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2020年6月から制度化されるHACCPって結局何?

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では第1回目となる今回は、2020年の6月からついに食品関連事業者に対して義務化されることとなるHACCPのお話です。

業態や規模を問わず全ての食品関連事業者が対象となるHACCPですが、「来月から始まるけど、HACCPが何なのか結局わかっていない」「具体的に何をすれば良いのかわからない」と頭を抱えている方も多いかと思います。今回は、そんな方々を対象にHACCPとは何なのかということについてご紹介していきたいと思います。

◆HACCPって何?


HACCP(ハサップ、ハセップ)とは、アメリカで宇宙開発が進められていた1960年代に開発された宇宙食などの安全性を確保するための衛生管理の手法のことです。HACCPはHazard Analysis and Critical Control Pointの頭文字を取った略語で、日本語では「危害要因分析と重要管理点」と訳されています。

ざっくりとその衛生管理の方法について解説すると以下のようになります。

1. 食品の一般衛生管理を徹底し、製品が出来上がるまでの工程(原材料の入荷~出荷、お客様への提供)を整理する
2. その工程の中で、食品が汚染される可能性がある危害要因を見つけ出し評価する
3. 評価して重大とした危害要因を除去・低減するために特に重要な工程を決定する
4. その重要な工程で科学的に危害要因を除去・低減する管理方法を設定する
5. その管理方法が実施されているかモニタリングを行う
6. モニタリングの結果、基準を逸脱していた場合の措置を講ずる
7. モニタリングの実施と結果、執り行った再発防止の対策を記録し、保存する
8. 管理方法が有効であるか検証する

ざっくりこのような流れで衛生管理を行うことが「HACCPに基づいた衛生管理」なのです。これだけだとわかりにくいかもしれないので、以下では具体的にどのように衛生管理を行うのかということについて解説していきたいと思います。

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◆HACCPによる衛生管理をシミュレートしてみる


例えば飲食店で出される料理を想定してみましょう。

○工程を整理する
飲食店における工程とは、原材料が入荷されてからお客様に提供されるまでのことを指します。例えば以下のような工程があるでしょう。

原材料の入荷⇒材料の保管⇒食材の計量⇒食材の処理⇒加熱調理⇒盛り付け⇒提供

○危害要因を見つけ出す
危害要因(ハザード)とは、食の安全を脅かす可能性がある要因のことを指します。例えば、ノロウイルスや食中毒菌、害虫やガラス片などの異物…このあたりは実際に食品に携わる皆さんのほうがお詳しいでしょう。

――とにかく、先程整理した工程の中から食の安全を脅かすような危害要因を見つけ出していきます。この危害要因は一つであるとは限りません。原材料を入荷した時点で細菌は付着していますし、従業員がノロウイルスに感染している場合は調理の途中でノロウイルスが食品に付着してしまう可能性があります。

○危害要因にトドメを指す工程を設定する
次に先程発見した危害要因を食品から除去するために特に重要な工程(重要管理点)を設定していきます。重要管理点は、「ここさえちゃんとしていれば、危害要因を確実に取り除ける」という工程である必要があります。

例えば、ノロウイルスが危害要因だった場合は、加熱調理が重要管理点となるでしょう。

○管理方法を設定する
次にその重要管理点を適切に管理するために、科学的根拠を持ち、かつその場で計測可能な管理基準(CL)というものを設定します。この管理基準は、例えば「○○度の熱湯で○○分加熱する」とか「マイナス○○度で○時間冷却する」といったように、数値に基づいた測定ができるもの、あるいは見本などで程度が明確である必要があります。

先程の例に倣うなら、ノロウイルスは90℃以上で90秒間以上の加熱をすることで無害化することができることは科学的に証明されています。「加熱調理」という重要管理点での管理方法は「90℃以上で90秒間以上、確実に加熱する」ということになるのです。

○モニタリングを行い、逸脱していた場合には措置を講ずる
さて、設定したからといって、その管理策が実行されなければ意味がありません。このためHACCPでは、「ちゃんと加熱調理が現場で実行されたか」ということを全ロットについて監視し確認することが求められます。

そして、もしその管理基準が満たされていなかった場合には、どのように修正措置を行うかということについても決定しておきます。

例えば加熱時間が不足していた場合は料理として仕上がりませんので、仕上げるという意味でも再加熱が修正措置になります。しかしながらこのような措置は記録しません。

○記録し、保存する
最後に、モニタリングの実施と正確に管理基準が実行されていた結果を、また逸脱した場合に再発防止が必要であれば、どのような対策を取るべきかを検討して、その対策を実施し記録します。記録をしておくことで、重要管理点や管理実績を検証したときに、「どうすれば改善することができるか」ということを合理的に判断することができるようになるからです。

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◆まとめ


さて、上記のような手順(実際にはもう少し細かく管理する必要がありますが…)を踏むことで「HACCPの制度化」に適応することができるのですが、皆さんには一つ理解しておいてほしいことがあります。それは、「HACCPは、一回設定を行ったら終わりではない」ということです。

どういうことかというと、危害要因の分析を行い、重要管理点を設定し、管理基準を設定し、モニタリングを記録して、そして定期的に検証を行っていく必要があるということです。HACCPの真髄は、衛生水準を高めていくためのPDCAサイクルの枠組みです。つまり、過去の記録に基づいた合理的な判断のもと改善案をだし、作業一連の流れを見直していくための改善システムの役割も果たすのです。

2021年6月までの猶予があるとはいえ、来月から義務化の制度事態は施行されます。しっかりと上記で解説したようなポイントを抑えてHACCP制度化の準備を進めておきましょう!

メインのサイトでも「わかりやすく」解説していますのでもしよろしければご覧ください。

【簡単解説】5分でわかるHACCP(ハサップ)ってなに?

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