3.4 物件は特約付きでも安く仕入れられる

「都心の土地を安く買うにはどうしたらいいですか?」とよく聞かれます。都心の土地は、実需層、デベロッパー、転売業者、個人投資家など、非常に競合が多く、取り合いになっている状況です。特に都心のブランド立地は土地の供給量が限られており、出物も多くありません。優良物件は売りに出たらすぐに決まってしまいます。その為、なかなか値も落ちず、安く買うのは簡単ではありません。

物件購入はゼロイチです。建築の検討や融資調整にいくら時間を費やしても、決済できなければ1円にもなりません。買えなければ、当然の事ながら、その労力は報われず、得られたはずの機会損失という見えないコストも発生します。時間がお金になる不動産投資において、タイミングや時間は非常に貴重です。購入した方がいいのか、買わずに見送った方がいいのか、その見極めと判断が大切です。

まず、マーケットをよく知る事です。マーケティング的にいうと、3C(競合=Competitor、会社=Company、売主=Client)のパワーバランスを理解することです。この3つうち、最も気をつけているのが競合です。不動産は唯一無二で、希少物件があればあるほど、誰もが欲しい物件です。自分が良いと思う案件は、即判断しないと無くなるという想定で探しています。現金購入できる資金力があれば越したことはありませんが、個人投資家や中小企業にはハードルが高いです。しかし、現金買いしなくても「武器」さえあれば、特約付でも物件をグリップすることはできます。

その武器とは「自身の保有物件」です。持っている資産=「保有物件の売却」というニンジンを見せて、バーターを提供してあげることによって、売主・仲介の心理的に、次の仕事に繋がる期待ができます。一旦、買付した後の時間稼ぎの方法としては、契約内容や重要事項説明で、細かい点でも何か論点がないか探し出して、それを相手に検討してもらうことです。相手が回答を出す前までに、融資打診を取り付けて、契約交渉します。

もう一つは「インフラ」です。一定規模の法人になると、役職者の承諾を得る社内稟議プロセスがあります。設計プランを入れて、収支チェックして、コンプライアンス会議を経て、決済者のOKが出て始めて買付を入れます。しかし、担当者がいいと思っても決裁者がNGなら、その物件はゴミ箱行きです。物上げ営業は、ローラー作戦で、苦労して足で稼いでいます。用地担当者はせっかく探してきた案件を無駄にするのなら、他の人に紹介して少しでも現金化したいと考えます。その「捨て物件」を紹介してもらうやり方は、買えている人についていくとおこぼれがもらえます。まずは、投資判断に必要な土地面積、価格、前面道路、容積率、住所、用途地域の基準を持つことです。そして「単発」で取集するのではなく、「毎日」最新の情報を収集する仕組みがなければいけません。毎日の継続によって買える打率も上がります。質の高い情報量を増やす→ネットワークを豊富に持つ→効率的な収集方法を考える→物件の絞り込みをする→いつでも銀行に持ち込んだら数日で買えるという、インフラを構築して勝ちパターンを作ることです。

設計プランは、とある方法を使えば、1分程度で投資判断できます。融資承諾の仮審査があったとしても、売主をグリップできるので、競合に負ける確率は減ります。

売主対策において私がすることは、まず、謄本をみることです。謄本の登記履歴から、抵当権者の有無、設定時期、設定金額、個人か法人か不動産業者かで状況がある程度把握でき、ストーリーが読めます。あと、慣れてくると、その売主の意図、利益水準も大体見えてきます。

売主や元付仲介をグリップするには、コミュニケーションしやすいこともポイントです。ソフト面の話になりますが、営業マンに紹介してもらうには「頼ってくれる人」「計画がはっきりしている人」「直ぐに動く人(夜中、早朝にも物件を見に行く人)」「買うための勉強代を惜しまない人」「感じのいい人」「気が合う人」そして「買える人」です。話が通じない人、辻褄が合わない人、言ったことを覆す人は信用されません。



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