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おれの名は神戸悪魔。小学四年生。自分でいうのもなんだけど、超強いヴァリサガバトラーだ! 今世界で最も熱いカードゲーム、ヴァリバブルサーガ。通称ヴァリサガ。大人も子供もみんなプレイしてる。これを読んでるおまえもきっとプレイしてる。人類総ヴァリサガバトラーだ。 そんな人気ゲームの公式大会ともなれば、色んな奴らと対戦することになる。サラリーマン風の人から筋肉ムキムキの人。どこかで観たようなスポーツ選手から、外国の人まで、いろいろ。でも、おれは誰が相手でも臆さないし、勝利す
←前話 😎 ☺ 😭 エモジオ! そこは絵文字たちが暮らすふしぎな世界。ヒトはいない。動物もいない。街を歩けばあちこちに顔アイコンの姿。そんな世界で流行っているのは……ヴァリバブル・サーガ、つまり魔札を使った対決だった! 💥「オレに触れたら何かが起こるぜ!」 爆発頭がトレードマーク。スパーク! 🌎「大地のありがたみを知るがいい」 クールな頭にシックなスーツ。アース! 🍃「は……葉っぱの裏からトラップ発動!」 やさしい心にみどりの身体。リーフ! 魔札
宵色の空の下、水晶の荒野にて。濁った空気を打ち払うように、二つの斥力が衝突していた。それらの力場の中心に、二人の男が立っている。一人は全身甲冑の騎士で、もう一人は屈強な大男だった。 「ニグレオスよ。我が全力、今こそぶつけよう」 大男が言った。全身には紅蓮の炎が巡り、双眸はそれよりなお燃え盛っていた。 ニグレオス……そう呼ばれた騎士が構えた。騎士の動きに同調するように、彼の背後の巨大な大剣が浮き上がる。一見すれば精巧なオブジェのようだが、僅か動くだけで空を裂くほどの
←前話 神戸悪魔に、最後のターンが訪れた。 『グックク……最後のカードは《不死身軍団長》。さあ、引くがいい』 悪魔のデッキ最後の1枚、それは大入道が指摘したその通りのカードである。《軍団長》自身の効果でデッキに戻ったので、当然のことであった。 『《不死身軍団長》……それなりには強い魔札生物だが、儂の《悪鬼王》には及ぶべしもなし。小僧よ、どう足掻いてくれる?』 「……俺はドロー前に《塔の再生》を発動する!」 悪魔が唱えた魔札が、山札を光で包み込む。すると
←前話 高峰山の頂上、他世界とのはざまに位置する地にて、ヴァリサガによるカードバトルが行われていた。八尺バベル神戸悪魔、対、大入道。お互いの場には複数の魔札生物が召喚されている。戦力は概ね拮抗自体にあった……すぐ先刻までは。 『グッグッグ……《時重ねの悪鬼》を召喚』 鬼を象った時計が幾重にも表れ、そこから巨大な鬼が姿を現した。悪魔の場にいる生物に比べて圧倒的に巨大な鬼である。 『このまま《時重ね》で攻撃! さあどうする、小僧』 「くっ……《緊急輸送魔》でブ
←前話 失われた土地、総下県。国家統治をのがれ荒れ果てた無法地帯の地に、人知れずそびえる山がある。年間登山者平均ゼロ。Wikipediaにも個別記事がないマイナーな山、高寧山。野放しになった森は日中さえも光を通さず、文明から見放されたこの危険地帯に、今日、挑む者たちがいた。 彼女たちの風貌は異様であった。みなキャペリンとワンピースを着ており、背丈は4メートルをゆうに超えている。そして皆一様に、2メートル超のストレージボックスを装備していた。人の手が入らない過酷な山道を
←前話 「ハァ、ハァ……ごめんなさい、見送りで遅れてしまって」 八尺の里外れ、月灯りのない森の中で、数人の八尺バベルたちに里長・池野恋が合流した。自我不安の八尺バベルの見送り対応を行っている最中、突如外敵の気配を感じ、慌てて引き返してきたのである。 「池野さん、外をご覧ください」 他の者に促され、池野が木々の合間から覗き見ると……そこには既に外敵と交戦している八尺バベルがいた。それは里に来てから1ヵ月しか経っていない、新米バベルであった。 「神戸くん!?」 「
←前話 <前回までのあらすじ> 超強いヴァリサガバトラーを自称する小学四年生、神戸悪魔。八尺バベルに取り憑かれた彼は、夏休みの帰省を利用し除霊を試みた。だが、彼に取り憑いていたのはとてつもなく強い悪霊、大入道であった! 彼との決闘に敗れ、《尺》を押し付けられた悪魔は、身長2メートルを超える巨女、すなわち八尺バベルになってしまったのであった――。 意気消沈の悪魔の下に、かつて戦った八尺バベルが現れる。果たして、これから悪魔はどうなってしまうのだろうか……? ◆ ◇
←前編 1 「――先の獣の討伐、大儀であった。グレイウォルム卿」 重く、凛とした声が白黒の円卓の間に響く。その声の主の外見は、低い声色に反し、まだ二十歳に満たない若者であった。彼が冠する白黒の冠のみが、円卓に座る他の騎士たちとの立場の差を示している。やや間を置いて、一人の出席者が一礼した。ニグレオス=グレイウォルムである。 「して、獣の残穢についてはどうか?」 「恐れながら、未だ制御の見込みがついておりませぬ。あれは、恐るべき魔札です」 話は一月ほど前にさかの
←前話 おれの名は神戸悪魔。小学四年生。自分でいうのもなんだけど、超強いヴァリサガバトラーだ! 今世界で最も熱いカードゲーム、ヴァリバブルサーガ。通称ヴァリサガ。男性も女性もみんなヴァリサガしている。これを読んでるおまえも既プレイヤーだ。 八尺バベルとの戦いから1ヵ月が過ぎた。結局、あの日以来、あのお姉ちゃんとは出会っていない。その代わり、ヴァリサガをするたびにおれを呼ぶ声は大きくなっていった。コッチヘコイ、コッチヘコイ……そんな声が鳴り響き、戦いに集中できないよ
😎 ☺ 😭 エモジオ!そこは絵文字たちが暮らすふしぎな世界。ヒトはいない。動物もいない。街を歩けばあちこちに顔アイコンの姿。そんな世界で流行っているのは……やはり魔札対決だった! 💥「オレに触れたら何かが起こるぜ!」 爆発頭がトレードマーク。スパーク! 🌎「やれやれ、大地のありがたみを知るがいい」 クールな頭にシックなスーツ。アース! 🍃「は……葉っぱの裏からトラップ発動!」 やさしい心にみどりの身体。リーフ! 魔札対決が大好きな三人の絵文字たち
1 空漠と広がる海。唯一孤立する灯台が、その海上を無感情に見下ろしている。行き交う船はない。人の集落もない。ここは”果ての海”。泡沫世界の中でもとりわけ奇妙な、海と灯台の島で構成された世界である。 この灯台がいつ頃建てられたのか? 自称管理人でさえその答えを知らない。今は人が棲んでいるが、灯台が明かりを灯したことは一度もない。それ以前も、灯台として機能を果たしたことが果たしてあっただろうか。島の外は一面の海であり、灯びを必要とする船など、この世界のどこにも存在しないのだ
←前半 ■ ■ ■ (前半のあらすじ) 花の世界サーティアに訪れた、渡りの魔札使いヴァン・リユウ。そこで開催されていた春羊祭は、実は邪神を呼び出す為の罠だった……!このままではリユウ含む魔札使い達が生贄に捧げられてしまう。リユウは邪神との決闘に踏み切るのだった! 邪神――贄の神、オヴィス=スタロスが繰り出す生贄コンボの布陣に、リユウは劣勢を強いられる。その上、オヴィス=スタロスが繰り出す新たな魔札がリユウを襲うのだった……。 ■ ■ ■ (((念には念を入れ…
深い森中に囲まれた、秘密の花園。そこに突然大きな泡が1つ浮かび上がると、泡が割れて2人の男が空中に放り出された。1人は花園を避けて堂々と着地。もう1人も花を避けようとするが態勢を崩し、草の上に尻餅つく形で落下した。 「いたた……すまないが起こしてもらえるか」 へたりこむ男に対し、大男……リユウは、渋々手を貸した。 「これで立ち上がれぬことは流石にないだろうな」 立ち上がった男……花の冠を着けた長耳の男がかぶりを振った。 「ああ、流石に大丈夫……いてて。君の強靭