ベーシックスキルって
僕の職業は理容師。髪を切らせていただき、お顔を剃り、シャンプーなどさせていただいている職人。
ANICCA Authentic Beautyという理美容サロンを営み、老若男女お客様としてお迎えして、ヘアデザイン・ハートデザインさせていただいている。ヘアデザインは感性と感受性。ハートデザインは知識と経験が必要とされる。その前に最も大切なベーシックスキルと人間力。これを考えている。
母の父と母、即ちおじいちゃんとおばあちゃんから母が職を受け継ぎ、その背中を見て僕もこの職を選んだ。小学生までの母の営む床屋は僕の遊び場だった。中学生からは小遣い稼ぎの職場となった(といっても床掃きやタオルの洗濯くらいしかできないが)。そして職業選択をして理美容学校通学中から就職するまでは修行の場となった。
幼い頃から目と耳でなんとなく感じて受け取っていた接客や練習風景は自分が行う側となった。「基本が大事、基本が大事」と繰り返し耳にした言葉。基本ってなんだろう?ずっと長い間この命題の答えを模索し続けている。
中高はテニス部、東京での修行時代は趣味仕事。帰郷してコンテストに明け暮れ、この間も趣味仕事。プレゼンテーションで日本全国を巡り、海外も旅してきた。縁あって37歳からゴルフを始め、54歳でシーカヤックを漕ぎ始めている。手を使い、脚を使い、感じる心を使い続けている。
ところで主題の「ベーシックスキルって」
どんな職もスポーツも芸能も「ベーシック=基本は大切」と言われているし僕もよく言っている。最近このベーシックというものが頭の中をグルグル回り続けている。
初めてチャレンジする時最も時間をかけ、大切にすること。調子の良い時は忘れがちになり、スランプになるとまた再確認する「帰る場所」
鋏の持ち方、コーム(櫛)の持ち方梳かし方、髪や肌への触れ方。レザー(剃刀)を持つ力感。ゴルフのグリップ、スタンス。カヤック上での姿勢、パドルの持ち方。これらの根本となる大きな筋肉によるボディモーション。
ベーシックとは造られた形、スタイルやプロセスではなく、道具と手足が繋がる接点であり、道具を自分の手足のように無意識に意識的な動きとできるようにすること。道具を使わずとも指・脚・腰を自在に扱えること。自分の身体、自分の思考なのになかなか自由自在にできないのが人間なのかもしれないけど、そこに向かって邁進することが人間なのだと思う。
最近の子供たちは学校以外に塾へも毎日のように通い、知識を詰め込んでいる。何の為に?良い学校へ進学するため、良い会社へ入るため、良い人と出会うため・・・。良い学校って?良い会社って?本当にそれで良いのかな?いくら知識が豊富でもそれを使う人間力は机上で学べるもんじゃないと思うんだよね。体験、経験が最も大切なんじゃないかな。映像見て、本読んで身につくことはひとつもない。自分でやってみて、失敗して、答えを探し続けて身につく。それがベーシックスキルだと信じている。
職人さんが握る寿司。もちろんネタの違いもあるだろうけど誰が握るのかによって、かなり味と形に違いが出る。最近ではロボットが握るお寿司屋さんもあるけれど僕は好きじゃない。ネタを吟味し、お客様の口に入る瞬間に最高の状態になるように仕込み、お客様の目と耳を楽しませながら、心込めて握られた寿司には愛がある。
職人がないがしろにされがちな昨今。だからなんとなく殺伐とし、金ばかりを追いかけて心が病み、ネットでの身勝手な誹謗中傷や自殺が増えているんじゃないだろうか。
僕は人間という職人を目指していきたい。
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