見出し画像

【銭湯民族】公衆サウナの国フィンランド【サウナイキタイ】

こんにちは。べってぃです。
GW初日はiPhoneSE第二世代にワイモバイルのSIMカードを移せないことでずっと悪戦苦闘してたら一日が終わりました。

さて、今回の読書レビューはこちら↓

こばやしあやなさんの『公衆サウナの国フィンランド』です。

私サウナ大好きでして、サウナー歴2年です。
ホームサウナは巣鴨のサンフラワー、最近のお気に入りは池袋のかるまるのケロサウナです。よろしくお願いします。
サウナイキタイ…。

そんな感じなので、『サ道』はもちろんのこと、サウナの本読んでみたいなぁと思っていた頃出会った本です。

この本では、フィンランドにおける公衆サウナの歴史と再興、そして現代の社会における公衆サウナの可能性について書かれています。

この本はただのフィンランドの公衆サウナの紹介ではなく、公衆サウナを軸とした現代のフィンランドにおける公共性の変化とその可能性・日本との比較といった若干社会科学的なテイストを感じますね。
実際にこの本で論じられている内容は著者の修士論文?もベースになっていると思います。

フィンランドと言えばサウナ。サウナはフィンランド文化の代名詞…というイメージがありますが、フィンランド都心部においてもかつて数百件あった公衆サウナが、現代に残るかつての公衆サウナは3件しか残っていないというほど衰退していました。日本における銭湯文化の衰退に近いものがありますね。

そんな中公衆サウナを復興させんと様々な取り組みをしている人たちと、「ロウリュ」や「ソンパサウナ」に代表される新しい公衆サウナの台頭、なぜ衰退していたはずの公衆サウナが今になって社会(特に若者)に受け入れられ始めたのか…という内容がいろんな観点から解説されています。
特に印象に残っているのは以下。

■新しい「サードプレイス」としてのサウナ

ファーストプレイス:自宅
セカンドプレイス:職場
サードプレイス:カフェや図書館など、「一人の個人」としてくつろぐことができる文化的な書きに満ちたコミュニティ空間。
サウナが○○の家の人でもなく、○○に勤務している人とでもなく、所属の看板を取り外した完全なる個人を開放できる居場所としての可能性を秘めている。
そして現代の若者はそういった新しいサードプレイスを求めた結果、サウナという答えにたどり着いたのかもしれません。

■フィンランドにおける公衆サウナ発展のカギとしての「赤の他人への信頼」

元々フィンランド人はシャイで、「自分はあなたに干渉しないからあなたも私のことをほっといてくれ」というタイプの民族性。
裏を返せば、「必要以上に他者に干渉せず、一旦信頼することができる」と考えることができます。
フィンランド人が持っている「精神的・人間的な」豊かさ。その要因の一つが「他者を信頼すること」に端を発した社会全体に漂う楽観性です。
そして他者に対して信頼し、心のガードを緩めることができれば余計な金・時間・労力を削ぎ落とし、合理化を図ることができる物事がこの世にはたくさんある、と筆者は謳っています。

この話、耳が痛いですね。
私は日系企業に勤めていますが、今仕事で多くを割かれている内容の根本はこの逆の考え方によるものじゃないですか。「在宅勤務したらサボるんじゃないか」という考え方とか典型だと思っています。
日本人が一番持っていないものをフィンランド人は持っているのかもしれません。

似て非なる銭湯民族、フィンランドと日本

では、日本の文化的な可能性はいかがでしょうか。

日本人は浴槽に浸かるなどの点においても、入浴にかなり重きを置いている民族としてはフィンランド人と似通っています。
しかし、この精神的な豊かさを享受するための「他者を信頼する」という能力はフィンランド人に比べて著しく劣っていわざるを得ません。
仕方ないことかもしれません…それによって日本のカチカチの秩序はたもたれているのだから。優劣付けられるものでもないかもしれませんね。

では日本人はフィンランド人のように「他者を信頼する」ことができないからオープンマインドな文化空間を作ることは不可能なのでしょうか?
答えは私にはまだわかりませんが、例えば日本にも公衆サウナのような文化空間をもっと浸透させれば、あとからパブリック志向は芽生えることはあるかもしれない…そんな希望も抱きたくなります。

奇しくも日本は空前の銭湯ブーム。
この社会的な流れをただのトレンドに終わらせるのではなく、「新しいコミュニティのあり方」の一つとして社会に根付いて言ったら素敵だな…。
なんて思わせる一冊でした。

同じ「銭湯民族」としてサウナーの方は必読ですよ!
あ、「銭湯民族」って表現、良くないですか?そうでもない?

以上、こばやしあやなさんの『公衆サウナの国フィンランド』のレビューでした!
こんな読書レビューを含めたいろんな書き物を↓のブログで書き留めてます。
ところてんみたいにプルプルしたブログですがよければご覧下さい(宣伝)

ではでは。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?