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アリとキリギリス、どちらもハッピーな未来? 『ISO通信』第83号

国立社会保障・人口問題研究所が4月26日に公表した資料の冒頭に
「総人口は 50 年後に現在の7割に減少し、65 歳以上人口はおよそ4割を占める」
との見出しがありました。
「それは大変だ」と思う気持ちと「50年後って想像がつかない」と思う気持ちが半々でした。
50年も先のことを心配するのは現実感に乏しいので、公開された資料の中から2020年と2045年の数字を抜き取ってみます。

【総人口】
2020年:12,615万人
2045年:10,880万人
差:▲1,735万人

【0~14歳の人口】
2020年:1,503万人
2045年:1,103万人
差: ▲400万人

【15~64歳の人口】
2020年:7,509万人
2045年:5,832万人
差:▲1,677万人

【65歳以上の人口】
2020年:3,603万人
2045年:3,945万人
差:342万人

〔国立社会保障・人口問題研究所 「日本の将来推計人口(令和5年推計)」より抜粋〕

上記の人口は出生率を1.36と仮定したときの数字です。
生産年齢人口と呼ばれる15~64歳の人口は25年間で1,677万人も減少する見通しです。
人口は減少しますが、
・仕事をする女性が増える
・外国人労働者が増える
・定年後も働く高齢者が増える
これらの要因によって実際に働く人の減少幅は緩和されます。
しかし、日本の賃金水準が上がらないと日本で働きたいと考える外国人の数は減る可能性もあります。

2045年の日本において15~64歳の人口は全体の53.6%でしかありません。この世代だけで社会全体を経済的に支えていくことは困難なので、国は75歳くらいまでの雇用確保を法律で義務づけることになるでしょう。経済産業省や厚生労働省が盛んに「リスキリング」の旗を振る理由も分かります。
いっそ50歳からの4年間を第二の義務教育期間とし、強制的に学ぶ時期を作ってはどうでしょうか。50歳になったら退職し、義務教育の大学や大学院院を卒業後、それから20年くらい働くイメージです。暴論ですが、それくらいのことをしないと、お金と意欲のある人だけがリスキリングでき、老後の格差がますます広がってしまいそうです。

一方、まったく別なシナリオもあり、数十年後に働いているのはAIとロボットだけで、ほとんどの人間は遊んで暮らせるという話も聞いたことがあります。
学ぶことが好きな人はリスキリングして働き、高い収入を得る。遊ぶことが好きな人はベーシックインカムで十分に暮らせる。そんな時代がやってくるのでしょうか。
アリさんタイプもキリギリスさんタイプも、それぞれの価値観に沿った理想を体現できるハッピーな未来であってほしいものです。

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