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【ゆるふわコラム】日本人の課題:コロナとは無関係なオリンピックのはらむ根本問題

今回のポイント

・商業主義の行き過ぎ→主催者側の利権と集金装置になっている
・国民がサーカスに酔いしれ税金の収支を忘れている
・オリンピックの精神の欠如

東京オリンピック・パラリンピックが閉会してから2週間。あれほど熱狂的に報道していたメディアはまた元のコロナ関係ニュース報道に戻り、人々も緊急事態宣言も物ともせず街に繰り出しています。

「選手のがんばりで金メダルがたくさん取れたからいいじゃないか」という空気が日本に充満しているわけです。

しかし、今回の大会に使われた資金や強引な開催決行について、もう一度立ち止まって考えてみる必要があるでしょう。なぜなら、その費用は私たちの税金から出ているものだからです。

結論:結局得したのは誰なのか

一番わかりやすいのは「バッハ会長の銀ブラ」に象徴される通り、IOCとその関係者でしょう。

この記事によれば、「銀ブラ」を楽しんだバッハ会長が宿泊していたのは、港区虎ノ門にある「The Okura」のインペリアル・スイート(一泊250万円)。

IOCの規定では1泊分のホテル代として支出できるのは44,000円なので、その差額はすべて東京都が支払うことになっています。

自己負担なしでこのような高待遇が受けられるのですから、バッハ会長でなくても浮かれて銀座に散歩にでも行きたくなるってもんです。

アメリカの有力新聞ワシントンポストのコラムニスト、マイク・ワイズ(Mike Wise)は、今回のオリンピックで利益を得たのは誰なのかについてこのように述べています。

The International Olympic Committee gets the gold for greed, NBC Universal earns silver and Japanese Olympic organizers win bronze. Their prioritization of financial windfall over a public health crisis will be an enduring storyline of these pandemic-scarred Games.
(「お金儲けランキング」でいうと、国際オリンピック委員会が金、NBCユニバーサルが銀、そしてオリンピック関係者が銅メダルをなりふり構わずもぎとった。危機的状況を無視したあからさまな利益第一主義は、コロナ流行に振り回された大会としてのちのちまでの語り草になるだろう。)

(ワシントンポスト7月11日の記事より引用)

オリンピック関係者以外誰も得しなかった大会

こうして見てみると、オリンピック関係者以外に誰も得しなかったことがお分かりでしょう。ここでその具体例をあげてみます。

・不祥事で直前に関係者が辞任(佐々木弘、小山田圭吾、小林賢太郎)
・経済3団体(経団連、経済同友会、日本商工会議所)のトップ全員が欠席
・スポンサー企業の社長ら経営幹部がすべて欠席
・真夏に炎天下で競技を行うことによる選手の体力消耗
・無観客開催でチケット収入が見込めなくなった

選手たちにはまったく非はないものの、これでは「特定の人たちだけの大会」といわれてもしかたないでしょう。

政治家や権力者に操られる日本人

「大会を見て感動した」といっている国民の大部分はこうした関係者や権力者の意のままに操られていることに気づかないか、気づいてもなんら抗議の声をあげることをしていません。

こうしたところが、日本人は「お上に弱い」といわれる理由でしょう。

昔から、政治をつかさどる為政者が国民を操る方法として「パンとサーカス」という例えがあります。

ウィキペディアで「パンとサーカス」の定義を見てみると、次のように書かれています。

パンとサーカス(羅: panem et circenses)は、詩人ユウェナリス(西暦60年 - 130年)が古代ローマ社会の世相を揶揄して詩篇中で使用した表現。権力者から無償で与えられる「パン(=食糧)」と「サーカス(=娯楽)」によって、ローマ市民が政治的盲目に置かれていることを指摘した。パンと見世物ともいう。(Wikipedia:「パンとサーカス」

オリンピックの精神はプロ化したことで終わっている

オリンピック大会がここまで商業主義にどっぷり浸かったきっかけとなったのはいつからでしょうか。

1996年のアトランタ大会から「協賛金を出さない企業は『オリンピック』の名称を使わせない」という状況が一般化。

地元の大企業であるコカ・コーラとCNNがバックアップし、1,000億円こえの巨大な予算が組まれるようになっていきました。

続いてバルセロナ大会より「プロ選手」の参加が認められるようになったことで、本来のオリンピックで重視されていた「アマチュア精神」があいまいになっていきました。

プロ化と商業主義をやめない限りオリンピックは衰退する

「スポーツで平和を」というオリンピックの基本的な理念に立ち返るためには、次の2つの方法しかないと考えます。

・IOCを解散し、各国のオリンピック委員会が各国の予算で独自に開催する
・アマチュア選手のみ参加でメダルを取った選手をプロに引き上げる方式

しかし、ここまで利権と金儲け中心の考え方が根付いてしまうと、おそらくもう引き返すことはできないでしょう。

なぜなら、人間はいちど楽でおいしい体験をしてしまうと、そこから自力でまっとうな道にもどることはできないからです。

まるで薬物やアルコール依存のように、そこから脱出するには非常な苦しみや痛みをともなうでしょう。

そして、すぐれた才能をもっていながらダークサイドに落ちてダース・ベーダーとなったジェダイの騎士、アナキン・スカイウォーカーのようになってしまうのです。

そういえば、マスクを脱いだ顔が「ボッタクリ男爵」のバッハ会長にちょっと似ているかも...。

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関西在住のWebライター/文筆家のタマゴです。私の書く文章があなたの人生を豊かにすることができていれば、ぜひサポートをお願いいたします。