No,154.努力の才能「才能と努力(情熱+粘り強さ)についてグリット(grit)を深堀り」
はじめに
No,152.でやり抜く力といわれるグリットのことを記事にした。そもそも、グリット(やり抜く力)が高い人はどんな人格の持ち主だろう?についてつらつらと書いてみる。
👇合わせて以前の記事を読んでみてください☺️
グリットは困難、失敗、競合目標にもかかわらず、長期目標に対して示す「情熱」と「粘り強さ」である(Eskreis-Winkler, Gross, & Duckworth, 2016)。
例えば、グリットの高い兵士はグリーンベレーの厳しい特殊訓練を完遂しやすいことや、グリットの高い販売員は仕事をやめにくいことが示されている(Eskreis-Winkler et al., 2014)。
グリットは困難を乗り越え、長期目標を達成できるか否かについての予測に有用であることが明らかにされている(竹橋ら、2019)
仮説 :このことから、情熱や粘り強さを発揮するには、自分を制御する力、つまり自分を統制出来るかが重要ではないだろうか?(自己統制:自己の意志に基づき自らの行動を調整していこうとする行動)図1。
図1
筆者作成
そこで、Rotter(1966)が開発したLocus of Controlをもとに鎌田ら(1982)が作成した、日本語版Locus of Control尺度を使用して、グリットとの関連を調べてみた。
Locus of Controlとは
つまり、もたらされる結果や力をつけることは自分自身の行動や考え方が重要だと思っている度合いです。
Locus of Controlは①Internal Control(内的統制)と②External Control(外的統制)の2つの概念(下位尺度)から調べることができます。
① Internal Control(内的統制)とは「あなたは、自分の人生を、自分自身で決定していると思いますか」
「俺の人生俺の力で切り開けるぜ!」的な人です(^^)
② External Control(外的統制)「あなたが、幸福になるか不幸になるかは、偶然によって決まると思いますか」
「自分の力より結局は運や偶然なんだから成り行きに任せるのが一番じゃない?」的な人です(^^)
ちなみに、高校生を対象とした実験では、External Control(外的統制)はInternal Control(内的統制)に比べて、学習不安、対人的不安、孤独傾向、過敏傾向、衝動的傾向が強いと示唆しているみたいです(次良丸、1985)。
そんなこんなで、Googleフォームでアンケートを作成したのちFacebookを利用して調査でをおこないました。
回答していただいた方、ありがとうございました(^^♪
方 法
調査参加者
Googleフォームでアンケートを作成したのちネット調査をおこなった(n=30)。※100人は欲しかった・・・
調査内容
材料
◉ 全12項目からなるグリット尺度(竹橋ら,2019)を用いた。「1: 全く当てはまらない–5: 非常に当てはまる」の5件法で実施した。
◉ 全18項目からなるLOC尺度(鎌原ら,1982)を用いた。「1:そう思わない–4:そう思う」の4件法で実施した。
結果
グリットとInternal Control(内的統制)、 External Control(外的統制)の相関を調べてみた(表1)。
表1
グリット尺度との相関係数は、Internal Control(内的統制)で (r= .57, p < .01)だったが、External Control(外的統制)との相関はみられなかった。
この結果は、類似的な先行研究(İ Çelikら、2018)であるAcademic(学問的)Locus of Controlにおいても、一部支持しているね。※彼らの研究ではAcademic Internal Control(内的統制)(r=.58)、Academic External Control(外的統制)(r =-. 53)
考 察
目指す目標に対して必要な「情熱」と「粘り強さ」は、運や偶然ではなく、自分の人生は自分で決め自分が切り開いていくといった積極的行動やが関連しているんだね。
おわりに
人にとやかく言われて決めるということは、その人の人生を歩んでいるに過ぎない。なりゆきや運を待つのではなく、自分の道は、自分で考え、行動することが重要だな~。
それには、素直に学ぶ姿勢がないと、自分の進む道は真っ暗でみえなくなり、考える技術も身につかないかもしれないなと記事を書きつつ思った次第です (〃艸〃)ムフッ
最後まで読んでいただきありがとうございます( *´艸`)
参考文献
Duckworth, A. L., Peterson, C., Matthews, M. D., & Kelly, D.R. (2007). Grit: Perseverance and passion for long-term goals. Journal of Personality and Social Psychology, 92, 1087–1101.
Eskreis-Winkler, L., Duckworth, A. L., Shulman, E., & Beal, S. (2014). The grit effect: Predicting retention in the military, the workplace, school and marriage.
Frontiers in Personality Science and Individual Differences, 5(36). doi:10.3389/fpsyg.2014.00036
İsmail Çelik1, Hakan Sarıçam(2018)The Relationships between Positive Thinking Skills, Academic Locus of Control and Grit in Adolescents. Universal Journal of Educational Research 6(3): 392-398.
次良丸睦子(1985)「高校生におけるLocus of Control と不安傾向および学業成績」『筑波大学医環技術短期大学部研究報告』6 ,69−75
鎌原雅彦・樋口一辰 ・清水直治(1982b)「Locus of Control尺度の作成と信 頼性、妥当性の検討」『教育心理学研究』30,302-307.
Rotter, J.B.( 1966) Generalized expectancies for internal versus external locus of control of reinforcement. Psychological Monographs, 80, 1-28.
竹橋洋毅・樋 口収・尾崎由佳・渡 辺 匠・豊沢純子(2019)「日本語版グリット尺度の作成および信頼性・妥当性の検討」『心理学研究』89, 580–590.
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