No,189.捕鯨の文化「食文化について思うことー捕鯨を例にー」
YouTubeで「魚屋の森さん」の鯨肉をみていて食文化について思ったことについてつらつらと書いてみる。
捕鯨の歴史
日本の捕鯨の歴史は、初期捕鯨時代と呼ばれる縄文時代(石川県や九州地方)から始まったとされている。以後中世の捕鯨時代~1570年から知床半島の師崎で突取捕鯨法が始まり、鯨組と呼ばれる専業集団により産業として成立。この時代に三河地方から各列島に伝播し、和歌山県太地町に1573年に突取捕鯨法が伝えられた。
捕鯨の現状
捕鯨については、反対している国が多く、反捕鯨活動を題材とした「The Cove」(※シーシェパード)という映画が、2009年度第82回アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞など数々の賞を受けている。
The Coveを皮切りにイルカ漁(文化)と反捕鯨団体(シー・シェパードなど)が公に知らされることとなる。
この映画に対し日本では、2011年5月NHKが、「NHKスペシャル クジラと生きる」を放送した。
しかし、各国の反捕鯨に対する意識は年々強まり、2014年オランダ・ハーグの国際司法裁判所は、調査捕鯨は国際条約違反だとして、今後、実施しないよう日本側に命じた。
※商業捕鯨は2019年7月1日から31年ぶりに再開している。
第1章 両者のドキュメンタリー制作
1.1「The Cove」
「The Cove」を鑑賞。飼育員から保護活動家に転じたオバリーの心境の変化や、イルカの知能の高さなどを語ることから始まる。イルカは賢く自己認識能力があるため、水族館なので飼育されているイルカはストレスで胃潰瘍になり、ひどい場合は死に至るという。また、水銀を含むイルカの肉を食べることの危険性を訴える内容である。太地町にやって来た映画監督のシホヨスは、ハリウッドの特殊機材を使い、イルカを入り江に追い込んで銛で刺し殺す場面の撮影に成功した。
海面はイルカの血で真っ赤に染まる場面は反捕鯨団体ではない人たちにも衝撃的である。
この感覚は数年前にある肉屋のドキュメント映画を見た時に似ていた。飼っていた牛の眉間めがけてハンマーを振りかざし、1度では即死しなかったため2度目で仕留めた場面を思い出した。
イルカと牛を殺す場面とリンクしたのだが、これは鴨や鶏を捌く場面でも感じた。
この感覚は単に見慣れてないためだろう。
このドキュメントは、日本の食文化やアメリカが過去におこなっていた、マッコウクジラの脳油を獲っていた歴史にはまったく触れてないのが意図的だと感じた。
1.2「NHKスペシャル クジラと生きる」
「NHKスペシャル クジラと生きる」のドキュメンタリー番組について。
「キラー(殺し屋)」など反捕鯨団体に挑発や嫌がらせされている場面を放映することで、「The Cove」が意図的に切り取って撮影していたことを伝えたかったのだろう。
また、太地町のイルカ漁の歴史・文化、根付いている地元のコミュ二ティを紹介している。
しかし、水族館に売られているイルカなどには触れていない。
捕鯨の歴史はわかるが、いつ頃から水族館に売っているのか、それにより捕鯨の歴史である伝統的に食する文化とは少し矛盾が生じるではないだろうか。
1.3 「The Cove」と「NHKスペシャル クジラと生きる」2つの作品を視聴して
「広辞苑」(第4版)では、ドキュメンタリーを「虚構を用いず記録に基づいて作ったもの。記録文学・記録映画の類。実録」と定義している。ともにドキュメンタリー映画、TVとして制作している。
ただこの2作品(制作)については、意図的な演出が行われているのではないだろうかと疑問が残る。
反捕鯨活動家は「自己認識能力のある高い知能を持ったイルカを食べ、また水族館などに売り飛ばしている」との思想に基づいて制作している。
対して和歌山県太地町のイルカ漁は「この地の伝統における文化」を強く演出していることは否めないだろう。
結論
イルカ漁の伝統を守る太地の人たちや、反捕鯨団体のメンバーは同じ地球上で生きている、食物連鎖の頂点に立つ人間である。そのことは疑いようのない現実である。
この2作品が提唱している数々の文面は、他の生物をわかった気でいるばかりではなく、人間という生物もわかった気でいるのではないだろうか?
すべては自然動物を除外した行動であり、人間同士、ヒト=ホモ・サピエンス・サピエンスという種のなかでの出来事である。
人間に素晴らしい知が備わっているなら、ヒトは形式でHOMOは人、Sapiensは知、自己を認識である「汝自身を知れ」にたどり着くのではないだろうか。
最後まで読んでいただきありがとうございます( *´艸`)
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