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ダイエット幻想ーやせること、愛されること

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「なぜふつうに食べられないのか」に続いて出された「ダイエット幻想ー愛されること、やせること」のブレインストーミングとして書き溜められた記事です。ヘッダーの写真は、挿画を担当くださ… もっと読む
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#ダイエット

「ダイエット幻想」書評/インタビュー 一覧

2020年2月7日 torus  (聞き手:水野梓)転載:Forbes 2020年1月5日 読売新聞 (評:宮部みゆき) 2020年1月5日 信濃毎日新聞 (評:内田麻里香) 2019年12月1日 毎日新聞 (評:平松洋子) 2019年11月23日 webちくま (評:山本ぽてと)

承認欲求を否定しながら、刺激する社会をいかに生きるかー「ダイエット幻想」に込めた挑戦

今年の6月22日、私は『ダイエット幻想』の終章を書き終わり、5日後の6月27日に『急に具合が悪くなる』の最終便を宮野さんに託しました。 私はこの二つの本を同時並行で書いていました。 でも、だからこそ、宮野さんへの最後の書簡は、『ダイエット幻想』を書き終えた状態で、書簡にだけ全力を投じられる状態で書きたかった。 『急に具合が悪くなる』は私にとって、これまでに経験したことのない、大きな挑戦でした。初めての共著でありながら、その片方の結び手がどんどんと具合が悪くなり、死に直面

To tell my intentions, I want to eat only haze like a hermit  by Katherine Longly

Katherine Longly, a Belgian artist, gave a disposable camera to 10 Japanese in their 20s to 60s. They all had some struggles with food and body. She asked them to take photos of food or body as they liked. Since it was disposable, they cou

糖質制限は環境に悪い?

先日、流した「糖質制限、地球に優しくない」ツイート(下記)が思いの外拡散されたので、もう少し背景がわかる情報とともに、糖質制限と環境の話し、そして文化人類学のものの見方についてふれておきたい。 私がディスカッションをしたのは、オレゴン州立大学人類学部准教授のEmily Yates-Doerr。食にフォーカスを当てた研究をしている。 「糖質制限が環境に悪い」という話は、この食事法が糖質を制限させる一方で、肉を食べることを奨励するところから来ている。彼女がどういう観点で「環境

好かれるためには《要努力》?ー「当事者が語る、摂食障害の作り方」

食べること。そして、からだ。 食べることは、世界の一部を自分の内に取り入れること。 一方、からだは、自分と外の世界をつなぐ《扉》です。 私たちは、世界との繋がりなしには生きていけません。 したがって「世界との繋がり方がなんだかおかしい」と感じた時、私たちは食べ方と身体を変えることで、しばしばそれを修正しようとします。 特に、思春期の女子が食べ方を変え、身体を細くすることの効果は絶大です。 たとえばシューレ初の試み『当事者が作る、摂食障害の作り方』に登壇してくださった

「からだのシューレ」サムネイルとバナーが完成しました!

「やせたい」ってなんだろう?―「からだのシューレ」新メンバーを迎え再始動します

2016年3月より、11回にわたって行われた「からだのシューレ」では、主に文化人類学の観点から、からだと食べ物について参加者の皆さんと一緒に考えてきました。 企画者の磯野(@mahoisono)と、林利香さん(@eat119)がともに摂食障害の研究と啓発活動にそれぞれ関わっていたため、参加してくださった方150名の内、半数弱の方が摂食障害の経験者でいらっしゃいました。(過去のイベントはこちらから確認できます) 「からだのシューレ」は、東京開催が10回目を迎えた2018年3

大丈夫、みんなそんなにキラキラしていない

イギリスのバースで開かれた、外見に関する学術会議"Appearance Matters 8"。 ここで注目されていたトピックの1つが、インスタに代表されるSNSのボディイメージに及ぼす悪影響でした。 この場合のボディイメージとは、自分自身が自分の身体をどうとらえているかということを指します。 これまでの研究ではっきりしているのは、スタイルのよさを強調するようなキラキラした写真をSNSで見ると、ボディイメージが悪化してしまう。 つまり、自分の身体に対する肯定観が下がると

子どもが極端なダイエットを始めたら、親はどうするべきなのか?ー研究の最先端の現場から

イギリス・バースにて、外見に関する学術会議 (Appearance Matters 8) が6/12より開かれています。 心理学者が主体の学会ですが、公衆衛生から、哲学の専門家、さらにはアーティストから、DOVEといった企業まで幅広い人たちが参加しています。 DOVEは、自分の身体を否定しがちな女性や、多様な人種の人たちが、自分の身体を好きになるための運動をずっと続けている企業です 学会の先陣を切ったスピーカーは、1996年よりアメリカのミネソタ州にて、EATというプロ

「やりたいこと」の多くは、「やりたい」と思わされている

 私たちは「自分のやりたいこと」をはっきりさせ、それに向かって突き進むことをよしとする社会に生きています。それが大変に素晴らしいことと思うのですが、「やりたいこと奨励社会の難しさ」は、そんなに簡単にやりたいことが見つからないということに尽きるでしょう。  それには色んな理由があると思いますが、私がここであげたいのは、「選択肢がたくさんあるから」でも、「みんな失敗を恐れるから」でもありません。  そうではなく、私がここで強調したいことは「やりたい」ことと、「やりたいと思わさ

「やせ=ステキ」の価値観 ちょっとかわしたら楽になるかも

4月30日に開かれた、モデル&ボディメイクトレーナー佐々木ルミさんと文化人類学者の磯野真穂さんのワークショップのレポートです。 180cmで同じ人間とは思えないところから足がはえているルミさん。ご自身も過食の経験があって、今回のワークショップを開催したそうです。 20代からモデルとして活躍。その頃は、「30になったら、結婚してモデルの仕事は終わり」という雰囲気だったそう。 20代後半で、自分の仕事への不安や、彼氏と別れたこともあって、だんだんと食べることでストレスを発散す

ひとは見た目のために進んで健康を犠牲にする

突然ですが纏足を知っていますか? 纏足とは10世紀ころに中国の漢族を中心にはじまった風習です。大人になってからも子どもの様な足でいるために、3・4歳から足を布で縛って成長を止めてしまいます。 具体的には、親指を除く、足の指を足の裏側に向けて折り曲げて布で縛ります。 とはいえ、止めるといっても足はどんどん成長します。ですから月日が経つにつれきつく縛らないといけません。足の甲のいくつかの関節を脱臼させてまで、小ささを保とうとします。 こんな風にしたら足に激痛は走りますし、

自分を変えるための2つの方法ーいまやせたいあなたへ

自分を変える方法はたぶん2つに分けられます。 ひとつ目は、自分自身の欠点を修正する。 ふたつ目は、世界の見方を変えてしまう。 私は文化人類学という学問を専門とする大学の教員です。 そんな私がなぜ自己啓発チックなことを言っているのかというと、文化人類学の講義をする度に、「生きるのがすごく楽になりました」、「自分を受け入れることができました」といった感想が寄せらるから。 私の意図しないところで、学生が勝手に変わっていくという現象を毎年毎年目撃するからです。 文化人類学は