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響きあう名宝 曜変・琳派のかがやき

2022年10月1日に、静嘉堂文庫美術館が丸の内に移転して新しくオープンしました。静嘉堂の創設130周年と新美術館開館を記念する第一弾が、この展覧会です。

確かに、静嘉堂の目玉、国宝「曜変天目」茶碗を始めとする名品揃いの展覧会ではあったのですが、正直どうも大味に感じられました。最近私が展覧会に期待するのは、珍品名宝よりも「なぜこの作品とあの作品が一緒に展示されるのか」というキュレーションの視点の取りかた、展覧会を貫くストーリー作りの巧みさのようです。

例えば、関西の近代数寄者が明末清初の文人・画人に寄せた共感(「古美術逍遥」展)や、日本美術におけるトポフィリア(「歌枕」展)といったテーマが読み取れた展覧会は満足度が高く、名品推しの力業みたいな展覧会(「ボストン美術館」展)にはあまり感心していません。
この傾向は、「究極の三井 vs. 至高の三菱」の記事の頃からありました。そう、三菱のコレクション展に大味な印象を持つのは二度目なのです。ちょっと今後慎重になってしまいますね。

そんな印象でもやもやする中、酒井抱一「麦穂ばくすい菜花さいか図」と、鈴木其一「雨中桜花楓葉図」は、のどかで心癒される作品でした。どちらも双幅=掛軸2幅で一対の作品。其一のは雨に煙る春の桜と秋の紅葉、琳派お得意の対句的で伝統的な題材ですが、抱一のは緑の麦の穂と菜の花、江戸文化らしい田園の春の題材で揃えてあり、少しひねった感じも気に入りました。

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