【Tech Update】Microsoft：Dark Image of Facial Recognition

GAFAの興隆の一方ですっかり影の薄くなっているマイクロソフトだが、この会社も個人情報保護に照らして問題のある行為を行っていたことが発覚した。

フィナンシャル・タイムズ紙は、マイクロソフトが人々の同意なしに集めた顔の画像情報をこっそり削除していたと伝えている。

Microsoft deleted a massive online database of 100,000 faces it shared without people's consent. After the Financial Times reported in April that Microsoft was hosting a public database featuring 10 million images of 100,000 people's faces, the tech giant has pulled down the database without any fanfare. People whose images were included in the database, referred to as MS Celeb, had not agreed to participate. The database scraped its many faces from search engines and online videos, and the Financial Times reports they were “used to train facial recognition systems around the world, including by military researchers and Chinese firms such as SenseTime and Megvii.” (Both of these firms are under scrutiny for providing technology that the Chinese government uses to surveil minorities like its Uighur Muslim population, many of whom the state has sent to political reeducation camps.) Microsoft’s decision to delete MS Celeb doesn’t mean the facial images have disappeared entirely; the database is still circulating on open source websites.
[Madhumita Murgia / Financial Times]
（マイクロソフトは同意なしに集めた一般人10,000人分の顔の画像情報を密かに削除していた。今年の４月に、1,000万もの画像イメージ（10万人分）を同社の公開データーベース上で運用していることをフィナンシャル・タイムズ紙が報じると、何の予告もなくそうしたデータの削除を行った。中には、自分の顔画像がデータベース上に載せられることにどうしていない人もいた。マイクロソフトによると、そうした顔の画像データは検索エンジンやオンライン・ビデオから収集され、SenseTimeやMegviiといった中国系企業や軍関係の調査会社の顔認証システムのテストにために使用されたとのことだ。こうした同社の措置によって画像がすべて抹消されたわけではなく、このデータベースはいまだに誰でもアクセスできるウェブで閲覧可能な状態となっている。）

マイクロソフトの運営していた画像サイトは「MS-Celeb-1M」という、その名の通り有名人の顔画像を掲載しているサイトなのだが、この「有名人」という言葉の意味するものが非常に広範囲に渡っている。

記事中にある中国系企業のSenseTimeやMegviiは、ディープラーニングおよび顔認証のスタートアップ企業である。これらの企業は、この技術を利用して新疆ウイグル自治区の反政府分子の顔データを登録し、政治犯再教育施設への勾留に利用していたと言われている。

このように、一見して時代の最先端を行くテクノロジーのように見えるが、実際には極めてダークな用途に使われているというのが実情だ。

マイクロソフトやGAFAのような巨大企業は、その経済的・技術的優位に溺れ、モラルを逸脱した方向に突っ走っているように見える。

インターネットやスマートフォンが日常生活に欠かせないものになっているからこそ、そうしたテクノロジーが集めたデータがどのように使われているかについて、日頃から気をつけることが重要ではないだろうか。