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ビジネスクラスにアップグレードされる場合の考察

この記事は10年前、2014年2月16日にあるところで掲載したものです。当時はアップグレード関連で検索すると大抵は最上位に表示されていました。このnoteでもエアライン関連、アップグレード関連はやはり関心高いようでアクセスが多いです。10年前ですから現在とは劇的に状況は変化(悪化ですね)していますが、考え方とか必要な視点は変わらないので少しは役に立つかと思い再掲しておきます。そして環境の変化によって、インボラUGはもう過去の話かもしれないというのも当時にわかると思います。



エコノミークラスの格安航空券でも、時にビジネスクラスにアップグレードされることがあります。そういう経験がある方もいるでしょうし、そんなことは一度もないという方もおられるでしょう。わたしは比較的確率が高い方で、このおよそ1年間に、片道3000マイルを超える路線に14回搭乗していまして、このうち4回ビジネスクラスにアップグレードしてもらっています。してもらうというのは、こちらから頼んでいるわけではなく、勝手にそうしてくれるのです。

これをマニアの間ではインボランタリーアップグレード、通称インボラUGと言います。ボランティアなアップグレードというのは、時々ゲートあたりで、「誰か明日の便に変更してくれたらビジネスクラスと300ドルのクーポンを差し上げます」とやってるのを聞いたことがあるかもしれません。この場合、ボランティアとして名乗りでるのがボランティアUGです。

一方、インボラUGは知らないうちにUGされるのです。これはある程度予測は可能ですが、絶対にUGされるようにすることはできません。エコノミーの料金しか払っていないのですから当たり前です。でも少しでもUGされる確率を上げることは不可能ではありません。これは一種のゲームみたいなもので、UGされればラッキーなわけです。

インボラUGの絶対条件として、エコノミークラスがオーバーブッキング(OB)で、ビジネスクラスに空席があることです。コンベンションや学会、日米の休日の前後など、OBが多いかどうかはある程度予測可能です。休日以外でも航空会社の特典旅行カレンダーで航空会社が予測している乗客数はわかりますから、これを確認するのも重要です。当然ながら混んでいそうな日がOB率が高いのです。空席状況は事前に航空会社のWEBなどでわかります。オーバーブッキングがない場合でも、ビジネスに急にキャンセルが出た場合などでUGされるケースもなくはないですが、基本はOB発生しているのが大前提です。

そもそもこのオーバーブッキングに関するポリシーも、航空会社ごとに大きく異なるようです。とくにデルタ航空の場合、アメリカン航空やユナイテッド航空と比較すると、申し訳ないですが乗客の質が悪く、アジア系が多く(最近は以遠権のフライトが減ったのでだいぶ減りましたが)、アメリカ人ビジネス客が少ないので、もともとビジネスクラスには予約が入りにくいと私は思ってます。日本では一部上場企業の部長ですらエコノミーなご時世ですから、予約状況や実際の客層を見てると強くそう思います。

そこでデルタは、最初からビジネスにインボラUGする前提で、エコノミーをオーバーブッキングさせるのだと思います。OB自体は普通の話ですが、その数が多いのだと思います。特に見ていると、デルタはHISとJTBにかなりのブロックの座席を格安で渡しているようで、HISが頑張って売っちゃうとさらにOBが増加します。仮にHISとJTBのせいだとすると、HISあたりにはデルタの上級会員は少なそうですから、結果的にインボラUG率がアップすると見ています。いろんな航空券サイトを見ているとわかるのですが、HISがいちばんデルタの座席は持っているのは間違いないと思います。つまりは自分から「OBを誘発させる」作戦ですね。

エコノミークラスがオーバーブッキングの場合でも、たいていはビジネスクラスに空席があります。そうするとエコノミーの客の中から、何人かをビジネス側に振り分けるわけです。この振り分けられる人、選ばれし者になるにも条件があります。まずはその航空会社の自社会員であること、その中でもステイタスが上であるほど確率は上がります。

たいていの航空会社の会員は、呼び名は様々でも、要するに松→竹→梅→平会員→非会員の5段階構成なっていることが多いです。ここでポイントは、平ではほとんど意味がなく、松と竹でも意味がないのです。これは平まではUGの順番が回りにくいということと、竹以上の会員というのは、そもそも最初からビジネスやファーストに会社の金で乗れる人々です。つまり、梅クラス、つまりエコノミーで年に3回以上、欧米に出かける層なのです。JALで言えばサファイヤ、ANAではプラチナ、デルタではゴールドメダリオン、ユナイテッドではプレミアエグゼクティブなどの上級会員の下から2番めのランクです。

ところがこの上位ランクの会員も、航空会社によっては掃いて捨てるほどいます。JALの場合は東京伊丹や福岡便に乗るとわかりますが、280席くらいのボーイング777で100人近くがエメラルド以上の会員ということもザラです。この有り様では上級会員自体がもはや無意味です。JALやANAに比べたらデルタやユナイテッドの上級会員は、絶対数は相当少ないです。

デルタの太平洋線のビジネスクラスは36席が通常です。今年に入って4回搭乗した感じでは、正規のチケット購入者はおそらく半分以下で、残りはエコノミーからのUGだと思います。こうしたOBのやり方は私が知る限りデルタ(旧のノースウエスト)が最も顕著で、ユナイテッドはその次です。逆にJALはOBが少ないのでなかなかUGされませんし、提携先であるアメリカンも同じようなオペレーションのように思われます。ANAは殆ど使わないのでよくわかりませんがJALと似ていると思っています。


話がわかりにくくなってきてるので、インボラUGの確率を上げるポイントだけをまとめます。これはデルタ航空またはスカイチームの場合です。

・デルタのゴールドメダリオンになる。飛行実績があまりない場合は年会費27,300円でゴールドメダリオンステイタスを「購入」する。
 デルタ スカイマイル アメリカン エキスプレス ゴールドカード

・デルタの予約をする(どこでやってもいい)
(予約時、発券時の予約クラスはあまり関係ない。発券クラスよりは会員ステイタスのほうが優先されている)HISなどで購入しても全く問題ないが、必ずスカイマイル会員ナンバーをデルタのWEBで紐付けておくこと。OBを誘発させるためにHISがいいのではないかと個人的には思います。

・出発までに優先シート、プレミアムエコノミー、ファーストクラスなどが ステイタスや空席状況に応じて指定できるので適宜確認すること。特に1週間くらい前から要注意。

・事前座席指定の有無、オンラインチェックインの有無、早く空港に行ったほうがいいか、身なりを見ているなどは関係ないです。

いまはカウンターのチェックインも、ゲートでの搭乗時にも全部バーコードで管理されているので、「選ばれた場合」はゲートでアラームが鳴ってビジネスのチケット交換してくれます。以前はゲートカウンターで名前を呼ばれ、運悪くその場にいないと権利が他の人に行ってしまうなんてのが確かにあったのですが、いまは前述の理由からそれは関係ないですね。全てはあなたのステイタスが、ビジネスに振り分けられる枠の数の範囲内に入っているかどうかなのです。

この5年位JAL(ワンワールド)を使ってきましたが、JAL国際線のインボラUGは20レグくらいのうちで4レグくらいでしょうか。決して率は高くないと思っています。これはアライアンスの考え方なのだと思います。JALはJCGクラブメンバーになったので、この事実上永遠にワンワールドサファイヤステイタスを維持できます。がゆえに競争は激しいとも言えます。

私は先ほど書いたアメックスカード会員に昨年末になって、年間会費27,300円でデルタのゴールド会員ステイタスを金で買ったわけです。今年に入って太平洋線4レグのうち2レグがビジネスクラス、米国内4レグのうち4レグ全部がファーストクラスにインボラUGしていただけたので、完全に元は取ったと思っています。

かつてはUAのプレミア2Pとかエールフランスのルージュなんかも持っていましたが、こうしたインボランティアなアップグレードはゲームみたいに楽しめればそれでいいのだと思います。仮にUGになっても周りの正規運賃の方に配慮して乗るべきなことは言うまでもありません。

【この記事は2014年2月16日に別の場所で公開したものを、10年後の2024年2月4日にここに再掲載しています】


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