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No,88.格闘家のギャンブル性「格闘技をやってる人はギャンブル好き?」

格闘技をやっている人の中で、格闘技歴とギャンブルのハマりやすいさについて違いがあるのか?についてつらつらと書いてみる。


アブストラクト

格闘技歴が短い人は、ギャンブルに対して肯定的になるとギャンブル依存になる傾向にあることが示された。

背景

厚生労働省によると、ギャンブル等依存が疑われる人は約70万人に上るといわれている(引用:厚生労働5月号特集)

そもそもギャンブルとは

ギャンブルとは、文化・法律で「ギャンブル」の言葉が持つ意味が異なるため、現在は、「物やお金など価値あるものを賭ける行為」またはそのような行為を商業化したものは「ギャンブリング」または「ゲーミング」と総称されている。「ギャンブル」は日本語のカタカナ俗語であり、諸外国ではgamblingが用いられ、日本人がイメージするギャンブリング=賭博という狭いとらえ方はされていない。また、ギャンブリング・ゲーミングは、特定の遊びの種類を指すものではなく「賭け事」「お金を賭ける娯楽」及びその行為・習慣を広く指す用語である。例えば、パチンコは、国内法では遊技。世界的には、一部に賭博性を持ったゲームであり、分類上はギャンブリングになる。(引用:一般社団法人日本SRG協議会(JSRG) https://jsrg.org/article/abouts/about_gamble/)

賭け事は胴元が儲かる仕組みになっているのはもはや自明。ということは、いかなる努力をしようと勝つ(儲かる)時は運が左右する。

格闘技で例えると、対戦相手が必ず勝つ(確率が高い)尚且つ努力しようとも勝つには運しかないということになるんだけど?

格闘技に関わらずスポーツ全般に言えることだが、勝敗が運のみであるギャンブル(異論はあるとは思いますが)を競技者が好むとは考えられないなと。

そう考えていたら、確かに格闘技をしている人で賭け事にハマっている人をあまり見たことがないな〜と思ったんで、恣意的に検証してみた。

仮説

格闘技歴が長い人ほど、ギャンブル依存になりにくいだろう。

対象者

●  格闘技経験:(32名)

● 格闘技年数(1年未満~20年以上)

● 年代(10代~50代)

質問内容

※ギャンブリングパッションスケール(Rousseau et al.2002)を一部変更して使用

原文:「このゲームは、私に忘れられない経験を与えてくれる。」

変更後:「ギャンブルは、私に忘れられない経験を与えてくれる。」など10個の質問に答えてもらった。

分析結果(統計ソフトHADを使用)

①因子分析

因子分析をかけたら、2因子に分かれたので「ギャンブル依存」「ギャンブル肯定」と名付けた。(表1)

キャプチャ
表1


②階層的重回帰分析

「格闘技歴」と「ギャンブルの肯定感」およびその交互作用項を独立変数、「ギャンブル依存性」従属変数とした階層的重回帰分析を行った。階層的重回帰分析では、まず第1 ステップで「格闘技歴」「ギャンブル肯定感」を投入、第2ステップで「格闘技歴×ギャンブル肯定感」の交互作用を投入した。「格闘技歴」と「ギャンブル肯定感」の交互作用の有意な影響性が示された(β =-.27, p <.05)。(表2)

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表2

※この表もあくまでも統計的エビデンスなんで無視してください。

③交互作用

格闘技歴が短い人の方がギャンブル肯定感を持つと、ギャンブル依存性が高まることが示された。(図1)

キャプチャ
図1

※点線が格闘技歴が短い人、実線は格闘技歴が長い人を表しています。線が右に行くほどギャンブルに肯定感高く、上にいくほど依存になりやすいことを示しています。この図では点線が右にいくほど上に上がっていることがわかります。

仮説の検証

「格闘技歴が長い人ほど、ギャンブル依存になりにくい」というのは分からなかったけど(有意じゃない)、格闘技歴が短い人はギャンブルに肯定的な感覚を持つと、ギャンブル依存になり易いことが示された。

考察

格闘技歴が短い人に比べて、長くやっている人は自分の範疇ではコントロールできないギャンブルや運(外的要因)よりも、努力によって得る利益(内的要因)を重要視しているのかもしれない。

おわりに

この分析はデータ数が32名と少ないので、あくまでも遊びの範疇だと思ってください。

最低150人のデータが欲しいところなんですが・・・

最後まで読んでいただきありがとうございます( *´艸`)




参考文献

Rousseau.F.L.,Vallerand.R.J.,C.F.,Provencher.P.J.(2002).Passion and Gambling:On the validation of the gambing passion scale(GPS).Jounal of Gambing Studies,18(1).45-66




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