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『火をいだく』品川陽子詩抄 (No.20)

火をいだく

いと靜かなる
山山も
時にひとしれず
火をこそいだきて立ちね

ましてわれやわれ
さりげなく
君へ向へど

               『日本新歌曲集』 世界音楽全集第39巻
                昭和8年 箕作秋吉編 春秋社
                初出『閨秀抒情詩集Ⅱ』


(『品川陽子詩抄』平成25(2013)年10月 
            柏崎ふるさと人物館発行 より)


※この詩は箕作秋吉の作曲で歌曲となっている。


 歌手は詩の表現を主としてあまり音
符の長さに捕はれないように、「われや
われ」の個所の表現が最もむづかしい
と思ひます。後のEsの方の「わ」は輕
く唱はぬとおかしくなります。伴奏は
深く臟された熱情を死火山の火の様に
靜かにしかも迫る様に、但し歌手の邪
魔をする程響かせては何もなりません。
(作曲者、箕作秋吉のことば)

      『日本新歌曲集』 世界音楽全集第39巻          
        昭和8年 箕作秋吉編 春秋社 より          
        所蔵:東京文化会館 音楽資料室





火をいだく
[作詞] 品川陽子
[演奏時間] 1分30秒
<照井詠三日本歌謡独唱会>
  照井詠三(bar) 佐藤由紀(pf)
日本青年館 1932.6.26
<日ソ新興歌謡の夕ー鯨井孝独唱会>
  鯨井 孝(bar)  宅 孝二(pf)
  築地小劇場 1933.11.16
<鈴木徳一郎第一回独唱会>
  鈴木徳一郎 吉田たか子(pf)
  蚕糸会館 1934.4.24
<第二回優秀演奏家推薦音楽会>
  千葉静子(alt) 岡崎素子(pf)
  日比谷公会堂 1943.3.24
[楽譜]
「音楽新調」
  9(6)1932 p.41~42 〈Mf〉

「塔」19号 1979年8月 国立音楽大学附属図書館 発行
箕作秋吉 書誌 260ページより

閨秀抒情詩集   Op 7
独唱&ピアノ
[作曲年]1930(S5)
[演奏時間] 10分
唄 ギターをとりて
火を抱く
櫟林の接吻
春 宵

(牛)
◎<室内楽作品発表会>
   千葉静子(alt) 藤田晴子(pf)
   産業組合中央会館 1942.12.17
 <第5春季音楽祭「現代日本歌曲の夕_Ⅰ>
   関 種子(sop) 伊藤チエ子(pf)
   横須賀市民会館 1953.3.5
 <第6回二期会邦人歌曲発表会>
   三宅春恵(sop)
   山葉ホール 1955.7.6

「塔」19号 1979年8月 国立音楽大学附属図書館 発行
箕作秋吉 書誌 258ページより

「塔」19号 箕作秋吉 書誌 については、箕作秋吉さんのお孫さんの
栃内まゆみさんより情報を教えていただきました。
感謝申し上げます。






#品川陽子 #品川約百 #詩 #箕作秋吉
#杉浦非水 #照井栄三 #照井詠三


※サムネイルの画像 出典:国立国会図書館「NDLイメージバンク」
杉浦非水創作図案集
(https://rnavi.ndl.go.jp/imagebank/data/post-172.html)




品川 陽子(明治38年(1905)12月6日―平成4年 (1992) 12月12日)
本名は品川 約百よぶ
新潟県柏崎町納屋町に生まれる
詩人
佐藤春夫に師事
兄に、本郷の古書店「ペリカン書房」の品川力、弟は、版画家の品川工

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