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桜嵐記の感想を残しておきたい

涙なみだの千秋楽から早くも1か月が経ちました。

公演期間中に感想をTwitterで散々つぶやいていましたが、いずれ流れていってしまうので文章として書き留めておこうと思いつつ時間だけが過ぎてしまい…。書こうと思って思い出すとね、泣けてきちゃうんです。でも書きます。大好きな作品をリアルタイムで見ていた時に抱いた感情を忘れたくないから!

桜嵐記は千秋楽のライブビューイングを含め5回観劇しました。数々の先行抽選に見事に外れ、執念で一般発売でどうにかチケットをもぎ取りました。気合を入れすぎて発売日を1日間違えるというハプニングもありましたが(1日前で良かった…)。その後優しい友人に声をかけて頂き同行させて頂くことができたりと、様々な幸運に恵まれての観劇でした。振り返ってみると、何回か観に行くことができて本当に良かったです!

私は宝塚歌劇の全ての組が大好きですし、それぞれの組に好きなスターさんがいます。その中でも自分にとって一番思い入れのある組が、月組です。

月組公演を観るたびに毎回「あぁ、やはりこれが芝居の月組」と実感します。桜嵐記はまさにその真骨頂のような作品だったと思います。

私は上田先生が演出・潤色された星組さんの「霧深きエルベのほとり」は見たことがありましたが、上田久美子先生の作られた作品を劇場で観劇するのは初めてでした。脚本が素晴らしいことはもちろん、演出も素晴らしかったです。冒頭の組長による「南北朝時代講座」に始まり、正行の登場の仕方(千秋楽あたりでは、正行の後ろ姿が見えただけで私は泣いてました)、要所要所に現れる桜吹雪。正行が苦悩する場面で大勢の人々が舞台をぐるぐると歩く演出、皆が泣いた四条畷の戦いのスローの殺陣。そして、お芝居ラストにあの「出陣式」を持ってきたことの秀逸さ…。

私が特に上田先生すごいなあと思ったのは、尊氏と師直の会談から戦勝報告への場面転換です。転換時の音楽がね、尊氏の退場と天皇の登場にぴったりなんですよ。これを見たとき、花組さんの「金色の砂漠」でプロローグに見とれていたらいつの間にか砂漠から宮殿に移っていたことを思い出しました。こういう場面転換をどうカッコよくみせるかって、演劇の醍醐味のような気もします。

舞台の良さと映像作品的な面白さが交じり合ったようなとても印象的な演出の数々に、私はとても感動しました。これをゼロから生み出す上田久美子先生ってすごい。今後の宝塚を、演劇界をよろしくお願いしますという気持ちです。

そしてやはりその脚本の良さを最大限に引き出し、それぞれの解釈によりぐんぐん深めていった月組生の素晴らしさ!台詞ひとつとっても、「前回の観劇より今日のほうがいい」と毎回思っていました。正行と弁内侍はもちろん、私が今回特に良いなあと思ったのは暁さん演じる後村上天皇と、紫門さん演じる高師直。もうね、みんな語っていると思いますけど。この二人にこの役をあてた上田先生は天才ですね。

老年の正儀と弁内侍を演じた、光月組長と夏月副組長も素晴らしかった。ジンベエを演じたからんちゃんも。他にも役名は付いていないかもしれないけど、郎党たちや村の女性たち。とにかく全員がその時代のその人物を生きていた…

正行が絶命する直前、皆に「自分を置いて退け」と命令するけれど皆が戻ってきて正行の傍から離れようとしない場面。初めて観たときに、「これが珠城さんの月組なんだなあ」と思って涙が止まりませんでした。リーダーがひとり立ち皆をぐいぐい引っ張るのではなく、皆がその人柄を見て「この人についていきたい」と思うからついていき、強い団結力が生まれる。あの月組にぴったりだったと思います。

私は公演期間中、ずっと「これは上田久美子先生の脚本だから素晴らしいのか?それとも、珠城さんのために書いた作品だからこそ傑作が生まれたのか??」という「たまごが先か、鶏が先か」みたいなことをずっと考えていました。

うーん、でもやっぱり両方大切ですよね。あの時の月組のために上田先生が書いた作品だからこそ素晴らしく、あの時の月組だから素晴らしい表現で魅せてくれたのだと思います。桜嵐記は再演してほしいくらい作品として大好きだけれど、2021年初演が至高だから誰にも演じてほしくないなあなんて勝手なファン心理が働きます。

私は今後もヅカヲタとして生きていくと思いますが、いつか振り返って「私、桜嵐記を生で観劇してるんだよね!」ってちょっとした優越感に浸っちゃったりなんかできちゃうくらいには、私にとって本当に奇跡のような出会いでした。そして間違いなく宝塚の歴史に名作として語り継がれる作品だと思っています。現時点で、「宝塚観てみたいなあという友達に貸したいBlu-ray」ナンバーワンです。

はぁ~桜嵐記に出会えてよかった。劇場で4回も観れて良かった!

月組生の皆さんにとっても、この作品との出会いが幸せであったら嬉しいなあと思います。

さて私の次の月組観劇予定は、新トッププレお披露目公演です。こちらもかつての月組トップコンビ退団公演として上演された作品です。当時、私は宝塚大劇場での公演期間中に誕生していますので、当然観劇はしていません。また、一緒に上演されたショーのルポァゾンは何度か映像で見たことがありますが、川霧の橋は映像でも観たことが無く…

聞くところによると、とても人気の名作で再演を望む声もあったけど今までそれは実現せず、今回は満を持しての再演とのことですね。

初演と同じ月組で、日本物を得意とする雪組から組替えしてきた月城かなとさんのトッププレお披露目公演として再演。宝塚の、こういうところが私は好きです。

今後の月組も楽しみですね。引き続き応援していきます。

桜嵐記も、30年後くらいに再演されたら嬉しいな。



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