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「知る」を極める

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文化人類学は200年以上にわたり、「知る」を極めようとしてきた学問です。このマガジンでは、そんな学問の背景をもとに「知る」ことについて考えてみます。 相手を「知る」ってどういう…
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2018年4月の記事一覧

「社会人」になれなくても、そんなにがっかりしなくていい理由

社会人としての心得 社会人として身に付けるべきマナー 新社会人になるあなたへ— 「社会人」という言葉は、私たちの日常でふつうに使われる。経産省が作った、「社会人基礎力」なんて言葉もある。 でもよく考えてみると「社会人」とは不思議な言葉だ。いくつだろうと何をしていようと、みんなが社会の一員であるはずだ。 なのに「社会人」として認められる人と、認められない人がいるのである。 もちろんこうやって思い返せば、「誰もがみんな社会人」という言い方もできるだろう。 でも現

「辛くなったらこの箱を開けなさい」―先輩人類学者は後輩に何を託したのか?

オレゴン州立大学で私が文化人類学を学び始めたころ、スリリングなレクチャーで学生から大人気の教員、Dr. Snil Khannaが、こんな逸話を話してくれた。 フィールドワークに初めて出る院生に、既にフィールドワークを終えた友人・教員たちがひとつの箱を手渡した。 「フィールドワークが辛くて仕方なくなったらこの箱を開けなさい。でもそうなるまでは絶対に空けちゃだめだよ」 彼女は、もらった箱をスーツケースの底に大事にしまい、アメリカから遠く離れた異国の地に、フィールドワークに旅