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No,84.執着心って諸刃の剣なの?

山を歩いていたら、ふと「執着する」ってなんでだろう?と思ったので、執着心についてつらつらと書いてみる。

とりあえず、執着心がある人・ない人の特徴を恣意的に説明してあったのでまとめてみました。

執着心がある人の特徴

男性【恋愛の場合】 自分のスタンスを崩したくないために、相手に自分の物差しを押し付けて、拘りを通す。

女性【恋愛の場合】 親友や彼氏など特定の相手が、自分以外の人と話しをしただけで、もやもやした嫌な気分になる。


男性【仕事の場合】 元々執着心が強い男性が歪なプライドを持ち始めた場合、トラブルに発展する可能性があり、パワハラやモラハラを行ってしまう。

女性【仕事の場合】 仕事でミスをしてしまったり上司に注意されたなど、些細なことで極端に自信を失くしたり、恋愛によって仕事に影響を及ぼす。


男性【プライベートの場合】 幼い子供に対して本気で怒りを露わにしたり、自分のことは棚に上げて相手を攻撃する。自分のプライドを守ることに必死で、周りの状況が見えていない。

女性【プライベートの場合】 一人でいることが不安でグループに属していたい、頻繁にSNSを利用して誰かと繋がっていたいなど、執着心が強い女性は、主に人間関係での拘りが露わになります。


執着心がない人の特徴

【自分と他人の境界線がわかっている】 執着心のない人は必要以上に他人に期待をせず、自分を必要としていない人に無駄に近づいたり、理解してもらおうという気持ちがない。

【単独動ができる】 自分の軸があり、何か行動を起こす時もやりたいからやる、やりたくないからやらないといった、とてもシンプルな動機で行動する。とはいえ、協調性がないわけではなく基本的に自分と合う人や物には、素直に好意的な態度を示します。また、客観的に自分を見て行動するといえる。

【感情の起伏が少ない】 感情が大きく揺れている時は伝えたいことが伝わらないこと、感情をぶつけたところで相手は変わらないことを理解している。

【分け隔てなく接する】 付き合いが進む中で自然に合う人が残り、合わない人は去っていくという原理を知っているため、無駄に先入観を持つことがなく、分け隔てなく人に接する。

(引用:執着心がある人の特徴・ない人の特徴・捨てる方法・心理|恋愛https://driver-times.com/driver_lifestyle/personality/1064069)

確かに、執着って仕事や恋愛の場面で説明する方がわかりやすい。

けど・・執着心がある場合は男女の違いがあるのに、ない人の場合は男女間がないのは何故だかよくわからない。それに、なんで執着するの?どういう人が執着傾向があるの?

ググって分かることは氷山の一角なんで、先行研究を交えながら更なる深堀りをしていきます。

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はじめに(先行研究)

執着心(執着気質)とは、※執着心と執着気質を同様のものと書いていきます。

執着気質とは,熱中性,凝り性,徹底的,几帳面,責任感旺盛などを特徴とする。下田によると,この性格の本質は体質に基づく感情興奮性の異常にあり,上記の特徴はこの本質が生活場面で発現した行動傾向である。この性格特性のために,知らず知らずのうちに感情的疲労状態に陥り,その極において躁状態,またはうつ状態を発すると考えている(引用:心理学辞典 、p1008) 。

こういったように、多くの人は執着心ってネガティブなイメージがあると思うけど、恋愛や人間関係だけではなく、経営や学問、スポーツなど目標を達成するためには執着心が必要です。

仮説として(想像範囲内)、

ポジティブな場合(仮説)

執着心 ⇒ 自分を信じて一貫性をもって根気よく頑張る ⇒ 他人の評価は気にしない  目標達成 ⇒ 他人が評価

ネガティブな場合(仮説)

執着心 ⇒ 他人の評価のため頑張る ⇒ 他人の評価を気にする⇒ ͡自分と他人の評価の違い ⇒ 疲労状態 ⇒ 目標達成が困難になる ⇒ 他者依存

といった、執着心にはこういった2つのパターンが考えられる。

何かを成し得るには①ポジティブなパターンが重要だけど、②ネガティブなパターンの場合は話が変わってくる。

例えば、

メランコリー,執着気質の議論では,抑うつに陥りやすい人は,常に仕事や対人関係において模範的であると評価されることを求めており,またそのような評価を得ることでしか満足できない(杉山、2001)。

つまり、自分の考えや行動を他人に評価されたい、また自分自身の評価と他人の評価が同じでないと満足できないということです。

執着心がネガティブに働いた場合は、やはり他人の評価や他人の目を気にしていることがわかる。

例えば、自意識( 公的自己意識:他人の目から見た自分を気にする)の強い人は自己顕示欲や対人不安が高めであることが研究で示されている(菅原、1984)。

そう考えると、執着心は自意識や自己顕示欲、対人不安と関連があるかもしれない。

自意識とは,他者に見つめ られた時, 鏡に自分を映してみる時,私たちは多かれ少なかれ自分自身を意識する。こうした自意識の高まりが,個人の自己評価や社会的行動に影響を及ぼす (Duval & Wicklund ,1972)


まとめ

恣意的に考察してみたけど、執着心の根幹は自意識の強さ(その背景は自己顕示欲や対人不安)から喚起するのかもしれない。それにより、俺が俺が(周囲の人々から注目され、そして認められたい)の自己顕示欲の塊になったり、人に嫌われたくないなどの対人不安になる可能性がある。

そもそも、親でも自分のことを分かってもらえないのに、自分の評価を他人に委ねるばかりでは、自分自身はどこにあるのか?ってことになる。

まずは、自分自身の軸をもった上でお互いに(人に限らす全ての自然)尊重しあうことが、ネガティブな執着心から解放されるんじゃなかろうか?

人は分かりたい、分かってもらいたい。しかし自分の気持ちが100%分かるならもはや自分自身は存在しないし、相手の苦しみのすべてが分かるのなら自分の呼吸できなくだろう。一方で、自分の心の動きを100%理解してもらえるなら、もはや自分自身の自由は存在しないってことになる。つまりお互いに適度に理解して適度に理解しないといったバランスが大事であろう(伊藤、2017)。

古代ギリシャの哲学者アリストテレスは「人間は社会的動物である」と言った。これは人間は自己の自然本性の完成をめざして努力しつつ、ポリス的共同体(善く生きることを目指す人同士の共同体)をつくることで完成に至るということだろう。

アリストテレスの言葉を借りるなら、自分をわかってもらいたい、評価してもらいたいといった執着心だけでは「善く生きることを目指す人同士の共同体」は成り立たないかも知れない。

最後まで読んでいただきありがとうございます( *´艸`)

引用文献

Duval, S., & Wicklund, R. A. 1972 A theory of objective self-awareness. New York: Academic Press.

相馬敏彦・伊藤言(2017)「暴力的な絆はなぜ生じるのか-DVの予防に向けて-」『日本応用心理学会平成29年度公開シンポジウム』第44巻、第3号、pp.193-217

菅原健介(1984)「自意識尺度 (self-consciousness scale) 日本語版作成の試み」『心理学研究』第55巻、第3号、pp184-188

杉山崇「抑うつ者の自己: 他者体系~ 精神分析的, 精神医学的見解から実証に基づいた臨床心理学研究へ」『学習院大学人文科学論集』第10巻、pp127-140


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