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No.046 心不全を伴う心房細動に対するカテーテルアブレーション

心不全を伴う心房細動に対するカテーテルアブレーション
Catheter Ablation for Atrial Fibrillation with Heart Failure
PMID: 29385358

【研究が行われた背景】
心房細動と心不全は頻繁に併存し、心房細動は脳卒中、心不全による入院、死亡のリスクを増加させる。心不全患者における心房細動の最適な管理戦略については議論の余地があり、大規模なランダム化比較試験でカテーテルアブレーションの有効性を検証する必要があった。

【研究デザイン】
多施設共同、非盲検、ランダム化比較試験

【PICO】
P(Patient):

  • 症候性の発作性または持続性心房細動を有する

  • 抗不整脈薬に反応しない、副作用がある、または服用を望まない

  • NYHAクラスII、III、またはIV の心不全

  • 左室駆出率35%以下

  • 植込み型除細動器を有する患者

I (Intervention):

  • カテーテルアブレーション

C (Comparison):

  • 薬物療法(レートコントロールまたはリズムコントロール)

O(Outcome):

  • 主要評価項目:全死亡または心不全悪化による入院の複合エンドポイント

  • 副次評価項目:全死亡、心不全による入院、心血管死、脳血管障害、心血管疾患による入院、全ての原因による入院

【研究結果】
主要評価項目(全死亡または心不全悪化による入院)は、アブレーション群で51人(28.5%)、薬物療法群で82人(44.6%)に発生し、アブレーション群で有意に低かった(ハザード比0.62、95%CI 0.43-0.87、P=0.007)。

NNT(36ヶ月時点)= 8.3

副次評価項目:

  • 全死亡:アブレーション群13.4% vs 薬物療法群25.0%(ハザード比0.53、P=0.01)

  • 心不全による入院:アブレーション群20.7% vs 薬物療法群35.9%(ハザード比0.56、P=0.004)

  • 心血管死:アブレーション群11.2% vs 薬物療法群22.3%(ハザード比0.49、P=0.009)

【重篤な有害事象】
アブレーション群で3人が心タンポナーデを発症し、1人が心嚢穿刺を必要とした。3人が重度の出血で輸血を必要とした(2人が大腿穿刺部位からの出血、1人が偽動脈瘤で外科的修復)。1人が無症候性の肺静脈狭窄と診断された。

【研究のlimitation】

  1. ランダム化と治療に関して盲検化されていない。

  2. すべての患者がICDまたはCRT-Dを有しており、両群の全体的な死亡率に影響を与えた可能性がある。

  3. アブレーション群の方が薬物療法群よりも多くの患者が他の治療群にクロスオーバーした。

  4. 心房細動と心不全の薬物療法は系統的に管理されたが、異なるまたはより積極的なアプローチが試験結果に影響を与えた可能性を排除できない。

【要約】
この研究は、心不全と心房細動を併せ持つ患者に対して、カテーテルアブレーションと薬物療法のどちらが効果的かを比較しました。363人の患者を2つのグループに分け、約3年間追跡しました。結果、カテーテルアブレーションを受けた患者は、薬物療法を受けた患者と比べて、死亡や心不全による入院が少なく、心臓の機能も改善しました。ただし、アブレーション手術には一定のリスクがあり、また研究にはいくつかの限界があることも指摘されています。この研究は、心不全を伴う心房細動患者の治療選択において、カテーテルアブレーションが有効な選択肢となる可能性を示しています。

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