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リスクを取れるか?は、逆境経験の有無によるかも。順調だと「下りたくない」し。

私は公立大学卒業時に、バブル期だったけど就職活動に失敗してアルバイトでリクルートに入りました。
転職して正社員になろう、と焦りつつもだらだら10年在籍して、でも常に「なんとかしなきゃ。新入社員向けの研修までやってるけど、給料は半分以下で」と、悔しさを抱えていたので、マネーゲームや転職などでリスクも取りにいきました。

もし最初から正社員だったら、そういう選択はしてなかったはず。
悔しい状況だったからこそ、人生が展開したので、成毛さんの見解は、深く心に響きます。

特に下記の文章は、本当にそうですよね・・・。
「日本の問題はリスクを取りたくない遺伝子を持つ人がエラくなっていることだ。それもいずれは終焉する」。

以下、マイクロソフト日本法人の元社長、成毛眞さんのFacebook複数投稿の転載です。

前回の投稿で人生のリスクとリターンを書いた。投資リスクではなく、入社リスクについては持論がある。
スタートアップに入社するのはリスクだ。確率的には50%は失敗に終わる可能性がある。ほとんど賭け事といってもいい。とはいえリターンは大きいのだ。過去に日米のスタートアップに就職した何万人の総リスクと総リターンを比べると、人生で普通のサラリーマンの2倍以上のリターンがあるはずだ。つまり統計的にはリスクを負えるということだ。ダメなら転職して、もう一回サイコロを回すだけだ。その敗者の転職が、昭和の日本では難しかったが、いまならOKだと思う。そこが日米の違いだったが、過去形になりつつある。
ところで、面白いことにスタートアップでも会社は会社だ。したがって出世は90%入社順なのだ。これはアメリカも日本もほとんど変わらない。ボクもマイクロソフトの元CEOバルマーもほぼほぼ入社順でエラくなった。10%はよほどダメなヤツだが、90%=普通の人は意外にも入社順でエラくなる。要するにこの会社は!と思ったら即転職するべきなのだ。速いもの勝ち。驚くことにその差は1ヶ月単位だ。スタートアップでは1年先輩がエラくなるのではない。1ヶ月先輩がエラくなるのだ。
ともかく、入社順が理由でもエラくなると、驚くことに「タイトルが人を作る」ということを半年後には体感できるはずだ。係長より課長、課長より部長。映像制作現場ではADよりD、DよりP、PよりCPなのだ。ともかくエラい役職に若くして付くと、めちゃめちゃ速く自分の能力がとてつもなく向上する。ボクもそうだったけど、本当に驚くほどエラくなることことこそが、自分の能力を向上させるのだ。エラくなると付き合う人が様変わりするのだ。人が人を作ることになる。大きな会社では定年までかかることを数年で経験できる。
結論。みんなそれぞれ頑張ってね。日本人が遺伝的にリスクを怖がる人種だというのは、たしかにそうかもしれない。しかし、リスクを恐れない人も30%はいるのだ。リスクを恐れない人が70%もいる国と比べて、理論的には結果は変わらないはずだ。リスクはエライ人だけが取ればいいのだ。日本の問題はリスクを取りたくない遺伝子を持つ人がエラくなっていることだ。それもいずれは終焉する。


「10年前には失笑された」ほんとそうだよねえ。2013年の設立時に個人で出資したんだけど、出資したボクに対してすら「ホリエモンのロケット!?バカじゃないの」と面と向かっていうヤツがいた。いまじゃみんな手のひらを返したように「さすがだ」などという。
「運が良かったんですねえ」という人もいる。最初に人生そのものを賭けたアスキーマイクロソフト入社。なんせ当時は世界中で社員数10人の零細企業だった。20年後にそのマイクロソフトを辞めて全財産を注ぎ込んで設立したインスパイア。インスパイアが最初に投資したユーグレナ。そしていまのISTやSpectee。彼はボクが単に運が良かっただけだとでも思っているのだろうか。人生やら全財産やらを賭けたことなどないくせに何を言う。
いまは次の20年間の投資として核融合やトークン型資本調達に投資している。リターンを得るのは20年後という、一般人には謎の投資であることは間違いない。実際、最初のマイクロソフト入社からストック・オプションでリターンを得たのは20年後の退職時だったのだから、そんなものなのだ。
だからこそ、ある意味で日常はボチボチ生きるのだ。1年に何回かはさすがに祇園町とかで羽目を外してもいいとは思っているけどね。はっきりしているのはリスクを取らないとリターンは絶対にないということ。リスクを取らなかった人は、リスクを取った人に対して、その人がイーロン・マスクや孫さんのような、どんなに大富豪だろうと、一切の批判の権利はないことだ。あとは妬むしかない。人を妬むのは悲しい人生だ。

コメント:スペースXは巨大なので、個別の衛星をそれぞれ狙った軌道に打ち上げようとすると、意外にもコストは高いのです。スターリンクのような衛星コンステレーションであれば、逆に激安になるのですが、それをやっているのは本人たちだけでして。
また、ブースターを回収することで打ち上げコストは安いと思われているのですが、回収する場合のペイロードは使い捨ての60%になります。
さらに、衛星そのものの質量がどんどん小さくなっています。たとえば合成開口レーダー衛星の質量は同性能でこの10年で3分の1になりました。まだまだ小さく軽くなります。現在520kgのASNARO-2はそのうちに200kgになるでしょう。 それを100発打ち上げることができるスペースXを使ってコンステレーションを作る需要はありません。
2020年代以降の打ち上げ衛星数は劇的に増えますので、ロケットは意外にも大量生産製品に位置づけられるようになります。現在ISTのエンジンは2000万円ですが、そのうちに1000万円を切るでしょう。
もうひとつ、ペイロードの大きいロケットは同じLEO軌道を使う小型衛星の受注がまとまるまでの待ち時間がありますが、大量生産小型ロケットの場合は、適時にバンバン打ち上げることが可能です。
さらにアメリカの打ち上げ企業に発注したくない国や企業もあります。
なによりもわれわれは投資家ですので、スペースXに勝つ必要などまったくありません。安定的に質量コスト低減曲線が出ればいいのですが、世界中に液体燃料を使う民間ロケットメーカーはアメリカのスペースX、ブルー・オリジンとロケットラボだけなので、間違いなくEU企業にも関心を持ってもらえると思います。要するにバイアウトでのエグジット可能性があるのはむしろスペースXによりISTなのです。そのあたりが公の発想と民の発想の違いです。
ともかく1933年に豊田喜一郎に対して、アメリカにはGMやらフォードやら、ヨーロッパにはメルセデスやらロールスロイスがあり、いまからショボい自動車を日本でいちから作っても勝ち目なんてないよと言うようなもんです。ISTは90年前のトヨタよりも遥かに競争力があるのです。

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