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離職期間と充電期間 『ISO通信』第69号(2022.3.26)

中規模の会社に勤めている知人(Aさん)から、離職期間を作ることについて相談を受けました。Aさんの勤務先は社員数200人程度の企業で、余った有給休暇を買い取る制度はありません。Aさんは、ある会社から内定をもらっていて「入社の時期は2カ月後でも3カ月後でもいい」と言われているそうです。

以下はAさんと私の会話です。

「有休を消化せずにスパッと会社を辞めたいのですが、次の会社に入社する前に少しゆっくりしたい気持ちもあります。退職してから1カ月後に入社するのって、ありですか」
「うーん、離職期間を作ることはあまりお勧めできません。有給休暇を消化してから、次の会社に入社した方がいいと思いますよ」
「うちの場合、会社に余裕がないから、有休を使い切って辞める人がいないのですよね。有給休暇が労働者の権利だということは知っていますが、世話になった会社なので、あまり無理も言いたくなくて」
「なるほど。まあ、それでもブランクは長くない方がいいと思います。例えば、今の会社を辞めて、次の会社に入るまでに3カ月のブランクがあったとします。もしも将来、再度転職活動することになった場合、この3カ月は何をしていたのだろう?と疑問を持たれることになります。1カ月くらいなら『ちょっとリフレッシュ期間を取りました』と説明すればすみますが、3カ月だと『のんびりした人だな』と思われる可能性があります」
「1カ月くらいなら、大丈夫ですか」
「1カ月くらいなら問題視されないと思いますが、万が一その期間中に大きな災害が発生したり、戦争の影響が拡大したりすると『しばらく入社を待って欲しい』と言われてしまうかもしれなません。なので、あえて離職期間を作ることは避けた方が無難だと思います」
「そうですよね。リーマンショックや大震災があって、パンデミックに戦争ですからね。何が起こるか分からない時代になってきました。離職期間を作ってゆっくりするのは、止めておきます」
Aさんとの会話はこんな感じで終了しました。

ちなみに、厚生労働省の調査によると「直前の勤め先を離職してから、現在の勤め先に就職するまでの期間」は以下の通りです。
離職期間なし:              26.1%
1カ月未満:                   27.6%
1カ月以上2カ月未満:  13.3%
2カ月以上4カ月未満:  12.9%
4カ月以上6カ月未満:    4.6%
6カ月以上8カ月未満:    3.5%
8カ月以上10カ月未満:  1.7%
10カ月以上:                   5.5%
(政府統計『令和2年転職者実態調査の概況』より)

心身に余裕があれば、離職期間を作ることはせずに、次の職場に移った方がよいと思います。しかし心と体のリフレッシュのために、どうしても充電期間が必要なケースもあるので、その場合は離職期間を設ける勇気も要ります。
気持ちの面で追い込まれた状態にならないよう、普段から自分に適したオンとオフのバランスを取って働きましょう。


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