International UX Researcherはどこにいる?

▪️インバウンドとアウトバウンド

以前から気になっているのですが、英語を使って国際調査に対応できるUXリサーチャーは、いま日本にどのぐらいいるのでしょうか? UXデザインの一つの特徴はグローバルな原理・規範・手法の共通性ですから、国際交流から外れると日本のUXデザインが悪い意味で特殊化・内向き化する懸念があります。たいていの国にあるUXPA (User Experience Professionals Association) の支部が日本にないのはやっぱり妙な話ですし、カンファレンスや推進団体を通じた海外事例の学習機会はあるようですが、実務を通じた交流も重要だと思います。

実務を通じた交流の機会となる国際調査には、インバウンド案件とアウトバウンド案件があります。

インバウンド案件は、デジタルかハードウェアかを問わず、海外の企業が日本向けのプロダクトについて調査・評価したいときに、国内でのリクルーティングと実査を受託し、英語でレポーティングします。たいていは、海外の事業会社が現地のUXリサーチ会社に打診して、そこから依頼が来ます。

アウトバウンド案件は、日本企業が海外市場向けのプロダクトについて、現地の人を対象に調査・評価をしたいケースです。リクルーティング・調査会場予約・実査・レポーティングを海外のUXリサーチ会社に委託して、現地のUXリサーチャーが作成した英語レポートを日本語レポートに仕上げてクライアントに納品します。

▪️海外ネットワークも重要

調査参加者のリクルーティング、調査会場の確保、同時通訳の手配といったロジスティクスに「土地勘」が必要なのと、インタビューやユーザビリティテストのモデレーターには調査対象者の使用言語の高度な能力が求められ、調査結果の分析では現地の生活者のコンテキストを理解していることが不可欠なので、現地のUXリサーチ会社の介在は非常に重要です。

これらアウトバウンド案件での役割に加えて、現地のUXリサーチ会社はインバウンド案件の委託元にもなるので、国際調査に対応するUXリサーチャーは、信頼できる海外のUXリサーチ会社のネットワークを持ち、UXリサーチャーとしての共通言語でコミュニケーションできる能力を備えていなければならないでしょう。

こうした条件を満たし、日々国際調査に当たっているUXリサーチャーはそう多くないのではと思っています。幸い、私はそういう経験を積むチャンスに恵まれました。現在は医療機器を専門に業務をしていますが、ご相談などがありましたら、web版記事画面のフッターにある「クリエイターへのお問い合わせ」からぜひお気軽にご連絡ください。

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