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No,186.秩序の弊害「秩序と無秩序についてー磁石とエントロピー増大の法則を例にー」

はじめに

黒いマジックで白と書いたら白と読みますよね?

そのことについて、いつも思うことがあります。

「いや白ではなく黒でしょ!だって黒い色(マジックの色が黒)だから」

なぜ白と読むのだろう?

それは感覚で入ったものを意識(自己制御)が抑制しているから白と読んでいるからです。

自己制御を調べる代表的な課題にストループテストがある。

色ではなく文字を読む👇

キャプチャ1


つまり感覚(色)を頭で入ってきたら思考で抑制して文字を読む。

この課題は、注意の制御能力と処理速度を測定できるといわれる。

一般的に注意の制御能力の高い人は、「頭の良い人」といわれ、低い人を「頭の悪い人」といわれる。

代表的な自己制御は「不適切な接近行動を抑制する能力」「やりたくないが,やらなくてはならないことはやる」「必要に応じて,集中したり注意を切り替えたりする能力」と定義されている(Rueda, Posner &Rothbart, 2004)。

つまり自己制御は、社会生活で必要な能力だろう。

しかし、こういった感覚より思考を重要視する社会を考えると、いつも物理の秩序と無秩序について考えてしまう。※ちなみに私は文系人間で、物理(自然科学)については素人レベルを前提に・・

秩序と無秩序ー磁石を例にー

図1をみてください。磁石は温度を上げると磁性を失ってしまう性質があります。

図1

キャプチャ3

量子臨界現象は臨界温度内では秩序(ここでいう磁気)は保たれるが、臨界温度を超えると磁気を失い無秩序になる。

磁石をアナロジー的にいえば、思考は制御できる臨界温度内といえるだろう。臨界温度を超えれば制御が出来なくなれば無秩序状態になり感情のみが先行し、社会は混乱していき、個人は法律を無視した暴力に頼る行動に出る。

当然、臨界温度を超えた場合に温度を下げる制御が必要になり、自己制御が必要となる。

また『エントロピー増大の法則』でも同じことがいえる(図2)。

エントロピーの低い状態を一言で「秩序ある状態」、エントロピーの高い状態を「無秩序な状態」と表現しましたが、「秩序ある状態」や「無秩序な状態」には、いろいろの様相があります。エントロピーの高い低いと事物の状態との関係をまとめると次のようになります。

エントロピーの低い状態=思考

エントロピーの高い状態=感情

図2の『エントロビー増大の法則』が自己制御と同じことがことがいえる。

図2

キャプチャ2

常に、温度が高ければ高いほど臨界温度に下げる労力も大きくなり、エントロピーの高い状態に転移する力が強ければ強いほど強い自己制御が必要になるだろう。


さいごに

冒頭で述べた「黒いマジックで白と書いたら白と読む」ことも社会生活には必要なスキルであることは自明である。

しかし、「白ではなくて黒でしょ!だって色は黒ですよ」といったことを考えることも大切である。

自分の感覚について考えることは、感覚と意識とのバランスを保つのに重要だろう。

『やじろべえ』のように。

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余談

よくこんなことを何気に話すと「何言っているかわからない」と安易に言われることがある。

そんな時は悲しい気持ちと同時に「あ~この人は、わからないことを考えてこなかったのかな~とか、わからないことについてしっかり考える習慣がない人なのかな~」と最近思います。by落合陽一。

最後まで読んでいただきありがとうございます( *´艸`)

参考文献

Rueda, M. R., Posner, M. I., & Rothbart, M. K. 2004 Attentional control and self-regulation. In R. F. Baumeister, & K. D. Vohs (Eds.), Handbook of self-regulation. New York: Guilford Press. Pp. 283–300.

参考URL

エントロピー増大の法則-エントロピーの話し(1)-

https://washimo-web.jp/Report/Mag-Entropy1.htm>2022年7月10日アクセス

ストループテスト

http://cogniscale.jp/wpcontent/uploads/2017/10/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88.pdf>2022年7月10日アクセス

量子臨界現象―秩序と無秩序の狭間に現れる面白い物理

https://www.jps.or.jp/books/gakkaishi/2016/04/71-04trends.pdf>2022年7月10日アクセス



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