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【ゲーム紹介】あなたはハムスタアと共に死地に赴く【STARLIKE】

  私はISと呼ばれるもの――不定形で名状し難く、ときに神とか邪神とか呼ばれる存在。だが私の事はどうでもいい。

 今日はオススメゲームやゲームレビューが体感的に普段の1.333333......倍くらい飛び交う日だった。何故か?Steamサマーセールが始まったからだ。だが、ほとんどの人類は「暇が潰せるゲームがいい」だの、「実況映えするゲームが欲しい」だの、果ては「推しの電子アイドルに贈って実況プレイを生配信してもらいたい」と惰弱な妄言をのたまうばかりで情けない。

 そこで、Steamとは関係なしに、興奮する真のゲームを全人類の脳髄に刻むためにこの記事を書くに至った。驚くべきことにそれはフリーゲームであり、識字能力さえあれば遊ぶことができる。いかなるゲームなのか?それを知った時、読者諸君は星を奮う運命を背負う事となる。


『STARLIKE』をインストールしろ


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作者様公式HP :http://tekkou.org/
ダウンロード:http://tekkou.org/download.html

 今回はSTARLIKEというゲームについて話していく。これがそのタイトル画面だ。「ハムスターを育てるゲーム?なんかカワイイ!」と思ったおまえは、初めからを選択した後に出てくる難易度設定によって認識の誤りを痛感する事となる。

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 難易度の振れ幅「易」、「難」……そして「」。この難易度設定こそ真のゲームの証に他ならない。STARLIKEでは、チュートリアルで安価な雑魚モンスターがPOPして、倒せば英雄扱いされるようなことは一切ないのだ。そこはシビアな戦いの世界であり、僅かにでも判断を誤れば……死ぬ。軟弱な人間はここで「易」を選んでしまうであろうが、ためらわず「鬼」を選択できるのが真の知的生命体だ。私は常にそうしている。

 言い忘れたが、STARLIKEは各話ごとに別個のゲームファイルとして配信されており、全14話中12話まで公開されている。有料版で1~6話まで収録したバージョンも存在するが、そちらは鬼よりも更に高位の難易度「修羅」が存在し、私をしてもまだ未知の世界だ。なのでまずは1話をインストールするのだ。話はそれからだ。

 難易度選択の後、ハムスタアの名前を決める画面になる。作中に出てくる生命体はハムスターでなく『ハムスタア』であり、現実世界にいる愛玩用齧歯類とは違う存在である事がここで明言される。ハムスタアの名前は各話ごとに変える事も出来るが、長い付き合いとなるため、シリアスに決めることを推奨する。私もそうした。

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 ハムスタアの名前を決定したら、いよいよ作中世界に誘われる事になる。覚悟を決めて飛び込むのだ。


舞台はだいたい戦後日本


 ゲームが始まると、まず画面一面がセピア色になり、作文用紙めいた縦書きフォーマットに文字が羅列され、世界観の強さに圧倒されることになる。ストーリーはノベルパートで進行する。

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 舞台はだいたい戦後の日本だ。大きな戦争が終わり、皆何かしらくたびれており……そんな世界で生きる少女、節子が本作の主人公だ。母親は既に亡く、父親は酒浸りのクズである。したがって子供なのに関わらず、節子はメイクマネーのため、日々新聞配達や靴磨きに勤しまねばならない。良い大人もいる一方で、悪ガキに絡まれたり、家では親父が荒んでいたりと冒頭時点で既に節子のメンタリティは限界だ。そんな彼女を支える唯一の存在がハムスタア……つまりゲーム開始時に名付けた相棒であった。

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 ところがある日、偶然現れた父親によってハムスタアが奪われてしまう。「こいつは屑星だが、それでも使い道はある」そう謎めいたことを独り言ちながら、父親はどこかに去ってしまう。

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 こんな横暴が許されていい筈がない。ハムスタアを取り戻さなければ。節子は父親の尾行を開始する。父親は柄の悪い闇市に入り、一軒のバラック小屋に入っていく。そこにはお祭りめいた天幕があり、人々が何か騒いでいる。その熱気や怒声に一瞬怯むも、勇気を振り絞り、天幕の中に突入する。人知れぬ闇の舞台で行われていた光景とは――


ハムスタア同士の殺し合い


 その時、とてつもない歓声と共にこれまでと打って変わって狂暴なBGM
なBGMが耳を貫く。そして聴覚以上の刺激に、ハムスタアが武装し、血まみれになりながら戦っている光景にプレイヤーは圧倒される。ハムスタアが猛り、血が飛び散る。観客は口々に「殺せ」とか言っておりとてもコワイ。

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 さて、ここに連れ去られた筈のハムスタアはどこにいるのか?ステージを見やると、肩パッドを付けたいかにも狂暴な奴と対面しているおまえのハムスタアがいた。この肩パッドは界隈では有名な歴戦の戦士であり、ダメージによって一時引退していたが、満を持して復活したのだという。その歴史的復活を血を持って知らしめるための生贄として、お前のハムスタアは選ばれたのだ。このまま何も知らぬか弱いハムスタアは無惨に甚振られ、惨殺され、ボロ雑巾のように捨てられてしまうのだろうか?

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 冗談じゃない。襲いかかってくるならば、こちらも暴力を持って迎え撃て。ここでプレイヤーと節子の意識は完全にシンクロし、血で血を洗う暴力の世界に自ら踏み込む事となる。


星を奮え


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 待たせたな。ここからがSTARLIKEの真骨頂だ。STARLIKEは攻守交代のターン制バトル形式であり、プレイヤーは賽を振り、トランプを出して戦う事となる。これは賭博になぞらえたもので世界観とマッチしており、完全に興奮する。

 トランプの数字とスーツは意識すべきだ。攻めにおいて数字が大きいほどダメージが大きくなる。一方、防御面では黒のスーツはダメージ軽減(数値が高いほど軽減率は上がる)、赤のスーツは回避(数値が高いほど回避率が上がるが当たるときは当たる)に使用できる。更に、相手の攻撃カードと同じスーツを合わせることが出来れば攻撃を完全に無効化することができるので、読みが強ければダメージを受けずに一方的に戦い続けることができる。また、どちらにおいても同じ数字のカードは同時に出すことができる。覚えて置くがいい。

 さて、STARLIKEの戦闘の最大の肝はスキルだ。攻撃を受けたり、ダメージを与えたりするとだんだんと溜まっていき、溜まり斬るとSKILLを使うことができる。以下がその一例だ。

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 HP0となっているが、これはブザマな敗北シーンではない。スキル『臨死応戦』は予め使用しておき、敵の攻撃で体力が0になった時に発動、超過分のダメージと共に自らのHPを再生し強化するというとんでもないスキルだ。あまりにも強力すぎるので使用制限があり、基本的に1回の戦闘で1回しか使えない。如何にうまく体力を調整するか、星工(ハムスタア使い)の技量が試されているといえる。

 他にもJOKERとかスキルカードとか色々な要素があるが、その辺は割愛する。重要なのはSTARLIKEの肝はこのバトルだという事だ。それまでのストーリーは前哨にすぎないが、プレイヤーの心情を見事に煽り、実際にバトルになるとき、そのテンションは最高潮となる。

 最初の戦いに勝った後、プレイヤーは安堵と共に『これからもこんな血みどろの戦いをしなければならないのか……』と思うかもしれない。しかし、2話、3話と進めていくうちに血生臭い戦いがいつの間にか日常となり、はじめは恐ろしかったBGMがいつしか愛おしくなっていくはずだ。信じられないと思うならば試すがいい。これは節子の心情と彼女を取り巻く環境とも完全にリンクしており、このゲームが如何に計算して作られているのか、私達は改めて戦慄することになる。


2話以降に待っている展開


 1話はいわば『巻き込まれ型』だったわけだが、これからの戦いはそうではない。カラテを鍛え、ワザマエを磨き、ハムスタアを戦闘用にブラッシュアップさせていかなければならない。幸いにも、STARLIKEはそうした体験をさせてくれる。

何か割れているがあまり気にしてはいけない。

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 また、裏の世界を知った事で、様々な人物が登場する。怪しげな武器商人、怪しげな店員、怪しげな少女、帽子が怪しげな夫人……みな一筋縄ではいかない人物ばかりだが、この奇妙な者たちとの縁がSTARLIKEの魅力の一つである。

怪しげな人物の一例。見事に胡散臭いが腕は確かであり、ハムスタア用の恐るべき武器を提供してくれる。

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 また、話が進むとメカハムスタアや幽体ハムスタアも存在する。是非その目で確かめてほしい。


興奮する真のBGM


 最後に、STARLIKEを彩る楽曲を幾つか紹介しよう。作者様なイラストだけでなく、楽曲も自ら作成されている。この凄まじさは東方Projectなどが数千年前から証明している。

 そんな凄まじい名曲の一部を作者様自らアップされたものから幾つかご紹介しよう。


・WILL ’O’ WISP

 一般的な戦闘曲。作者様本人が熱唱された強烈な曲で、それまでの鬱憤とかそういうものをまとめて吹き飛ばす熱さとパワがある。また、歌詞にも当然意味があり、後からプレイヤーはそれを知ることになる。


・Lovewarrior

 とある強敵と戦う際に流れる専用BGM。相手はいわば伝説の戦士であり、その者が培ってた歴史、雄姿、無念……そうしたものが凝縮された名曲だ。


・風見鶏

 この曲はロックメタルバンドflamboyband様が提供されたものだ。育成パートで流れる曲だが、爽やかながら力強く、何時間でも聴いていられる。

flamboyband様の公式サイト:http://flamboyband.jp/

 STARLIKEはプレイヤー体験に重きを置いたゲームであり、当然楽曲もかなり力が入っている。ここに上げていないものも当然スゴイものが多く、中には凄すぎて是非プレイ中に聞いてもらいたく挙げてないものも幾つもある。是非その耳と脳で確かめてみてほしい。


未来へ

 冒頭に書いた通り、STARLIKEは全14話であり、既に12話が公開されているものの、まだ未完結作品だ。だが、作者ブログによると今は最終話に向けてパワを貯めている状態という事なので、数か月、あるいは数年後……莫大なエネルギーを秘めたこの作品は遂に完結し、大団円を迎え、世界はまた一つ名作を歴史に刻むことになる。その時、あなたはどこにいるのか?一つの名作の終わりを、プレイヤーとして迎えたくはないだろうか?その路は長く、とても険しい……しかし敢えて踏みこんだ時に得られるものは計り知れない。

 ゲームによる真の興奮を味わいたい者、コロナで鬱蒼とした精神性を取り戻したい者、内なる暴力性を発露したい者へ、STARLIKEは、そんなあなたをきっと満足させてくれるだろう。今すぐハムスタアと出会い、真の死地へと向かうがいい。



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スキル:浪費癖搭載につき、万年金欠です。 サポートいただいたお金は主に最低限度のタノシイ生活のために使います。