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磯森照美のエッセイ集

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投稿したエッセイをまとめています。
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2023年8月の記事一覧

エッセイ | ありふれた声にあふれたり

よく作業中にラジオを聞いているのだけれど、これが作業の邪魔になっているのはよく分かっている。 掃除中や、洗濯物を干したり畳んだりしている時に聞くのにはちょうどいい。頭はラジオに集中し、手だけを機械的に動かし続ければいいのだから。 ただ、noteの記事を書いているときにラジオを聞くのは難しい。頭は記事を書くのに集中したいのに、ラジオの方に持っていかれてしまう。おもしろい話がラジオから聞こえると、自然に手が止まってしまう。 私はradikoでTokyo FMやJ-WAVEを

エッセイ | 光と影の話ではない

私は、世の中には「表の世界」と「裏の世界」があると思っている。「裏の世界」なんていうと犯罪が横行して危ない世界を想像してしまうが、そうではない。 「日なたの世界」と「日かげの世界」という方があっているかもしれない。 生活をしていく中で普段から目にするモノは「日なたの世界」のモノだと考えている。意識をしなければ気付かないモノは「日かげの世界」のモノだ。 「日なたの世界」のモノは人々からありがたがられ、感謝される。それがソフトであろうとサービスであろうと変わらない。ソフトを

エッセイ | 次の楽しみ

「27時間テレビが夏休みを連れてきて、24時間テレビが連れ去っていく」母が毎年言っている言葉だ。 1週間くらい前から日本テレビでは24時間テレビの宣伝が始まっていた。出演予定のタレントたちが笑顔で番組の内容についてを話していた。 「もう夏休みが終わるんだな」大人になった今では夏休みなんて言葉でしか触れることはできない。日中に日中に子どもの声が聞こえることは少なくなりそうだなと思った。 テレビの電源を入れると案の定24時間テレビが目に飛び込んできた。「いよいよ夏休みは終わ

エッセイ | 積読を読んどく

部屋には棚を置かない。ものがどんどん増えていってしまうから。これは私が一人暮らしをする中で身に付けた知識だ。 大学生の頃は部屋に本棚を置き、そこに購入した小説や漫画を並べては悦に入っていた。だが次第に本の量が本棚のキャパシティを超えていき、入らなくなった本たちは棚の上や床に並べられることとなる。 本棚という箱に収まっていれば綺麗で良かったのだが、その枠から外れてしまうと途端に汚く見える。私の集めていたものはこんなに汚いものじゃないのだがおかしいな、と思い目がさめる。 収

エッセイ | ラブレターを書けない

パソコンから適当に音楽を流していると思いもしない曲が聞こえてくる。前までよく聴いていた曲や、好きなアーティストの知らない曲。 私が思っているだけかもしれないが、日本のアーティストが歌っている曲はラブソングが多いと思う。大々的に「これはラブソングですよ」と言っているものは少ないが、曲のどこかしらでは誰かを思い愛を歌っている気がしてならない。 誰かに気持ちを伝える歌詞は、聴いているこちら側に届きやすいのかなと考えたが、これに気づいた時の私が愛に飢えていただけなのかもしれない。

エッセイ | 自己暗示ストック

「そろそろ歯ブラシも替えないとな」口の中で動かしている歯ブラシが、どうにも磨けている気がしない。 洗面台下の収納にいろいろな備品をストックしている。洗剤やシャンプー、リンスに洗顔剤。歯磨き粉と歯ブラシもここにしまっている。 扉を開けて歯ブラシを探すが見当たらない。何本かあると思っていたのだが思い違いだったようだ。歯磨き粉はストックしているのに、歯ブラシがなければどうしようもない。 今が夜のため、最低でもあしたの朝まではこの歯ブラシを使わなければならない。仕方ないが今日は

エッセイ | つれてまわってくれる

いとこが運転する車の助手席に座り、私は流れゆく景色を眺める。 「こんなところにお店なんてあったっけ?」と私はいとこに尋ねる。 「このお店は随分前にできていたよ。知らなかった?」いとこは前を見たまま答える。 「そうだっけ? 帰省してもこっちの方にはあまり来ないから知らなかったかも」私はなんとなく過去の記憶をあさってみるけれど、やはり思い出せない。 地元の変化を知れるとなんだかうれしくなる。どんどん進歩していっているのが分かる。それとは逆に、昔からあったものがなくなっている

エッセイ | 交差することで発展する

赤信号の交差点で立ち止まった時や、他路線に乗り換える際の電車を待つ時にTwitterを開いてはツイートを眺めていた。 私のスマートフォンにはTwitterがインストールされている。アプリを更新してしまうとアイコンがXに変わることを知って、更新すべきかどうかを悩んでいた。 Twitterの頃、私は他人のツイートを見る専門で自分からツイートすることはあまりしていなかった。フォロワーも多くはなかったし、あまり自分からのツイートに深い関心があるわけではなかった。 Twitter

エッセイ | こっちの水がおいしい

地元に戻ると感じるのは「水がおいしい」ということである。 地元にいた高校生の頃に感じることはなかったし、地元から出ていった大学生の頃は水を飲む習慣がなかったためこの事実を知れていなかった。大人になり、味の付いている飲み物よりも水の方が飲みやすいと知った時に、地元の水がおいしいことに気付いた。 私が小学生の頃は夏になると関東から叔母の家族が遊びに来ていた。 私の地元は避暑地ということもあり観光客も多く、特に夏は人口が増加していた。普段なら見かけないくらいの車の量で、観光地へ

エッセイ | スイカ味ってどんな味?

夏になるとスーパーの果物コーナーにはスイカが並ぶ。丸ごとだったり切られていたり。私はそれらの立派なスイカには見向きもせず、カップ入りの細切れスイカを手にとる。 一人暮らしにはこれがちょうどいい。一玉買ってしまえば食べきれずにダメにしてしまう。細切れのカットスイカは一人暮らしに向けられたスイカだと思っている。スーパーの心遣いに感謝しなければならない。 私は夕食を終えお風呂に入り、あとは寝るだけという状況を作り上げると、冷蔵庫から冷えたカットスイカを取りだす。お風呂でほてった

エッセイ | 私よ、ゲームに遊ばれるな

私はゲームが好きなのだけれど、あまりゲームをやらない。好きな作品の新作が出れば買うし、クリアもするだろう。けれど、そのゲームをとことんやり込むことはまれである。 休日になれば時間もあるためたくさんゲームを遊べる。ただ、気乗りしなければ絶対にやらない。それが好きなシリーズもののゲームであってもだ。 私はいくつかゲーム機を持っている。PlayStation5、Nintendo Switchや、Meta Quest2。それらをテレビの隣やソファの近くにセットしており、コントロー

エッセイ | 夜を歩く

夜の道を歩く。イヤホンを耳に付けて好きな曲を聴きながら前へ進む。最近のイヤホンはノイズキャンセリング機能が発達しているため、周囲の音を遮断し自分だけの世界に連れて行ってくれる。しかし、夜道でこの機能を使うのは危険だ。 後ろから自転車や自動車が来ているかもしれないし、もしかしたら不審者がつけてきているかもしれない。私はもしもの場合を考えて外音取り込み機能を使用して音楽を聴く。 歩いていると後ろから子どもの声が聞こえる。子どもと言っても中学生か高校生くらいだ。この時間まで出歩

エッセイ | 冷房が苦手だと気づく

私の部屋にあるエアコンはいつも28℃の設定で稼働している。暑がりの私にとってはこの温度がちょうどいい。以前はもっと低い温度設定にしていたこともあったのだが、知らず知らずのうちに体調が悪くなっていたのでやめたのだ。 体調が悪くなったのが冷房のせいだと当初は気付かなかった。その年の夏は25℃に運転温度を設定し、部屋はキンキンに冷えてホットコーヒーをいれてもすぐに冷めるほどだった。 職場や外出先も冷房の設定温度が低かったため、何かを羽織って過ごすこともあった。夏なのに暖を求める

エッセイ | ショートパンツは座った時が1番恥ずかしい

暑い。暑すぎる。どうして毎年こうも暑くなるのか不思議でならない。こんなにも暑いとロングのチノパンを毎日着ている私はかなわない。 「ロングのチノパンしか着ません!」というような強いこだわりがあるわけでもないためより涼しくなるパンツを着たいのだが、では何を着ようかと考えると頭に浮かぶのはショートパンツしかない。 最近は出かける先でショートパンツの人をよく見かける。「涼しそうでいいな」と私は思っており、この暑さに耐えかねて私もショートパンツを着ることにした。 とりあえずお店に