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対人恐怖症

人前で緊張する、うまく話せないなどの現象の一つに対人不安がある。

対人不安とは
①対人不安論では、対人不安が起こるのは、人から見られる自己を過剰に意識し、その場を避けたいという動機が生じるため(Buss)

②自己呈示理論では、他者に特別な印象与えたいと思っているが、出来るかどうか疑わしく、自分の印象に関連した不満足な対応を他者から受ける可能性があると予測した時に、対人不安が生じる(シュレンカーら)

③日本的生活習慣である自己主張よりも相手へ細やかな心遣い、論理的説明より心情的了解、法律・契約より不文律・信用と言ったものが影響している(板野ら)

なぜ対人不安が生じるのか?

例えば
1.公的自己意識
他者の視点から自己を見るようになり、自己評価が低下しやすくなることで社会的不安を生じる

2.自己没入(自己注目)
自分について考えやすく、自分について考えだすとなかなかそれが止まないという特性(丹野ら)

また、ネガティブな出来事には自己に帰属するが、ポジティブな出来事に対しては自己注目を避ける傾向にある。

そのため他者からの否定的な評価を受けることへの恐れを生じるものと考える。自己没入が長引けば自分に対する見方をネガティブにしてしまい、対人不安を大きくするとか考えられる

3.抑うつ
抑うつの人は非抑うつの人に比べ対人関係を持つための働きかけ半数程度であり、自分から話しかけることが少なく、対人関係場面において緊張が高い。

反対に対人不安が少ない人は自我同一性が高いと言われている。

自我同一性とは、  
①自分の過去、現在・未来の不変性と連続性の意識 

②そのような自分を肯定し、未来に向かって意味のある歩みを続けているという意識

③自分が見る自己と社会が見る自己が一致しており、社会から評価され受け入れられているという意識を持った人は自己同一性が確立されている。

対人不安とそれらの相関は

対人不安と自己没入とは正の相関(r=.32)

対人不安と抑うつとは正の相関(r=.26)

対人不安と自我同一性とは負の相関(r=-.40)

すべてp<.01


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