No,257.人は俳優であり演者なのか?(演技性パーソナリティ障害)
はじめに
周りから注目されようとしている人っていると思います。
一般的には目立ちたがり屋さんといえるだろう。
このような背景には、【注目の的】になっていないことによる不快感によるものだとされている。
大なり小なりそういった人は多いだろうが、度を越えた人格障害に演技性パーソナリティ障害がある。
演技性パーソナリティ障害
演技性パーソナリティ障害は米国の一般集団の約2%にみられ、女性の方が多く診断されている。
特徴としては、自分の身体的外見を利用し、他者から注目されるように不適切に誘惑的または挑発的な形で行動する。
他者からの注目をつなぎとめるために服従的で活発、情熱的でなれなれしいとされる。
また虚言(嘘)を話すことがあります。
妄想を事実のように虚言を話し、事実のように語ったり有名人や権力者と知り合いであるかのように振る舞ったりするほか、自分に注目を集める動機でも虚言を話すことがあります。
すべては継続的に注目の的になることを求めるためであり、そうなっていない場合にしばしば抑うつを生じる。
感情面での問題
感情を急に消したり見せたりすることがあり、そのため、他者には浅はかにみえることがある。
同時に、感情はしばしば大げさに表現する。話し方は大げさで強い意見を述べますが、その意見を裏付ける事実や詳細はほとんどない。
自覚することなく、ある役割(被害者の役割など)を演じることがあり誘惑的または感情的操作を利用してパートナーを支配しようとする一方で、パートナーに強く依存するようになる。
その他の症状
演技性パーソナリティ障害の患者は他者や最新の流行にすぐに影響を受けやすい。また自分の問題をすべて解決してくれるかもしれないと考える権威のある者に対してはむやみやたらに信じる傾向にある。
演技性パーソナリティ障害の患者は、目新しいものを無性に欲しがり、すぐに飽きる傾向があります。このため、仕事や友人を頻繁に変えることがあります。
見返りを得るまで待たなければならないことに【いらだち】を覚えやすいため、患者の行動は衝動的に満足を得る行動に移るとされる。
演技性パーソナリティ障害の診断(注1)
不適切なほど性的に誘惑的または挑発的な形で他者と交流する。
感情がすぐに変わり、浅はかにみえる。
自分に注意を引くため常に身体的外見を利用する。
会話は非常にあいまいで、詳細に欠ける。
感情を劇的(大げさ)で、芝居がかった、大げさな形で表現する。
他者や状況にすぐに影響を受ける。
人間関係を実際より親密なものとして捉える。
(注1)国精神医学会が発行している精神障害の診断と統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)第5版(DSM-5)に基づいて下されます
演技性パーソナリティ障害の原因
親からの注目を得られなかった
親が「親」としてより「男女」の部分が強かった
両親どちらかの異性問題を目の当たりにして育った
こいういった外見的魅力や性的魅力が大きな存在感を持つようになる養育環境、その後の経験が影響されるといわれる。
つまり自分が他人からどのように見られているのかという観点のみでした自分のアイデンティティを見つけられず、自分自身の内面に目を向けられない認知パターンが出来あがったとされる。
まとめ
内面が充実していて生活している世界に合っているのなら多少常識外れでもとても魅力的な人物だろう。ただ、内面の充実がともなわず内外のギャップが開いてしまった場合には生活や人間関係や精神状態に様々なトラブルをおこす要因となってしまう危険がある。
外から見た外見や言動、人間関係や人生が華やかだったとしても、それが「演技」だったのだとしたら、その人自身にとってどれほど苦しいものだろうか?
最後まで読んでいただきありがとうございます♪
参考文献
MSDマニュアル 心の健康問題/パーソナリティ障害/演技性パーソナリティ障害-hpd
医学と学ぶ 心と体のサプリ
American Psychiatric Association. (2013). Diagnostic and statistical manual of mental disorders(5th ed.). Washington. DC: American Psychiatric Publishing. (アメリカ精神医学学会 高橋三郎・大野 裕(監訳)(2014).DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル 医学書院)
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