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バリデーションテストとリサーチャーの関与範囲

■バリデーションテストは退屈?

言葉を憚らずに言ってよければ、医療機器の人間工学設計バリデーションテストは、正直なところリサーチャーにとって退屈な調査とも言えます。製品上市のための重要性はもちろん理解していますが、①調査や報告の形式が決まっている、②評価すべきポイントがクライアント側のリスク分析・FMEA分析によって決まる、③UI改善を提言する余地が極めて限られている、といったことにより、通常のユーザビリティテストに比べるとリサーチャーの裁量の余地が少ないのです。

クライアントも、デザインマネジメントやリスクマネジメントのプロセスに従う中で、バリデーションテストだけを調査会社に切り出す形になりがちです。その結果、クライアントのリードが強すぎて、リサーチャーにとってはやや魅力に欠ける仕事になってしまうのです。

■人間工学設計プロセス構築に関与できないか

本来は、リサーチャーがHuman Factors Engineeringの専門家として、新製品開発のデザインマネジメントやリスクマネジメントのプロセスと並行して、人間工学設計プロセスを走らせることができればよいのだろうと思います。社内外のメンバー混成の開発チームになるため、日本企業にとっては特にハードルが高いかもしれませんが、ぜひ実現したいありかただと思っています。

一方で、リサーチャーにも、受託を超えてクライアントの人間工学設計プロセスの構築に寄与するような、高い専門性が求められるでしょう。

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