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タトゥーがもたらす弊害は予想の斜め上からも降ってくる

2020年7月現在、日本へはタトゥー道具の輸入ができない。
タトゥーマシン、ニードルなどは医療器具扱いされてしまい、「医薬品医療機器等法」に抵触するというのだ。

仮に海外からタトゥーマシンやニードルを輸入した場合、税関で止められる。
そして税関から、「医薬品医療機器等法」に該当すると思われる物があるので、医薬品等監視指導室に確認をお願いしますという旨のハガキが届く。

そして、ここに連絡し「タトゥーの道具なので医療器具では無い」と言ったところで、話が通らない。2018年11月に大阪高等裁判所にて「タトゥーは医療行為では無い」との判決が出たにも関わらずだ。

タトゥー道具の輸入に限らず、タトゥーを本業にしていると実に様々な弊害がある。
とりわけ、事業を拡大させようとした時にそれらの弊害は、こちらが全く期待もしていないパワーをここぞとばかりに発揮するのだ。迷惑な話でしかない。

例えば、事業拡大のためにテナントを契約しようとした時にもそのパワーは存分に発揮される。保証会社の審査に通りにくい。
こうなるとテナントを契約してスタジオを増やしたり、別の新規事業の計画が、そう簡単には進まなくなる。

外国人の就労ビザに関しても例外では無い。
日本で働きたい外国人は、何らかの種類の就労ビザを取得しなければならない。
そのビザの種類の中に、もちろんタトゥーという項目は無く、仮にデザイナー的な専門職でビザを申請したとしてもタトゥーをしているとアウトになる。

じゃあ、外国人のタトゥーアーティストが日本で施術をするためにはどうすればいいのか?
一つは観光ビザで滞在している間に、本当は違法となるがタトゥーの施術をしてしまう。もしくは日本人と結婚したりして、日本の永住権などを取得する方法もある。
というか、そんな方法しかないのだ。


ではこの問題、「仕方がない」で終わらせてしまっていいのだろうか。

いや、「仕方がない」で終わらせてしまうにはあまりにも悔しいではないか。今は仕方がなくても、この先ずっとこんな環境では日本のタトゥー業界は世界からどんどん遅れていくだろう。


道具を自由に輸入できないということは、世界で流通している豊富な種類の最新道具を使うことができない。道具が全てではないが、最新の技術を駆使するためには最新の道具も必要になることがあるし、効率が上がることもあるし、衛生面だって飛躍的に上がることもある。
さらに言えば、無駄な消耗品を削ることもできたりするので経費削減にも繋がったりする場合がある。

テナントが自由に借りれないと、タトゥースタジオはマンションの一室で営業するか、審査がユルい雑多な繁華街の路地裏にある古びた雑居ビルで営業するしかなくなる。そうなると余計にアンダーグラウンド感が出るし、イメージアップに繋がりにくい。

外国人の優れたアーティストが自由に活動できないと、技術の競争が少なくなるので日本人アーティストのスキルも緩やかにしか進歩しないだろう。



とまあ、ここまで半分愚痴のように書き綴ってきたが、どうにかしてこれらの問題を解決しなければならない。
とはいえ、今のところ悔しいがコレ!!といった解決策は見当たらないのが現状で自分の力不足をこれでもかというぐらい毎日感じている。


テナントに関しては、別会社を作るとか、会社と切り離して個人事業として申し込むとか、何かしらの方法はあるが、所詮それらは一時凌ぎであって、根本的な解決にはなっていない。

輸入問題とビザ問題に関しては、もう国や行政機関を動かす必要があるぐらいのレベルで、例え国を動かすことができたとしても数年〜10年近くはかかるんじゃないかと思う。



地道だが、今はタトゥーのイメージを良くする活動を続け、影響力をもっともっと蓄えていくしかない。タトゥーアーティストをどんどん輩出し、自社独自のライセンス制度を設けるのも一つの方法だと思っている。

タトゥーを生業にすると色んな不都合があると覚悟はしていたが、思わぬところからもその不都合は容赦なく襲いかかってくる。上述した以外にも、全く想像もしていなかった事が当たり前のように起きるのだ。



今更泣き言を言うつもりもない。文句を言うつもりもない。
そんな非生産的なことをしている暇があるなら、とにかく今は、ただただ立ち止まらずに前に進むしかないのかなと・・・



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