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意外と学んだことなかった『フィードバック入門』

フィードバック入門 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術 (PHPビジネス新書)

1. ざっくり言うとどんな本?

・組織にフィードバック文化をもっと広げていくための入門書

・フィードバックは「情報通知」と「立て直し」によって構成されている。それぞれティーチング的(こちらから教える)でありコーチング的(相手から引き出す)でもあって、両者を包括して相手の成長促進を行うこと

・フィードバックのフレームワークは信頼感の確保、事実通知、問題行動の腹落とし、振り返り支援、期待通知の5段階であり、事前に相手に関する情報収集、事後にフォローアップを行っていくことが重要

(磯部作。図解もうまくできるようになりたい...!)

2. 大事だと思ったこと

言葉ではよく使う「フィードバック」であるが、やり方や心構えなどをインプットしたことがなかったため手に取ってみた。とても理解しやすく実行しやすい内容だったため、入門書として最適だと思った。フィードバックのプロセスに沿って特に大事だと思ったことを記してみる。

2-①. 信頼感の確保

当たり前のようで実は意図的にできていないところ。お互いの信頼感が構築できていないとそもそもフィードバックをしても相手の心に響かない。まずはお互いの間にある壁を壊し、本音で語り合える関係になることが第一歩である。
具体的には、他愛もない世間話から始めたり共通点を見つけ出して談笑し合ったりして、雰囲気を作り出す。ここができていないとその後のフィードバックの質に差が出てくるのは周知の通り。

2-②. 事実通知:鏡のように情報を通知する

相手の行動を元にロジカルに問題や課題をあぶり出すフェーズ。

ここで大事なのは、事実に基づき客観的にロジカルに具体的に感情を抜いて対話すること。ここで感情を入れてしまうとフィードバックの効能が弱まってしまう。ディスる形にしてしまうと、行動に対してではなく人格否定をされた印象が強まって事実自体に向き合えなくなってしまうし、やたら褒めてしまうとその側面だけを切り取ってしまい、またしてもフィードバックの核となる行動に対しての内省が起きなくなるからだ。

淡々と相手の行動に向き合い、事実と原因をあぶり出すことで、問題・課題が浮かび上がってくる。

2-③. 問題行動の腹落とし:対話を通して現状と目標のギャップを意識化させる

②では、相手の行動を元にこちらから情報を一方的に伝えるフェーズであった。③では、その事実が相手も理解できているか確認する必要がある。

認識の齟齬を埋めるためには、現状と目標を可視化し、そのギャップを具体的に確かめあうことにあると思う。10記事書く必要があるところを3記事しか書いていないのであれば、後7記事書いていないことが今の問題になっている。その事実に腑落ちさせることで、今の立ち位置を認識してもらう。

2-④. 振り返り支援:振り返りによる真因探求、未来への行動計画作り

現状と目標のギャップの認識をすり合わせたことで、これからどんなアクションを取っていくべきなのか、具体的なネクストアクションについて話し合う。ここで便利なフレームワークは、What(何が起こったのか)→So What(それは、なぜなのか)→Now What(これからどうするのか)だ。

Whatに関しては③で明確化したものを改めて描写してもらい、問題がなんだったのかスループットしてもらうこと。

So Whatは、なぜそれが起きたのかを深掘りし、ボトルネックを探っていくフェーズ。問題を描写するだけじゃ問題解決はできないので、それが起きた原因を言語化し、具体的に変えなければならない行動を見つける。

Now What、問題と原因がわかったところで、問題解決へ向けたアクションを言語化する。ココで大事なのは、自ら言葉にしてもらうことだろう。ネクストアクションをこちらから押し付けてしまうと自分の選択にならないため、やることが見えにくかったり、モチベーションが上がらなくなったりしてしまうだろう。内発的動機づけの要素である自律感を促すために、選択肢の中から自分で決め、宣言するというステップを踏むことで、アクションを明確にできる。

ついでに、いつまでにというデッドラインを決めてもらうことも忘れずに。「いつまでに何をやるか」を宣言してもらえたら、後はやるだけなので。

2-⑤. 期待通知

ここまではロジカルに感情を抜きでやってきたが、最後にはきちんと相手を肯定し、できるはずだと期待を伝えてあげることが大事である。内発的動機づけの要素である、有能感を持ってもらうことと同じで、他者から期待されることで自己肯定感が高まり、モチベーションアップにつなげることができる。

忘れないようにするのは、宣言しただけにならないように、再発防止の仕組みを構築することである。相手の性格や特性に合わせて、どうしたら宣言が達成されるのかを仕組みとして用意することで、フィードバックに使った時間と労力を無駄にしないで済む。人間は怠惰であるという前提に立ち、相手がやりきる仕組みを用意する。

具体的には、いつリマインドするかを共有してお互いのカレンダーに書き込んだり、実際に作業する時間を予めブロックしてその時間には予定を入れないようにしたり、オフラインで一緒に作業する時間を取ったりすることだ。

2-⑥. 事前と事後

このフィードバックプロセスを行う前には、必ず相手の情報を収集をする。どんな行動をしてどんな結果を生み出したのか、どんな癖があるのか、何が苦手で得意なのかといった具体的情報を持つことで、フィードバックの際の引き出しを増やせるし、相手の出方次第でこちらの出す情報を変えられる。何より、信頼に足るフィードバックの送り手になれるよう、マナーとして情報を持っておかないといけない。

フィードバック後はきちんとフォローアップをし、やりっぱなしにならないようにする。上述したが人間は怠惰であるという前提に立ち、相手の特性に合わせてフォローアップの仕方を変えるのがいいだろう。

3. もっと深めると・自分はこうする

フィードバックプロセスを固めることの良さは、コチラ側が迷わないことだと考える。フィードバック最中はコトに向かう必要があるので、コチラ側があたふたしてしまうとコト以外の関係ない要素に気を使ってしまい、本質的な問題解決へとつながらないだろう。フィードバックを自分の中に持ち、相手の成長促進を切に願って冷静かつ熱量込めて行うことが大事だと思った。

自分の場合、これまでうまくできていなかった点が3点ほどある。

1点目はフィードバック最中に感情を込めて優しくしすぎてしまう癖があるので、今どのフェーズの話しをしているのかを常に俯瞰し、感情的になる場合と感情を抜く場合を切り分けることが改善点だと思った。

2点目は具体性を欠いて雰囲気で言ってしまっている部分もままあるので、SBIのフレームワークに沿って相手の行動を共有することも忘れずにいたい。Situation, Behavior, Impactという流れである。「このような状況の時にあなたはこういった行動を起こしたので、こんな結果になったよね」という具合だ。

3点目はフォローアップである。相手に言語化してもらってネクストアクションを明確にした段階でこちらとしても満足してしまい、その後のフォローアップをせずに放置、という経験を何度かしていて、結局アクションが起きないということがよくある。これを改善するために、何度かリマインドする計画を盛り込んだり、フィードバック時間を定期的に入れたり、複数人でチェックし合う体制を作ったりいいんじゃないかと考えている。これに関してPDCAを回していき、何が最適なフォロー体制なのかを探っていきたい。

4. さいごに

フィードバックの難しさは、プロセスはあれど人によって対応が変わってくることだと思う。守破離のように、プロセスを守りつつ自分なりの型を作り、都度カスタマイズできるようになるまで繰り返したいと思った。そのための要素として、ティーチング的・コーチング的な2要素があること、プロセスがあること、抑えておきたい情報があることを事前に持っておくことが肝要だと感じた。

このように文章にしてみると、フィードバックの全体像や自分が知っていたこととできていないことの整理ができ、自分自身の振り返りにもなる。

1冊からの学びを深めるためにも、今後も定期的に書評はブログにできたらと思う。

フィードバック入門 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術 (PHPビジネス新書)

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