきました。)



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