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PK戦も社内プロジェクトも、立候補した人に任せてみる? 『ISO通信』第78号

サッカーに関しては、ワールドカップのときだけ盛り上がる「にわかファン」なのですが、今年の日本代表チームは過去に例のないくらい「一体感」があるように見えました。ゴールが決まった瞬間は控えの選手まで喜びを爆発させていて、全員が一つの目標に向かっていると思えたのです。過去の代表チームが得点した場面を忘れているので、客観的に比較できるわけではありません。しかし、PKを蹴る選手を立候補で決めていたことについて色々と考えているうちに、やはりこのチームは一つにまとまっていたのだと思えました。

日本はPK戦の末クロアチアに破れ、ベスト8に残ることができませんでした。PKを蹴る選手を立候補で決めていたことを知ったとき、最初は疑問に思いました。PKを蹴る選手は監督が決めるべきだと思ったからです。プレッシャーのかかる場面で、どの選手をどの順番で使えば勝てる確率が高いのか、それを決断するのも監督の仕事です。代表チームの森保監督は立候補した人に蹴らせることが、最高のパフォーマンスにつながると考えたのでしょう。
しかし、それでいいのでしょうか。一番下手な人が立候補したらどうするのだろう?それが最初の疑問でした。日本を代表する選手たちなので、スキルにほとんど差はないのだろうと思ったき、二つ目の疑問が浮かびました。
チームメイトから嫌われている人が立候補したらどうするのだろう?と思ったのです。
「ちょっと待て!お前が蹴るくらいなら、俺が蹴る」
そんなことを言い出す選手が現れたりしないのでしょうか。おそらく、その心配がなかったのだと思います。立候補するだけの自信がある選手や、勇気を出して「蹴る」と言える選手にPKを任せることができた。それをチームの全員が納得できたのでしょう。

ビジネスのシーンでも何らかのプロジェクトを始めるときに、立候補でメンバーを募るケースがあります。しかし、いつも同じような人が立候補している状態になっていないでしょうか。そして周囲の人が「またあの人が目立とうとしている」とか「立候補の形はとっているけど、どうせ上司が根回ししているのだろう」と思っているなら、チームに一体感があるとは言えません。

立候補した人に命運を託すような気持ちになれるチームを、森保監督がどのようにして作ったのかが気になり、インタビュー記事をサイト上で探してみました。
・個々の選手に自分の良いところを出してもらう。
・強い上下関係ではなく、フラットな組織づくりを目指す。
・個人の自主性と規律の両方を大切にする。
・全員で切磋琢磨し、個々の力をレベルアップさせる。
ニュース記事を拾い読みした印象としては「ボス型のリーダーシップ」よりも「サーバント型のリーダーシップ」に近いと感じました。マネジメントのスタイルやリーダーシップのあり方に唯一の正解はありません。しかし、立候補した人が称えられ、応援されている状態なら「その組織を離れたくない」「自分も入りたい」と思う人が増えていくでしょう。

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