2.2 観光業に賭けてボロ儲けした外資

2016年ごろから、ホテルや民泊が注目されるようになりましたが、実は随分前から日本の観光ビジネスのポテンシャルを見出していた投資家がいました。そのプレイヤーを紹介します。

ジャパンホテルリート投資法人は、 旧日本ホテルファンド投資法人と 旧ジャパン・ホテル・アンド・リゾート投資法人が合併して誕生した、 国内唯一のホテル特化型リートです。スポンサーのRockrise Sdn Bhdはリキャップ・グループ傘下のSC CAPITAL PARTNERSに属するマレーシアの企業で、国債からローン、社債、不動産まで幅広く投資し、不動産に大きく関わっています。以前は米ゴールドマンサックス傘下でしたが、リキャップ・グループに譲渡しました。共立メンテナンスなどサブスポンサーもいましたが、メインスポンサーはいずれも外資系でした。
ファンド資産総額 3,500億円

インヴィンシブル投資法人は2011年に破綻しかけていた東京グロースリートとLCPリートを合併させ、米フォートレスが60億出資して再生させた総合型リートです。 総合型といっても資産の約7割がホテルを占め、宿泊特化型からフルサービス、リゾートホテル、海外の高級リゾートまで様々なタイプのホテルに投資しています。2013年に420億で取得した東京ディズニーランドにあるシェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテルを、2017年にリートとシンガポール政府ファンドのGICに977億で卸しています。わずか4年で560億ものキャピタルゲインを出しました。また、グループ内には元ツカサウィークリーマンションの運営会社を買収したマイステイズホテルマネジメントがあり、リートのホテルを運営しています。
ファンド規模:4,500億円

森トラストホテル投資法人 
国内で唯一のホテルリートのスポンサーである森ビルは、総合デベロッパーとして、戦略的にホテルにも投資しています。ヘルスケア、インフラ、建築、メディア、通信、不動産、不動産開発にも大きく関わり、民間企業と一緒に開発を行っています。海外の企業を誘致したり、虎ノ門、六本木、麻布エリアを国家戦略となる2大開発予定地にすることも発表しています。
ファンド規模:2000億円

いちごホテル投資法人 
モルガンスタンレー証券出身のスコットキャロン氏が代表のいちごグループで組成したホテルリートです。少し後発組ですが、宿泊特化型のホテルや有名ホテルチェーン系列のホテルをメインに投資して、見事にキャピタルゲインを実現させています。
ファンド規模:2,000億円

これらホテル系リート4つのうち、3つは外資系ファンドがスポンサーです。外資に肩を持つわけではありませんが、震災後、ダメだと思われていた日本の観光業に可能性を見出し、見向きもされなかったホテルに投資して莫大な利益を出せたのは外資です。そして、いまや国策にもなりました。残念ながら、国内勢は、いずれも出遅れ、二番煎じ。外資は不良債権処理のために資産流動化制度のファンドスキームをうまく使って、日本の銀行から物件担保にノンリコースローンで調達し、さらにマイナス金利も享受しました。利益を出している優秀なプレイヤーであることは間違いありません。

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